1896(明治29)年の大津波では31戸中17戸が流失し、86人が死亡。1933(昭和8)年の大津波では75戸中7戸が流失倒壊、4人が犠牲となった。
地区内には昭和の大津波の到達点を示す記念碑があり、住宅はそれより高い位置に建てていたが、東日本大震災の津波は15メートルもの高さで到達。28世帯が流失したが、傾斜地で高台に逃げやすい地形だったこともあり、犠牲者はいなかった。
住民は地区内に26戸建設された仮設住宅で避難生活を送り「長洞元気村」と命名。自治会活動の一環で朝市を開いたり、ボランティアと交流を深めたりした。全員が退去した2015年に一般社団法人長洞元気村(戸羽貢代表理事)として法人化した。
同法人は年間30〜40の企業研修や学校の防災学習を受け入れ、農漁業体験や郷土料理の食事を通じて交流している。農水産加工品の生産や海産物の直送にも取り組み、仕事が高齢者の生きがいとなる「好齢(こうれい)ビジネス」として注目されている。
地区内には昭和の大津波の到達点を示す記念碑があり、住宅はそれより高い位置に建てていたが、東日本大震災の津波は15メートルもの高さで到達。28世帯が流失したが、傾斜地で高台に逃げやすい地形だったこともあり、犠牲者はいなかった。
住民は地区内に26戸建設された仮設住宅で避難生活を送り「長洞元気村」と命名。自治会活動の一環で朝市を開いたり、ボランティアと交流を深めたりした。全員が退去した2015年に一般社団法人長洞元気村(戸羽貢代表理事)として法人化した。
同法人は年間30〜40の企業研修や学校の防災学習を受け入れ、農漁業体験や郷土料理の食事を通じて交流している。農水産加工品の生産や海産物の直送にも取り組み、仕事が高齢者の生きがいとなる「好齢(こうれい)ビジネス」として注目されている。

営みと教訓 伝承拠点
一般社団法人長洞元気村の津波資料館は、東日本大震災の津波で全壊した同法人の村上誠二事務局長(64)の木造2階建ての自宅を一部修復して保存したもの。現在は主に防災学習ツアーのワークショップ会場に使っている。
「津波が来たとき、皆さんが今いるここは海の底だったんです」。10月に訪れた一関修紅高の1年生20人は、震災当時を語る村上さんの言葉に驚いた表情を浮かべ、天井を見上げた。骨組みを残し全て流された1階は、むき出しの梁(はり)が津波の威力を伝えている。
学習を終えた菅原美桜(みお)さんは「命に代えられるものはなく、家族や周りの人を守るには臨機応変に動く必要があるとよく分かった」とうなずいた。
村上さんと妻の陽子さん(71)が1994年に自宅を建てたこの場所は、只出漁港から約300メートル。震災の津波は2階の天井まで上がり、数日後に夫妻が訪れた時には1階の壁が全てなくなり、荷物が天井を突き破って梁に引っかかっていた。
解体を考えたが「自分たちの歴史がここにある」と思うと壊せず、保存を選んだ。元気村の活動の発展に伴い拠点の一つにしようと考え、自宅の再建のめども立ったため、2015年ごろから少しずつ修復を始めた。床を張り直してサッシを入れ、2階には地域の復興の歩みが分かる写真などを展示した。
陽子さんは「初めて訪れる人でもここまで津波が来たんだとよく分かるから、迷ったけれど残して良かった」と、自ら元気村の一員として昼食交流会などに取り組んでいる。「被災者自身の悩みや苦労、心の復興など、現場のリアル感が伝わるのが元気村だと思う。それを感じ取ってほしい」と活動に意欲を燃やす。
「津波が来たとき、皆さんが今いるここは海の底だったんです」。10月に訪れた一関修紅高の1年生20人は、震災当時を語る村上さんの言葉に驚いた表情を浮かべ、天井を見上げた。骨組みを残し全て流された1階は、むき出しの梁(はり)が津波の威力を伝えている。
学習を終えた菅原美桜(みお)さんは「命に代えられるものはなく、家族や周りの人を守るには臨機応変に動く必要があるとよく分かった」とうなずいた。
村上さんと妻の陽子さん(71)が1994年に自宅を建てたこの場所は、只出漁港から約300メートル。震災の津波は2階の天井まで上がり、数日後に夫妻が訪れた時には1階の壁が全てなくなり、荷物が天井を突き破って梁に引っかかっていた。
解体を考えたが「自分たちの歴史がここにある」と思うと壊せず、保存を選んだ。元気村の活動の発展に伴い拠点の一つにしようと考え、自宅の再建のめども立ったため、2015年ごろから少しずつ修復を始めた。床を張り直してサッシを入れ、2階には地域の復興の歩みが分かる写真などを展示した。
陽子さんは「初めて訪れる人でもここまで津波が来たんだとよく分かるから、迷ったけれど残して良かった」と、自ら元気村の一員として昼食交流会などに取り組んでいる。「被災者自身の悩みや苦労、心の復興など、現場のリアル感が伝わるのが元気村だと思う。それを感じ取ってほしい」と活動に意欲を燃やす。
