気象と防災 マメ知識!

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気象と防災 マメ知識!

気象予報士・防災士の神山 浩樹(IBCアナウンサー)がお届けする5分間。

◆放送日時
毎週土曜日17:50~17:55
番組開始:2009年4月〜

◆出演
神山浩樹(IBCアナウンサー)

お便り・お問い合わせ

594回「警視庁ツイッター2」2020年10月3日OA

2020年10月03日 6:00 PM

今日は、以前も取り上げた警視庁警備部災害対策課のツイッターについてです。いざという時に役立つ防災情報を発信していて、2013年から始め、今ではフォロワーと呼ばれる登録者が85万人を突破する人気ぶりです。最近の情報からいくつかピックアップします。

まずはアンダーパス=立体交差で掘り下げた道路をキレイにする投稿です。交番に勤務しているその警察官は、台風などによる大雨が予想される前に、必ずアンダーパスに行って排水路のゴミを取り除くようにしている、という内容です。これは「落ち葉」や「吸い殻」などのゴミが排水溝に詰まることにより、道路冠水の原因になるからです。もし避難経路だったら、非常に危険です。災害に強い街づくりに加えて、街の美化にもなる地道な取り組みです。避難経路に雑草が生えていると通行の妨げになり、草取りが必要になります。意外な道具を使った草取りのアイデアが掲載されていました。工具の「ペンチ」を用いる、というものです。手強いタンポポも根元から簡単に抜くことができる、とのこと。大工道具ではない、発想を転換した工具の用途に感心しました。発想の転換といえば、急に暴風雨が強まり、家の内側から窓ガラスの飛散防止措置を取る際の方法も紹介されていました。段ボールやカーテンを利用するというものです。段ボールは、窓ガラスに養生テープで隙間ができないよう貼り付けます。カーテンは閉めるだけではなく、洗濯ばさみでしっかり補強する、というものです。これはあくまでも緊急的な対処です。事前に飛散防止フィルムを貼ったり、台風が接近している時は雨や風が強まる前に、早めに外側から対策しておいたりすることが大切です。災害の発生を想定し、自宅マンションで、電気、ガス、水道を使わずに、午前8時~翌日午前8時まで24時間、生活してみたという体験談もありました。ご家族は、本人の他、奥様、10歳、8歳、6歳、2歳の子供たち、計6人です。終了後にお子さんから出された「夜は真っ暗なのでライトを探すのも難しい」といった感想が掲載されていて、興味深い内容です。

防災のプロが発信する警視庁のツイッターは「警視庁警備部 災害」で検索すると御覧になれます。

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593回「日本海溝・千島海溝沿い巨大地震2」2020年9月26日OA

2020年09月26日 6:00 PM

日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に伴う大津波についてです。内閣府によると、東日本大震災の津波の高さと比べた場合、青森県以北では今回推計した津波の方が高く、岩手県内では、海岸地形にもよりますが、宮古市付近より北で今回推計した津波の高さの方が高くなる所があります。「北海道」では、根室市からえりも町付近にかけて10~20mを超え、高い所ではえりも町で30m弱。えりも町より西側の地域の苫小牧市や函館市などで10m程度が想定されています。「青森県」では八戸市の高い所で25mを超え、太平洋岸で10~20m程度が想定されています。「岩手県」では、宮古市の高い所では30m近い津波の高さになる等、10~20m程度。「宮城県」や「福島県」などでは、場所によっては10mを超える高さですが、一部の地域を除き東日本大震災よりも低い想定です。

