X 
このサイトでは、閲覧解析や広告改善のためにCookieを使用します。サイトを利用することでCookieの使用に同意頂いたものとします。オプトアウトや詳細はこちら「IBCサイト規定
震災後の移住者と交流を 「まち歩き」で地域を知る/大槌町

<ニュースエコー 2021年11月3日>

 10月、岩手県大槌町でまちの中をコースにしたウォークラリーが行われました。東日本大震災後に移り住んだ人が多くいる地区で行われたウォークラリーの目的とは。
 大槌町の三枚堂地区です。三枚堂地区は東日本大震災で津波の被害を免れました。震災後は災害公営住宅が建ち並び、津波の被害を受けた町内の別の地区から多くの人が移り住みました。
 秋晴れとなったこの日、近隣の花輪田地区と桜木町地区の自治会と合同でウォークラリーを行いました。

(Q.10年経ちましたが暮らしは慣れましたか?)
「慣れるように努力しています」
(Q.慣れるために必要なことは?)
「隣近所、誰も知り合いがなかった。挨拶をするようにしています」

 震災後10年間の大槌町内3つの地区の世帯数の移り変わりです。
 震災後に津波危険区域に指定された町中心部の新町や被害が大きかった沿岸部の安渡地区の世帯数は減り続ける一方で、三枚堂を含む臼沢地区は10年で世帯数が倍以上に増えました。
 ウォークラリーは新たに移り住んだ人たちと、もともと定住していた人たちとの出会いの場を作ることを目的に3年前に始まりました。コースは一周5.4キロです。
ウォークラリーで交流

地域を知るウォークラリー 交流の機会に


「いやー3地区合同でっていいですね」

 三枚堂の復興住宅を出発して次に立ち寄ったのは臼沢寺野地区です。それぞれの地区に立ち寄るごとに参加者は増えていきます。
 震災から10年が経ち、移り住んだ人たちの生活は落ち着き始めているものの、もともとの住民とのコミュニケーションづくりは簡単ではありません。

(もとからの住民は・・・)
「新しい人が来てからどこに誰が住んでいるのか分からない。だから『お年寄りのお世話をお願いします』とは言うんだけど、どこにどういう人が住んでいるか教わっていないから分からないし、訪問もできない」

 一行は小鎚川に沿って町の中心部へ向かい歩きます。
 次に立ち寄ったのは花輪田地区です。海から1.5キロほど離れた花輪田地区は、東日本大震災で川を遡上した津波に襲われました。

「1階の天井鴨居くらいまで(津波が)きました」
「ここはお母さんと息子さんが亡くなったところ。だから今は空き家になってます。年配の方でしたけどね」

 国道45号に沿って北に向かい、3つ目の地区の桜木町を目指します。参加者の中には「普段からまち歩きを心がけている」と話す人も。

「家にいると人と話することがない。そうすると自分も声を出さなくては。歩けば知らない人でも『こんにちは』『天気だね』とかそういう話をしてそれがコミュニケーション」

 コースの3地区を縫うように流れる小鎚川です。川に帰ってきたサケの姿が見られる時期ですが今年は見えません。
世代も超えみんなで復興の先へ

歩みを進め避難場所も確認 「持続可能」な地域へ


「桜木町地区の避難道入り口です」
「ここがこのあいだ完成した三陸道の避難場所になっております」

 地区の津波避難場所を確認することもウォークラリーの大切な目的のひとつです。
 歩き始めておよそ1時間半。スタート地点に戻ってきました。

「(新型)コロナで外に出ることがない。歩き始めたらみんな元気そうでいいのではないでしょうか」
「みんなとふれ合っておしゃべりするのがいちばん」

 幅広い年代が参加したウォークラリーには、復興の先を見据え、地域の持続性を高めていく役割も期待されています。

(大槌町社会福祉協議会 中井幸栄さん)
「世代間で交流してその地区を盛り上げていって、次の担い手も発見できればと思っていました。これからはそういう人たちとイベントも取り組んで(自治会の)担い手が育ってくれればいい」

 とはいえ参加者の顔ぶれは前回とほぼ同じで、移住してきた人の比率はまだまだ低いのが現状です。
 だれでも参加しやすい雰囲気づくりが未来につながる確かな一歩になるはずです。
HOME