<ニュースエコー 2021年8月11日>
				コロナ禍の心を癒す
			
			
				~2年ぶり・海のまちの夏まつり/大船渡市
			
			 			 
					
				 岩手県大船渡市で「三陸・大船渡夏まつり」が2年ぶりに開かれました。花火が夜空を彩り、七夕船が湾をめぐる―。多くの人を喜ばせた夏まつりの裏には、コロナ禍の閉塞感を振り払おうと開催に向け奮闘した人たちがいました。
 8月7日、大船渡市で2年ぶりとなる「三陸・大船渡夏まつり」が行われ、大輪の花火が夜空を彩りました。「楽しい」
「感動しました」
「有料席だったんですけどお金払っても見たいなって思うくらいきれいで良かったです」
「良かったです」
花火とともに祭りを盛り上げるのは、海のまち大船渡ならではの「海上七夕船団」。イルミネーションや竿灯で飾られた18隻の船が湾内を巡ります。
「♪御祝の~」
花火の打ち上げを前に海上七夕船団が出港していきます。メインの船「大船渡丸」では祭りの成功を願う「御祝(ごいわい)」がステージで披露され、にぎやかな船出となりました。
海上七夕船団を運航するのは地元企業や有志でつくる「大船渡・海を愛する会」のメンバーたち。コロナ禍で去年は祭りが中止になったため、2年ぶりの開催にかける思いはひとしおです。
 
				祭りの準備に奔走 「海を愛する会」
6月末、「海を愛する会」の総会が開かれました。この会は大船渡の夏祭りを盛り上げようと35年前に結成されました。
(大船渡・海を愛する会 齊藤俊明会長)
「(コロナ禍で)停滞感と閉塞感が漂っております。祭りで少しでも払拭していきたいなと。つまり夢と希望と元気を持っていただきたいと」
祭りへの熱い思いをメンバーに伝えるのは齊藤俊明会長です。この日は海上七夕船の飾りつけ作業について、打ち合わせが行われました。
「くれぐれもけがに十分注意してやっていただきたいと思います」
太陽が照りつける中、大船渡丸が係留されている茶屋前岸壁に、会のメンバーが集まりました。2年ぶりに船の飾りつけがスタートしました。竿灯の提灯を拭いてきれいにしたり、船に置かれていた機材をクレーンで下ろしたりとあわただしく作業を進め、齋藤会長も提灯の掃除に精を出します。
(齊藤会長)
「いい祭りにするんだと。常により良く。2年間寝せておいたから埃の中になってしまっていたから、今きれいに拭いているところです」
次の週は大船渡丸に提灯などを取り付ける作業が進められ、祭りの準備は大詰めです。
祭り前日、最後に大漁旗が取り付けられ、海上七夕船が完成。齋藤会長は祭りへの意気込みを新たにしていました。
(齊藤会長)
「一時的でもコロナ禍の不自由さを忘れてほしい。楽しい、おもしろい、喜びを感じることによって生きてて良かったなと。またそういうことがないと生きていけないのよ、人はね。そういう意味では果たす役割、使命が非常に大きいなと」
 
				ひととき、心を軽く~夏まつりがもたらしたもの
「コロナ禍だからこそまつりを開催する」―。例年と違い、市民道中踊りなど「密」になるイベントはありませんが、訪れた人は距離を取りながら空を見上げ、花火と海上七夕船団の競演に目を奪われていました。中には通話状態にしたスマートフォンを花火に向けてかざす人も。
(通話しながら見物する人)
「自分のおばあさんですね。このコロナで、あと身体もちょっと衰えてきたっていうのもあるのでなかなか見る機会がないっていうので、遠くからでもビデオ通話でせっかくなので見せてあげた。喜んでいました。きれいな花火で本当に見れて良かったって言っていましたね」
(大船渡・海を愛する会 齊藤俊明会長)
「ひとときこのコロナを忘れてくれたんじゃないかな。そういう意味では非常に気持ちが軽く、明るくなったと信じております」
閉塞感を払い、多くの人にひとときの心の癒しをプレゼントした「三陸・大船渡夏まつり」。来年こそは例年通りの祭りができるように―。「海を愛する会」のメンバーが願うのは、一日も早い新型コロナウイルス感染症の収束です。
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