「仮設住宅は今」 老いと向き合い、再建を待つ/陸前高田市
<ニュースエコー 2018年7月25日>
岩手県によると、仮設住宅・みなし仮設住宅に暮らす人は6月30日現在、4894人です。シリーズ「仮設住宅は今」。61回目は、老いと向き合いながら自宅再建を待つ陸前高田市の84歳の女性を取材しました。
陸前高田市の仮設団地。震災の年の6月から暮らす中山ヨツ子さん(84)です。50代の長男、18歳・17歳の孫と4人で暮らしています。津波では2人の姪を、亡くしました。集会所の壁には、仮設の仲間と交流した思い出の写真が7年分飾られています。
(中山ヨツ子さん)
「うちではあまり笑うことは無いが、出てくれば笑う。笑うことが一番で『今日も笑ったから良い』と、皆で帰って行く」
自宅を再建するなど、住民が減っていく中で、中山さんは、仮設に残り暮らす焦りを感じています。
(中山さん)
「行く所が無いからいるだけで。やっぱり早く行きたい。我が家になれば落ち着くでしょ。ここは狭くてダメ」

土地造成中のため、自宅再建は2年後
(リポート)
「中山さんは気仙町に自宅を再建し、長男家族と共に住むつもりです。その気仙町では現在、土地の造成が行われていて、再建できるのは約2年後ということです」
(中山さん)
「土を盛らないうちは『自分の(家の)入り口はこの辺だった』ってわかったが、土を盛ってしまったから分かりません」
津波の難を逃れた寺中山さんの自宅跡裏手にある津波の難を逃れた寺。あの日、高台から見た家々が流される光景が思い出されます。
(中山さん)
「皆、一斉に流されてしまてって『あーあ』がっかりしてしまって、『どうなれば良いのか』と力が折れた。でも自分が悪いわけではない」
中山さんは、自宅再建後、近所に、同世代の話しの合う人がいるか心配しています。
(中山さん)
「その時代を越えて来た人だと(話しが)合う。それより若くなると合わなくなる」「一番、年上も辛い、本当に辛い」
中山さんは我が家の再建を待ちながら、笑顔を大切に暮らしていきます。