「再びまちの賑わいを」 奔走する商店主の思い/陸前高田市
<ニュースエコー 2017年5月3日>
津波に全てを奪われたあの日から6年あまり。かさ上げした陸前高田市の中心部に大型商業施設がオープンしました。再び「中心市街地」を作る取り組みはここからが本番。奔走する一人の商店主を追いました。
4月27日、陸前高田市高田町のかさ上げ地に待望の商業施設がオープンしました。
(俳優・村上弘明さん オープン宣言)
「それではアバッセたかた、まちなか広場いよいよオープンです」
多くの市民が詰めかけ、真新しい店舗での買い物を楽しみました。
(訪れた市民)
「とても便利になったと思います」「前みたいなまちに戻ってほしい」
「アバッセたかた」は津波に襲われた中心市街地をおよそ10メートルかさ上げした大規模な造成地に建てられました。
(保育園児)「楽しい」
隣には滑り台などの大型遊具を備えた公園=「まちなか広場」も整備されました。
(戸羽太市長)
「みんな待ちに待ったというのが表情に出てるのでわたしとしてもすごくうれしい。かさ上げ地を中心市街地にするということで計画を立て、その核施設ができましたのでこれからは民間の方々とさらに力を合わせて本当ににぎわいのあるまちをつくっていきたい」

まちで唯一の文具店 ようやく念願の本設店舗へ
にぎわう店内でなじみの客とあいさつを交わすのは、書籍や文具を販売する伊東文具店の伊東孝さんです。店は4回目の引っ越しでようやく念願の本設店舗となりました。
伊東さんは震災から1か月後には仮設店舗での営業を再開しました。津波は店だけでなく、弟の進さん夫婦とその長男を奪いました。しかしまちで唯一の文具専門店として、新学期のニーズに応えなければと再開を急ぎました。
(伊東さん)
「とにかく1日でも早くみなさんの身の回りの物をできれば、全部ここでそろうわけじゃないですけど、その一助になればという思いでしたので」
(お客さん)
「高田復興させてね、頼むよ」
仮設店舗で営業を続けた6年間。先月15日、3か所目となる仮設店舗での最後の営業日を迎えました。
(お客さんと伊東さん)
「きょうでここ閉まるので」「きょうでおしまい?」「ええ」「今度どこ行くの?」「アバッセってあのー」「ああ、今度できたとこ」「そこに27日オープンです」
(お客さん)
「やっぱり高田になくてはならない、文具にしても本にしてもわたしはけっこう使っている」「ここ復活してうれしかったんで、前の仮設からずっと来てました」
(伊東さん)
「不安の中でスタートしましたけれども、お客さんが逆に買い物する場所がなくて困ってたっていうんでしょうか、そういったのがあってお客さんが来てくれて逆にお客さんの方から感謝されまして、再開してよかったという思いがありました」
仮設店舗の閉店翌日、さっそく引っ越し作業がスタートです。店から本や文具が片づけられていきます。
(伊東さん)
「やっぱり5年間ですかね、感謝してますね。この店舗には」

中心商店街の再生はこれからが本番
アバッセたかたの一角。本や文具が所せましと並べられました。念願の本設店舗がついに開店の日を迎えました。
(伊東さん挨拶)
「きょうから新たなスタートということで頑張っていきましょう。よろしくお願いします」「よろしくお願いします」
(お客さん)
「すごい数ある本でね、びっくりしました。いろいろ選べていいよね」「物もそうだし、市民の方々もいっぱい来てくれて活気をとりもどして本当にうれしい限りです」
(客と伊東さん)
「このようにお客さんがいっぱいきていただいて、みなさん笑顔で買い物していただいて、まずはホッとしています。ここがスタートラインですのでまだまだこれから。アバッセもそうですし、この一帯中心市街地ということを考えればまだまだですので引き続きやっていきたいと思います」
陸前高田のまちの再生はまだ始まったばかり。伊東さんたち商業者の挑戦は、これからが本番です。