さて内閣府は、この津波により防潮堤が破壊されるケースと破壊されないケースについて、岩手県の浸水想定を公表しました。沿岸市町村の浸水の深さは7段階で色分けされていて、防潮堤が破壊されるケースでは、沿岸北部を中心に市街地が5メートル以上浸水する市町村もあります。野田村の野田湾では地震発生34分後、最大波である第1波13.4mが襲来。地震発生43分後には役場のある場所で8.2mの浸水が想定されています。又、釜石市の釜石湾では地震発生81分後、最大波9.2mが押し寄せ、その時間に市役所は6.7mの浸水が想定されています。この他、久慈市の久慈湾では地震発生83分後、最大波13.5mが来襲。地震発生90分後、市役所は5.3mの浸水が想定されています。津波が防潮堤を乗り越えたとしても破壊されないケースで庁舎の浸水が想定されているのは久慈市のみで、地震発生53分後、1.5mの浸水です。

地震、津波は自然現象で不確実性を伴います。今回の想定で示した時間よりも早く津波が到達したり、津波の高さが高くなったり、浸水範囲以外でも浸水の恐れがあったりすることに注意が必要です。東日本大震災の教訓は、防潮堤のようなハードだけで命を守るには限界があるということです。防潮堤はあくまで避難の時間を稼ぐという意識を持ち、決して過信せず、何よりも「逃げることが大事」ということを忘れてはなりません。

 

589回「発達障害と避難」2020年8月29日OA

2020年08月29日 6:00 PM

SVDさんから質問を頂きました。ありがとうございます。「ここ最近、水害にコロナ、後は間接的な地震などの話題に頭が痛いと感じる私。先日、私が住んでいる一関市の避難所のリストを見ていた時、水害、地震の時は・・・と書いてあるのは良いけれど、私は発達障害があるし、避難所ではどうやって居るのが正しいのかわからないし、会話もできないし、寝ているのが良いのか、手伝ってと言われた時にどうやって対処するのが正しいのかよくわからないし、本当に頭が痛い話だと感じるので」。

この件について、岩手県と一関市にお聞きしました。避難所運営を担当する一関市まちづくり推進部まちづくり推進課によりますと、市では新型コロナウイルス感染症への対策として、多くの人が避難所に密集しないよう「分散避難」を推奨しているとのことです。分散避難とは、安全な地域に住む親戚や知り合いの家などに避難することです。自宅が安全な地域にあれば、無理に避難するのではなく自宅に留まる選択肢もあります。市が設置する避難所に避難する際、配慮が必要な場合は、避難所スタッフに相談していただければ、別室やテントといった個別の配慮スペースを確保するなど、避難された方の状態に応じた対応を行うとしています。また保健師等による健康調査を行い、障害者支援施設や高齢者福祉施設などの福祉避難所への避難が必要な場合は、避難された方の状態に対応した施設との調整を行い、避難体制を整えるということです。

加えて岩手県保健福祉部障がい保健福祉課では、ご家族の協力を求めています。避難所スタッフに対して「本人の心身の状態や障がいの特性をお伝えいただくとともに、併せて、本人が必要とする薬、食品などの物品や、落ち着ける場所、話しかけ方など、特に配慮する事項もお伝えいただきたい」としています。そして大規模災害時は、岩手県災害派遣福祉チームが、避難所の要支援者の福祉・介護等のニーズ把握や応急支援などを行う体制を構築する、ということです。県や市の支援体制をお伝えしましたが、それでも不安がある場合は、平時にSVDさんのご家族から、市に相談しておくことが、災害が起きた時の備えになりそうです。

 

583回「津波フラッグ」2020年7月18日OA

2020年07月18日 6:00 PM

気象庁がガイドラインを公表し、先月より運用が始まった「津波フラッグ」についてです。「津波フラッグ」とは、海水浴場で津波警報等の発表を知らせる「旗」です。長方形を四分割した、赤と白の格子模様のデザインになっています。縦横の長さや比率に決まりはありませんが、実際に見てわかるように、短い辺の長さが1m以上になります。

