<ニュースエコー 2018年7月11日>
(武将姿の出展者)
「五葉山(ごようざん)火縄銃鉄砲隊ご用達、どん菓子のズドーンはいかがでしょうか」

7月7日、かさ上げされた大船渡市の中心商店街の一角で、三陸の味と全国各地のご当地グルメを一堂に集めたイベント「三陸ぐるっと食堂」が開かれました。あいにくの雨にもかかわらず、多くの人が各地のご当地グルメを楽しみました。
(子どもたち)「おいしかったー」
(女性たち)「それぞれおいしいですね」「楽しいです。みんなでそれぞれ1個ずつ買ってきてつっついたりして、いろんな味が楽しめて嬉しいです。ビールもおいしいです」
(県沿岸広域振興局・石川義晃局長)
「震災以降、県内各地で食を通じて地域おこしをしている人たちがたくさんいるということで、その人たちを一か所に結集させて食の力でもって地域づくりを進めていこうということで始まった企画です」

三陸ぐるっと食堂が初めて行われたのは3年前。県の沿岸広域振興局が企画し、地元自治体などが協力した実行委員会が運営しています。これまでに釜石市と久慈市で開催されました。三陸ぐるっと食堂の出店者の1人、陸前高田市高田町の高台にある仮設店舗で飲食店を構える太田明成さんです。イベント前日、太田さんは地元産の味噌を使ってあるものを作っていました。
(太田さん)
「つけダレですね、気仙味噌に高田のハバネロとかを入れてピリ辛味噌になっているんですけどそれを作ってます」
地元のホタテやワカメなどの食材を使った「ホタテとワカメの炙りしゃぶしゃぶ御膳」、通称「ホタワカ御膳」です。太田さんをはじめとする陸前高田市内の飲食店4店舗や市などが協力し、2年前に開発しました。昨年末までに4店舗であわせて1万3000食が提供され、陸前高田の新たなご当地グルメとなっています。太田さんは、今回「ホタワカ御膳」のPRを兼ねてぐるっと食堂への出店を決意したのですが…。
(太田さん)
「今回のぐるっと食堂で蒸したホタテに付けてバーナーで炙ってお客さまに食べてもらう。いうところなんですが、今回はちょっとホタテが土日合わせて200個しか用意できなかったんで、あとはカキで代用ですね」
沿岸南部で深刻な問題となっている貝毒の影響で、地元産のホタテを用意できず、山田町から調達したものを数量限定で販売。足りない分は広田湾で養殖されたカキを提供することにしました。
イベント初日に提供するカキを用意するのは、広田湾で養殖を手がける藤田敦さんです。藤田さんの養殖筏から吊り上げられたのは手のひらに収まらりきらないほど大きな岩ガキ。陸に戻って殻を外してみると…。
(藤田さん)
「ぜんぜん申し分がないですね」
藤田さんはぷっくりとしたカキをいとおしそうに見つめます。
(藤田さん)
「すごいクリーミーでおいしいカキに育っていると思います」

イベント当日。太田さんが作ったピリ辛味噌のタレをのせたホタテやカキを買い求める人が次々と訪れます。
(食べた人)
「すごい身がぷりっぷりで、さすが高田のカキはおいしいなと思いました。それに味噌がかかってて、味噌の炙り焼きってのがなかなか食べる機会がなかったので、その味付けもすごい良くてすごいおいしかったです」
(太田さん)
「とても良かったと思います。こういうイベントを通して陸前高田のいいものをアピールできたかなと。きょう少しホタテ出したりカキ出しましたけど、これをやっぱり食べに来てもらいたいなと思って。復興の歩みとかも見てもらいたいですし、足を運んで高田のことを体感してもらえたらなと思います」
会場には他にも大船渡の「さんま水餃子」や宮古の「タラフライ」など特産をいかした料理が並び、訪れた人たちはそれぞれの地域の味を堪能していました。
(石川義晃局長)
「参加している人たちがまたそれぞれの地域に戻って、復興に向かって頑張っていただければと考えています」
食を通じて地域の魅力をいかす…。一つ一つの発信が復興への道のりを支えています。