「思いやりのスポーツ」 フレスコボールで高田松原ににぎわい/陸前高田市
<ニュースエコー 2022年7月27日>
ラリーを通して互いの健闘を称えあうビーチスポーツ、「フレスコボール」の公式大会が、岩手県陸前高田市で開催されました。震災の津波被害から復活した高田松原海水浴場を、ビーチスポーツのフレスコボールを通して盛り上げようという取り組みです。
7月17日と18日の2日間、海開きしたばかりの高田松原海水浴場で東北初のフレスコボールの公式大会が行われました。男子、女子、ミックスと呼ばれる男女混合の3つのカテゴリーに、全国から59組のフレスコボーラーが集まりました。
フレスコボールはラリーが終わるたびに仲間の健闘を称えあうのが特徴です。ブラジル・リオデジャネイロが発祥のこの競技は板状のラケットを使ってラリーを楽しむスポーツで、公式戦では5分間の試合時間のラリーの回数やテクニックが得点につながります。

交流人口増加へ~大会誘致に情熱注ぐ
大会の誘致に奮闘したのは陸前高田市観光物産協会の事務局次長、大林まい子さんです。ビーチスポーツのフレスコボールで高田松原を盛り上げ、交流人口の増加につなげたいと考えました。
(大林まい子さん)
「高田の魅力が生かせるスポーツなので。いろんな地域から陸前高田に来てもらって高田の魅力をいっぱい知ってそれを持ち帰ってもらう」
フレスコボール協会も陸前高田での開催を全面的にバックアップしました。日本代表を経験したプレーヤーたちが陸前高田を訪れ、初心者向けの体験会を6回行うなど、大会の開催を後押ししました。

笑顔あふれた2日間 高田松原の新たな象徴に
しかし大会初日。関係者の熱い思いとは裏腹に高田松原海水浴場は大雨に見舞われました。
残念ながら初日は中止となってしまいました。
大会は翌17日、1日遅れでスタートしました。陸前高田市にフレスコボールを紹介し、大会の誘致や運営のサポートを行ってきた元日本代表の橋詰友人さん。自らも選手として出場し、腕前を披露しました。
(橋詰友人さん)
「開催の意義とかぼく自身の思いとかを少しずつ伝えていって、こうやって全国から集まってくれたので、そういう人たちがここでフレスコボールしてるってのが目にできて、素直に生きててよかったなって思いました」
大会の運営だけでなく選手として出場した大林さんに、会場からは声援や温かい拍手が送られました。
(大林まい子さん)
「みんながすごく応援してくれるので、最初すごい緊張してたんですけどめちゃめちゃ楽しかったです」
異色のペアも出場しました。最高齢、大船渡市の高橋庸充さん(81)が兵庫県の選手とペアを組み、ラリーを繰り広げたのです。
試合終了後、健闘を称え抱き合う2人。「思いやりのスポーツ」とも呼ばれるフレスコボールならではの光景です。
(大会参加者中最高齢 高橋庸充さん)
「若い方々から教えられて本当、思いやりのあるスポーツ。最高!」
久しぶりの太陽が顔を出した大会2日目の18日、絶好のコンディションの中で試合が進んでいきます。ビーチには多くの海水浴客が訪れ、高田松原はにぎわいました。
遠くは沖縄からの参加もあったこの大会。参加者に喜んでもらおうと気仙杉を使ったラケットと盾が副賞として用意されました。男子の部で優勝した外山祐次さんは5月に行われた体験会で講師として陸前高田を訪れていて、大会にかける思いもひとしおでした。
(男子の部優勝 外山祐次さん)
「まさかこんな副賞があるとは思ってなかったんで、もう本当涙が出るくらい嬉しいです、はい」
(大林まい子さん)
「良かったです、無事に終わって。泣いちゃう、やっぱり。」
ビーチスポーツで高田松原ににぎわいをもたらす取り組みは、来年以降も続きます。