気象庁が津波警報等を発表すると、ラジオ、テレビ、緊急速報メール、防災無線、サイレン等、様々な手段で地域の人に伝達されます。一方で海水浴場等においては、耳で聞いてわかる伝達手段と比較して、目で見てわかる伝達手段が少ないことから、津波警報等の視覚による伝達手段について検討が行われました。背景にあったのは東日本大震災です。岩手、宮城、福島における聴覚障害者の死亡率が、聴覚障害の無い人の2倍に上った、というデータがあります。その原因として、「防災行政無線、サイレン、広報車による避難の呼びかけが聞こえなかった」「停電によりテレビの字幕や携帯メール等が使えなかった」点が挙げられています。海水浴場では、津波警報等が発表されたら直ちに避難する必要があります。しかしこのような場所では、携帯電話を持っていないことも多く、防災行政無線やサイレンでは、耳が聞こえにくい人に情報を伝えることができません。又、聴覚に障害が無くても、海に入っている場合等、波や風によりこれらの音が聞こえない場合も考えられます。このような際、津波警報等を伝達する手段として、旗による視覚的な伝達が提案されたのです。

この津波フラッグは、主に船舶間の通信に用いられ「進路に危険あり」を意味する国際信号旗(こくさいしんごうき)のUの旗と同様のデザインです。海外では海からの緊急避難を知らせる旗として多く用いられています。デザインは「視認性が高い」「色覚の差に影響しにくい」「国際的に認知されている」「遊泳禁止と混同しない」という点から選ばれました。海水浴場や海岸付近で津波フラッグを見かけたら、速やかに避難を開始し、より高い所を目指して逃げましょう。

577回「日本海溝・千島海溝沿い巨大地震」2020年6月6日OA

2020年06月06日 6:00 PM

東北から北海道の太平洋沖にある日本海溝と千島海溝沿いを震源とする大地震の想定を内閣府の有識者会議が公表しました。津波想定の対象は北海道と青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の7道県で、マグニチュード9クラスの巨大地震が発生すれば太平洋沿岸の広い範囲に大津波が到達するとしています。このうち日本海溝での地震はマグニチュード9.1と想定されていて、県内では大槌町、釜石市、大船渡市、それに陸前高田市で震度6強の強い揺れに見舞われるとされました。津波の高さは宮古市が29.7メートルで全体で最も高い想定です。その他は岩泉町が26.6m、山田町が21.9m、田野畑村が20.9m、釜石市が18.5m、大船渡市が16.2m、陸前高田市が12.5mなどとなっていて、県内の沿岸市町村に10m以上の津波が到達すると想定されています。宮古から北では地点によって東日本大震災の時よりも高い津波が到達する予想となっています。

各道県の具体的な浸水想定エリアも図面で示されましたが岩手県については今回公表が見送られました。内閣府は「沿岸市町村の復興まちづくりへの影響や住民に不安を与えるといった懸念を考慮した」と説明していて、県からも公表について慎重な判断をするよう要請があったということです。これについて武田良太防災担当大臣は会見で「できるだけ早く公表できるよう丁寧に説明したい」と述べ、県内の浸水想定エリアの公表に向け地元自治体と調整を進める考えを示しました。県内の浸水想定の公表が見送られたことについて達増知事は「国の検討の目的や浸水想定の前提条件に対する市町村の理解が得られていない中での公表は見送るべきではないかとの声が挙げられている。今後とも地元に十分な理解が得られるよう求めていく」とコメントを発表しました。

有識者会議では、最大クラスの地震の発生確率を求めることは困難であるが、過去に巨大な津波が約300年から400年間隔で発生していて、直近の17世紀の津波からの経過時間を考えると、「最大クラスの津波の発生が切迫している状況にあると考えられる」としています。東日本大震災の教訓は、防潮堤のようなハードだけで命を守るには限界があるということです。今回、県内の具体的な浸水想定エリアの公表は見送られましたが、津波から命を守る為には何よりも「逃げることが大事」ということを決して忘れてはいけません。

 

