8年ぶりの開通から10日 三陸鉄道リアス線の課題/岩手
<ニュースエコー 2019年4月3日>
3月23日に、岩手県の大船渡の盛駅と久慈駅を一本のレールでつないだ三陸鉄道リアス線。中でも旧JR山田線の区間、釜石駅~宮古駅間は8年ぶりに鉄路が復旧しました。開通から10日あまり、リアス線がどのように利用されているか、この区間で取材しました。
(リポート)
「宮古に行くにも、釜石に行くにも、およそ40分間。ここ陸中山田駅は宮古・釜石間のほぼ中央にあります。地域の方にどのように利用されているのでしょうか」
オランダ島にちなんで風車をモチーフにした、券売機のない陸中山田駅。町から運営を委託された地元の観光協会が、窓口で切符を販売していました。
(利用客)
「家が建ってる辺りまで津波が来たものね」
「きょうは宮古です。(お揃いですか?)別々。私は病院。私は遊びに行くんです。(乗ってみるのは初めてですか)いや2回目。私は4回目くらいかな。広くていいね。座席が」
(山田町観光協会・和井内三穂子さん)
「(とりあえず乗ってみようかという方もいるようですね?)たくさんいますね。とりあえず、せっかく開通したから記念に乗りたいという方がたくさんいました」

8年ぶりに復旧した鉄路
8年ぶりに復旧した旧JR山田線の区間では、地元住民の利用促進のため特別な切符も発行しています。それがこちらの「地域限定特別回数乗車券」。釜石・宮古間の、いずれか決まった区間を、10回分の運賃で15回乗車できます。釜石・宮古間の沿線住民限定で購入することが出来ます。
(利用客)
「ウチの孫がもう少しで高校が始まるので、通学用に使おうと思って。回数券でとりあえず」
「(おめでとうございます)ありがとうございます。(通学は)基本は車で、部活が長引いた時とかに使おうかなと。せっかく開通したんで、ちゃんと山田の住民の一人として乗ってみたいなと思います」
こちらの中学生たちは、宮古水産高校で行われる部活動の合同練習のため、八木沢・宮古短大駅に向かいます。
「(皆さん、山田線が走っていた時に乗ったことがある人は?)山田線…?ないです。(ではここを走る鉄道は初めて)初めてです」
8年ぶりに復旧した鉄路は、世代によっては全くの新しい路線と感じます。そして、小さな子供達にとっても待ちに待った三鉄の開業です。
「(今日はこれから何に乗るんですか?)三鉄が楽しみ。釜石に行くんだよ」
「ずっと楽しみにしてて。絶対乗ろうと思ってね」

リアス線の開通で観光客も
開通初日ほどの賑わいこそないものの、観光客の姿もありました。
「旅行できています。(どちらから?)横浜から。外から来てみようという人も増えると思うし。来てみて、見てみよう観光してみよう、食事とかしてみようという方が、もっともっと増えるんじゃないですかね」
リアス線の開業を機に、山田町に帰省した親子連れもいました。
「私が実家で。いま盛岡に住んでいるんですけど、三陸鉄道乗りたいっていうので。高校の時に通学で使っていたので、懐かしくもなりました。音とかそういう景色とかやっぱり。開通してすごく嬉しいです」

関心を愛着に変えていけるか
一方、こちらは「ひょっこうりひょうたん島」をモチーフにした大槌駅です。こちらでも、通勤や通学、病院通いなどの「普段使い」の乗客が目立ちました。
「きょうは部活のために三鉄に乗ります。早いし、やっぱり快適なので。渋滞とかにも巻き込まれないので余裕を持って通学できるようになりました」
「(なんのために利用されますか?)病院。(三鉄がこうやって走る前は)タクシー使ってたから。(じゃあ三鉄さん開業して良かったですね)はい、近くなので本当に便利です」
(大槌町観光交流協会・駅舎担当者)
「地元の人に馴染んでもらえるようになること。やっぱり8年もなかった場所なので、まずやっぱり最初は券売機どう使うんだっけとか、あれホームってどうなってるんだっけっていう本当に最初のところからのスタートなので」
駅舎には飲食店も併設され、大槌自慢の新巻鮭でスープをとったラーメンも食べることが出来ます。
「おいしい」
「切符を買って乗るだけじゃなくて、それこそ飲食店に行ってゆっくりしてからここで休んでもらえるような場所になっていけたらなと思います」」
開通から10日あまり。普段使いが始まったリアス線には、沿線住民の高い関心が感じられました。関心を一過性のものにせず、愛着に変える…。三陸鉄道リアス線の真価が問われるのはこれからです。