リクガメと移住した女性 リンゴ販売にバス運転手 魅力発信に奮闘中/陸前高田市
<ニュースエコー 2022年9月14日>
相棒のリクガメとともに岩手県陸前高田市に移住してきた女性が、リンゴやナシの生産と販売に取り組んでいます。閑散期には「電動ミニバス」の運転手も務める二刀流でまちの魅力を発信しようと奮闘中です。
「リンゴ3つ」
「オッケー」
9月10日、陸前高田市の農家・大和田司さんとともに今シーズン初めてリンゴとナシの移動販売を行ったのは、池田温佳(はるか)さん(31)です。
自らが生産したリンゴやナシをトラックの荷台に積んで地域を回る、昔ながらの移動販売です。なじみの音楽が聞こえると近所の人たちが集まってきます。買い物客のお目当てはリンゴとナシだけではありません。
「ココちゃんでーす」
「女の子だよ」
池田さんのペットにして相棒のリクガメの「ココちゃん」。ココちゃんとのふれあいも、買い物客の楽しみとなっています。
「ココちゃん、バイバーイ」
池田さんたちは馴染み客の家も回り、収穫したばかりの鮮度抜群のリンゴとナシを届けます。
(池田さん)
「直接お客さんの喜ぶ顔が見れるんで嬉しいですね。まったく知らない土地だけどこうやって歩いて回ることで私の顔も知ってもらえるし、地元の方とのふれあいもあって楽しいです」

「前を向く姿に感動」 ボランティアを続けていた池田さん そのまま陸前高田に移住
去年5月に陸前高田市に移住した池田さんは、広島県で生まれ、さいたま市で育ちました。旅好きの池田さん、2017年から1年4か月かけて自転車で日本を一周し、その途中で陸前高田市に立ち寄りました。
(池田さん)
「震災が起きたのは知っていたけど、震災後6年半経って初めて来たんですね。で、6年半経ってるけどまだ何にもないんだなっていう。けっこうショックでしたね」
日本一周の中で多くの人の優しさに助けられた池田さんは、恩返しを兼ねて2018年の西日本豪雨の被災地などでボランティア活動をするようになりました。
去年5月には高田松原に植樹されたマツの手入れ作業のボランティアに参加しました。
(池田さん)
「地元の人が愛を持って松原を再生している姿だったり、本当にみんな前を向いているなってところが嬉しさというか感動したところでもあるし」
被災して辛い思いをしたはずの陸前高田の人たちの前向きな姿に池田さんは心を打たれたそうです。
そのまま陸前高田に移住し、大和田さんの農園の手伝いをするようになりました。

「同じ名前」のリンゴ栽培に挑戦 観光客乗せるミニバス運転手も
(大和田さん)「なんでこんな青いの採った?」
(池田さん)「見てなかった」
2人の作業は笑顔が絶えません。
(大和田さん)「やはり一人でより仕事は何人かでやった方が楽しい。でも利益が減る(笑)」
去年は大和田さんの農園を手伝うだけだった池田さんですが、今年は新たなことにチャレンジしています。大和田さんの農地を借りて4品種100本のリンゴの木を植えました。そのうち20本は自分の名前と同じ「はるか」です。
(池田さん)
「温佳が“はるか”を作る。お世話になった方にもやっぱり喜んでもらえるし、自分も同じ名前で親近感があるので。しかも“はるか”って岩手で生まれた品種なので」
「はい、出発しまーす。行ってきまーす」
「いってらっしゃーい」
池田さんは農業の閑散期には観光客を電動ミニバスに乗せて中心市街地を巡るグリーンスローモビリティの運転手もしています。
(池田さん)
「もっともっと高田のことを知って高田のことを伝えたいし、楽しい面をいっぱい伝えていきたいですね。魅力あるまち、楽しいまちとしてまた高田に遊びに来てもらえるような、そんなご案内ができたらなと思っています」
津波のあった悲しいまちではなく、魅力のある楽しいまち・陸前高田を全国に伝えたい。池田さんはリンゴ農家と運転手の二刀流でまちの盛り上げに奮闘しています。