576回「フクシマの社会運動」2020年5月30日OA

2020年05月30日 6:00 PM

今日は福島大学・後藤康夫(やすお)名誉教授と、基礎経済科学研究所・後藤宣代(のぶよ)副理事長の2人が、福島などに暮らす執筆者と共に、原発事故後の社会運動について著し編集した、八朔社「21世紀の新しい社会運動とフクシマ」についてです。

スタンフォード大学科学・技術と社会プログラム副ディレクターの佐藤恭子さんは「低線量被ばくの問題をどう考えるか」という章で「トランス・サイエンス」という概念を取り上げています。提唱したアメリカの核物理学者ワインバーグは低線量被ばくの遺伝的影響をあげ、動物実験で「統計的に信頼できるレベルで確認するには80億匹のマウスが必要だ」として、「理論的には科学的に答えられるはずではあるが、現実には不可能であり、科学を超えるということでトランス・サイエンス的な問題」としています。そして「被ばくは無ければ無い方がよく、全く無害な閾値(いきち=最小の値)は無い、という見方が科学者の間の広いコンセンサス(=合意)にも拘らず、実害の可能性を否定し、不安の表明を『風評被害』や『福島の復興を妨げる』と批判するのも民主的議論の圧迫・抑圧である」と指摘しています。又、後藤宣代さんは「科学者間でも見解が異なる外部被ばく、内部被ばく、そして低線量問題が、許容線量をめぐる対抗として展開している。『フクシマの運動』は、政府や行政の一方的な許容線量設定に対して、住民サイドが自主学習を重ねて、声を上げ、行動し、その設定を覆しているというところに特徴がある」と考察しています。

NPO法人コモンズの中里知永(としのり)理事長は、フクシマの運動の一つ、「いわき放射能市民測定室たらちね」について取材しています。この認定NPO法人は、原発事故による被ばくの被害から子どもたちと地域の人々の健康と暮らしを守る為、地域住民が2011年11月に開所しました。食品、水、海水、土壌、資材、人体の放射線量を測定して公開したり、2017年には内科と小児科のあるクリニックを開設し、甲状腺エコー検査や尿中のセシウムの測定なども実施したりしています。不安を感じる人たちに寄り添い、正しい情報=放射線の数値を提供する住民サイドの活動は、これからも続きます。

 

571回「コロナ禍の避難所運営」2020年4月25日OA

2020年04月25日 6:00 PM

今日は新型コロナウイルス感染症のクラスター=集団発生対策についてです。厚生労働省は、咳やくしゃみをする際、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖などで口や鼻をおさえる「咳エチケット」や、手洗いに加え、「密閉」「密集」「密接」の3つの密を避けるよう呼びかけています。「換気の悪い『密閉』空間」については、「部屋が広ければ大丈夫」「狭い部屋は危険」というものではありません。WHOは空気感染を起こす「結核・はしかの拡散」と「換気の回数の少なさ」の関連を認めていて、カギは「換気の程度」ということです。窓がある場合は2方向を1回数分間全開、これを1時間に2回以上。窓が1つしかなくても、入口のドアを開ければ窓とドアの間に空気が流れます。「多数が集まる『密集』場所」については、他の人と互いに手を伸ばして届かない十分な距離2m以上を取る、座席は隣の人と一つ飛ばしに座る、又互い違いに座るのも有効としています。「間近で会話や発声をする『密接』」についてWHOは「5分間の会話で1回の咳と同じくらいの飛沫が飛ぶ」と報告していることから、対面の場合は十分な距離を保ちマスク着用をお願いしています。

さて新型コロナウイルス感染拡大が続く中、もし自然災害が発生し、避難所に避難しなければならなくなった場合、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。内閣府は今月はじめ、各都道府県などに対して「避難所における新型コロナウイルス感染症への対応について」通知しました。「可能な限り多くの避難所の開設」「親戚や友人の家等への避難の検討」。これらは避難所が過密になることを防ぐ為の措置で、ホテルや旅館等の活用も提案しています。又、避難所では「避難者の健康状態の確認」「手洗い、咳エチケット等の基本的な対策の徹底」「避難所の衛生環境の確保」「十分な換気の実施、スペースの確保」と、これまでの避難所運営以上の衛生管理が求められます。又、発熱、咳等の症状の人には「可能な限り個室や専用トイレを確保」し「一般の避難者とはゾーン、動線を分けること」としながらも、新型コロナウイルス感染症の場合は「軽症者等であっても原則として一般の避難所に滞在することは適当でない」とし、適切な対応を事前に検討するよう求めています。

