<ニュースエコー 2018年6月20日>
				「宮古・室蘭フェリー」
			
			
				新航路への期待と課題/宮古市
			
			 			 
					
				いよいよ6月22日、岩手県宮古市と北海道室蘭市を結ぶフェリーが就航します。観光や物流に大きな変化をもたらす「宮蘭航路」への期待と課題を取材しました。
(宮古市職員)
「宮古と室蘭、6月22日からつながります。岩手県初のフェリーで、北海道と岩手がつながります」
今月2日と3日の2日間、30万3000人の来場者でごったがえした、東北絆まつりの会場です。ひときわ大きな声でフェリーをPRする、宮古市の人たちの姿がありました。
(宮古市産業振興部観光課・畑中志美さん)
「フェリーの事を呼びかけると、いろんな人が反応してくれるので、フェリーの利用にもつながればいい」
宮古市と北海道の室蘭市の片道326キロを、およそ10時間かけて運行する、県内初の定期フェリーは最大定員600人、積載できるトラックは69台、乗用車が20台。1日1往復で宮古は朝、室蘭は夜の出発です。
 
				岩手初の航路を全力で周知
就航まで10日となったこの日、まだ静かな宮古市磯鶏のフェリーターミナルを訪ねました。ホテルのフロントのような受付カウンターに、海を見下ろせるおしゃれな飲食スペースなど、「海の玄関口」にふさわしい立派なたたずまいです。
(リポート)
「こちらが搭乗口です。人だけ、あるいは車の同乗者の方が、ここを通って船に向かいます。この人道橋、長さはおよそ25mあります。明るく開放的です。まるで航空機に乗る時のタラップを歩く気分がします」
(就航5日前見学会)
「この先は北海道ですから」
就航5日前のイベントでは、ターミナルの見学会が開かれ、多くの市民が訪れました。
(市民)
「私もフェリーは初めてだから。1便に乗りたくて」
「観光もそうですけど、人がたくさん集まったりしてくれるといいです」
宮古市では就航200日前から始まって、折々にカウントダウンイベントを重ねること12回。新航路の周知に全力を注いできました。
(宮古市港湾振興課・小成勝則課長)
「民間の観光関係者や商業の方々と、力を合わせて大勢のお客さんに、宮古を楽しんでもらえるよう進めていきたい」
 
				フェリー就航が「復興」につながって欲しい
就航を心待ちにしてきた1人、宮古市出身の岡崎海帆さん19歳です。宮古商業高校を卒業後、去年春、東京に本社を置く海運業、川崎近海汽船の関連会社に就職しました。
(岡崎さん)
「お電話ありがとうございます。シルバーフェリー岡崎です」
「今年、新航路ができるということで、やりがいのある仕事だと感じたことが(就職の)きっかけです。地元に貢献できたらなと思って」
生まれも育ちも宮古という岡崎さん。フェリーの就航を契機に、故郷の未来図を描いていました。
(岡崎さん)
「この港が少しでもにぎやかになって、復興に少しでもつながっていけたらと思っている」
 
				新航路のカギは「貨物輸送」
一方フェリー開設に熱い視線を注ぐ業界があります。
(岩手県トラック協会宮古支部長・佐々木久志さん)
「新しい物流の方法ができるというので、そこの部分については、すごく期待しているところです」
岩手県トラック協会の宮古支部で、29の運送会社をまとめる、佐々木久志支部長です。復興工事に関わる需要が、減っていくことが見込まれる運送業界では、無料で走行できる三陸沿岸道路の縦のラインと、盛岡-宮古間の国道106号の横ライン、そして海路を組み合わせたルートは、新たな活路を見出すチャンスです。しかしそれは運ぶ荷物と届け先があってのこと。現在、佐々木さんに乗船の見通しはありません。
(佐々木さん)
「今まで東北と北海道の取り引きとか、荷物の流れというのは、そんなに多いものではないので、1船1船毎日行ったり来たりの物量が、果たしてどこまであるのか、ちょっとまだ見えないような気がします。」
手放しで喜んでいられないのが現実です。観光はもちろん新航路のかぎは貨物輸送。復興に向かう被災地が、北海道や首都圏への販路を生み出す契機になれるかです。
(川崎近海汽船宮古支店・小原一良支店長)
「定期的に乗って頂けるお客様と、いかに取り引きできるかがポイントになる」
希望を乗せた第1便はいよいよ22日、午前8時に宮古港から大海原に出航します。
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