自然災害が発生する前に官民一体となって、新型コロナ対策を考慮した避難方法を想定しておく必要があります。

570回「防災拭い」2020年4月18日OA

2020年04月18日 6:00 PM

デザインを手掛ける滝沢市大釜にある有限会社「クワン」は、岩手県のPRキャラクター「わんこきょうだい」をプリントしたユニークな手拭い「防災拭い」を制作、販売しています。「防災拭い」とは、災害を防ぐ「防災」と日本古来の「手拭い」をかけた造語です。災害時に落ち着いて行動するための手順や防災情報を厳選し、わかりやすいイラスト付きで手拭いに印刷しています。

大きさは縦34センチ、横幅は100センチ。よく見かける手拭いより10センチ長くなっています。煙の多い現場に遭遇した際は口を覆う、出血した際はそのまま、又は切り裂いて三角巾や包帯代わりにする等、手拭いだからこその活用方法があります。約35グラムと軽量で、手のひらサイズに小さく畳め、いつも持ち歩けます。東北大学の今村文彦教授が監修した「防災グッズ編」「地震編」「津波編」、又、3月より岩手大学の斎藤徳美名誉教授が監修した「台風編」が加わりました。「防災グッズ編」の真ん中にはわんこきょうだいの「そばっち」がデザインされ、その左側には「非常持ち出し品」として、いつも携帯したいモノ、必ず準備しておくモノのイラストが、右側にはあると便利なモノ、手拭いの便利な使い方、警察や消防の電話番号が記載されています。手拭いの文字はシルクスクリーンでプリントされていて濡れても消えない為、雨でも情報が確認できます。洗って繰り返し使え、薄いので乾きやすいメリットもあります。

小野公司社長は、2005年に県内の放送局から依頼され防災ハンドブック制作を手がけました。その際、防災の大切さを実感し「大人から子どもまで持ち歩ける防災用品」をコンセプトに制作することにした」とのことです。手拭いの右下には名前、生年月日、アレルギーの有無、連絡先を書き込む欄が設けられていますが「災害時、口頭で伝えることが困難な時、書き込まれた個人の情報が次に繋がるお手伝いができるのでは」と、その役割に期待しています。小野さんは「地域や学校での防災学習にご利用いただき、いざという時、慌てることのないようご活用いただければと思います」とリスナーに呼びかけています。防災拭いは、日頃から防災を意識し、災害発生時に冷静な行動をサポートするアイテムとして活躍しそうです。1枚税込み550円で、取扱店など詳細はインターネット「防災拭い」で検索すると御覧になれます。

569回「赤十字防災セミナー 災害への備え」2020年4月11日OA

2020年04月11日 6:00 PM

今日は「赤十字防災セミナー 災害への備え」という小冊子についてです。日本赤十字社で行っているセミナーのカリキュラムを元に、その要点や、災害時に役立つ知識などが32ページとコンパクトにまとめられています。

地震・津波・大雨から命を守るポイントの他、街歩きを通して「自宅から避難場所の距離・身体的疲労」「木造住宅密集地域や古く倒れそうなブロック塀」「津波避難の標識」などに注意するよう促していて、避難経路を見直すきっかけになりそうです。「暮らしをつなぐ」項目では、家屋や家財の損壊・水没、ライフラインが停止した際の避難場所ついて取り上げています。学校などに開設される「避難所」の他「車中泊避難」「在宅避難」「アパートを借りた避難」「血縁の知り合いを頼った縁故避難」「ホテルや旅館への避難」と、多様な避難方法があることをイラスト入りで紹介しています。避難というと「避難所」がまず頭に浮かびますが、「多くの避難者と共同生活を送る必要がある」「トイレの数が足りない」「入浴の機会が限られてしまう」等、不自由な環境でストレスを感じることがあり、選択肢を提案した形です。一方で避難所の大事な点として「避難した方々だけではなく、災害によって自宅や車中などで避難生活を送るすべての方々への情報・物資提供の場所として、地域の支援拠点となります」と記載しています。東日本大震災では、自宅は残ったものの物資が手に入らなかった被災者が、避難所の物資を分けて貰えなかった例がありました。その教訓から、避難所が被災者全てに開かれた場所であることを強調しているのです。備えの項目では、「過去の災害で無くて困ったものにあげられたのは、普段飲んでいる薬の情報、下着、本人確認ができる身分証明書などがありました」と、具体例を挙げて説明し参考になります。

日本赤十字社岩手県支部参事の木村匠さんは 「災害発生時に『いのちを守る』備えについて、そして守ったいのちを生活の再建につなげるため、災害発生後の『暮らしをつなぐ』備えについて、この小冊子を通して、多くの方々が考え行動に移していただけることを願っております」と活用を呼びかけています。この小冊子は、日本赤十字社のHPからダウンロードできます。

 

567回「地震のはなしを聞きに行く」2020年3月28日OA

2020年03月28日 6:00 PM

今日は2013年3月、偕成社発行、文・須藤文音(すとうあやね)、絵・下河原幸恵(しもかわらゆきえ)「地震のはなしを聞きに行く」という本についてです。福祉施設職員の須藤さんは23歳だった震災当時、仙台で暮らしていました。気仙沼市の実家は津波の難の逃れたものの、気仙沼港で船の整備士をしていた父親が命を落としました。震災を避けるようにしていましたが「現実からにげつづけていいのか」考えるようになり、「なぜ父が死んだのか」知るため、3人の研究者を訪ねます。

地震学が専門の東北大学・松澤暢(まつざわとおる)教授は、平均約38年周期で発生している宮城県沖地震は、東日本大震災の時に同時に起こったことは恐らく間違いないと解説します。しかし、想定されていた宮城県沖地震の場所より沖合の方が大きく動き、その影響で宮城県沖地震の発生は早くなるかもしれないと考えている研究者もいれば、震災でプレートのエネルギーが放出され、暫く宮城県沖地震は起きないという意見の研究者もいる等、どれが正しいかはっきり分からず「宮城県沖地震が近い将来おこる可能性もあるということはおぼえていてもらったほうがいいと思います」と備えを呼びかけます。地震考古学が専門の産業技術総合研究所客員研究員・寒川旭(さんがわあきら)さんは、貞観地震の起きた9世紀と現代には共通するところがあると指摘します。830年~863年は日本海側で地震が続き、869年東北地方で貞観地震、878年関東・相模湾で地震、887年仁和(にんな)南海地震が発生。そして現代は2004年~2007年に日本海側で地震が続き、2011年に東日本大震災が発生しました。寒川教授は「次は首都圏の近くや南海トラフで地震がおこる可能性がとても高いわけです」と警鐘を鳴らしています。防災学が専門の関西大学社会安全研究センター長・河田惠昭(かわたよしあき)さんがおすすめする防災術の一つが「家のなかはつねに整頓!いらないものはすてる」です。阪神・淡路大震災の時、玄関に靴を脱ぎっぱなしにしていたり、階段に物を積んでいたり、家の中が散らかっていたりした人が沢山ケガをしたから、ということです。

須藤さんは、少しの知識と少しの意識で未来は変えられるとして「すこしでも被害をへらせるよう、大切な人をうしなうことのないように、ひとりひとりが自分のこととして、この震災を考えてほしい」と結んでいます。

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