気象と防災 マメ知識!

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気象と防災 マメ知識!

気象予報士・防災士の神山 浩樹(IBCアナウンサー)がお届けする5分間。

◆放送日時
毎週土曜日17:50~17:55
番組開始:2009年4月〜

◆出演
神山浩樹(IBCアナウンサー)

お便り・お問い合わせ

612回「水循環型手洗いスタンド」2021年2月6日OA

2021年02月06日 6:00 PM

現在、盛岡駅西通一丁目、岩手県民情報交流センター「アイーナ」には、水循環型手洗いスタンド「WOSH」(ウォッシュ)が設置されています。水道の無い場所でも清潔な手洗いができる全く新しい手洗いスタンドです。形は公共施設で見かけるウォータークーラーに似ています。WOSHは白いドラム缶型で、高さ約1m、直径60センチ、一番上には水飲みではなく手洗いのシンクがあります。蛇口とハンドソープが出るノズルがついていて、手を触れずにセンサーで使用でき衛生的です。WOSHには20リットルの水をろ過する3つのフィルターの他、それを制御するAI=人工知能が入っています。ウイルスを死滅させ不純物をキレイにし、使用後の水を水道水の基準まで浄化し循環させることで、最大500回の手洗いが可能ということです。私も体験してみましたが、シンクの青いリングが光りながら1周するまで、たっぷりの水でもみ洗いし、実に気持ちの良いものでした。

WOSHは、元々、東京にあるWОTA(ウォータ)という会社が開発しました。そして今回、WОTAと提携している、ガスの製造販売などを行う北上市の「北良(ほくりょう)」が設置したものです。北良の笠井健(かさいけん)社長によりますと「5年前の熊本地震で被災地支援に訪れた際、避難所で手を洗えない為にノロウィルスやインフルエンザといった感染症が発生していました。断水になってもできる手洗いが必要だろうということで、こちらの開発に乗り出しました」ということです。石鹸と流水による手洗いは、最も基本的で効果のある感染症予防策とされており、手指についた菌・ウイルスを100万分の1まで減少させ主な感染経路である接触感染を防止する効果があるということです。笠井社長は「災害時だけではなく、野原やイベント会場の真ん中などにも持ち運びができます。新型コロナ禍の中、又、終息後も衛生的な環境を維持し、岩手県を災害と感染に強い地域にできれば」と語っていました。

「WOSH」は現在、東京のデパート・百貨店、JRの駅構内やコーヒーショップなど、多くの人が出入りする場所に徐々に置かれています。県内ではアイーナ3階総合受付付近に2月12日(金)まで設置されています。

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607回「防災拭い 新型コロナ編」2021年1月2日OA

2021年01月02日 6:00 PM

去年4月、この番組で取り上げた「防災拭い」に、新しく「新型コロナウイルス編」が加わりました。制作、販売しているのは、デザインを手掛ける滝沢市大釜にある有限会社「クワン」です。「防災拭い」とは、災害を防ぐ「防災」と日本古来の「手拭い」をかけた造語です。災害時に落ち着いて行動するための手順や防災情報を厳選し、わかりやすいイラスト付きで手拭いに印刷しています。大きさは縦34センチ、横幅は100センチ。よく見かける手拭いより10センチ長くなっています。2005年に「防災グッズ編」と「地震編」、その後、「津波編」などを全国で販売、累計販売枚数28万枚を超えた商品で、今回の「新型コロナウイルス編」はその第6弾となります。クワンでは、以前よりインフルエンザやノロウイルスなども災害と捉え感染症対策編を企画していたところ、新型コロナ感染が拡大したことから、本格的に制作を開始したということです。

この防災拭いは、左上には「クラスター(集団)感染発生のリスクを下げるため、3つの密の空間を避ける」とイラストと分かりやすい文章で描かれていて、その下には「日常生活の中でできる予防対策」として、人との間隔をできるだけ2m空けることや、こまめな換気など、8つの新しい生活様式の実践例が解説され、防災拭いの右側には「正しい手の洗い方」「正しいマスクの使い方」が描かれています。これらの情報は岩手医科大学附属病院の櫻井滋教授が監修しました。

「新型コロナウイルス編」は、県内の住宅メーカーが感染予防の取り組みとして、1月より来店者に配布することになったなど多くの反響があるとのことです。小野公司社長は、『軽量で薄いので、畳むとコンパクトになります。鞄に入れて毎日、持ち歩いてもかさばりません。いざという時には簡易マスクになります。更に洗っても色落ちせず、乾きやすいので、お手入れしやすく便利に使えます。冬はインフルエンザや風邪のリスクも高まりますので、感染症予防意識を高めるツールとして1人1枚、お持ちいただければ』と勧めています。1枚税込み550円で、取扱店など詳細はインターネット「防災拭い」で検索すると御覧になれます。

 

606回「日本の気候変動2020」2020年12月26日OA

2020年12月26日 6:00 PM

気象庁と文部科学省は、地球温暖化による将来の予測を「日本の気候変動2020」として取りまとめました。今世紀末の世界の平均気温について、温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」の目標を達成した場合の「2度上昇」、現時点を超える追加的な緩和策を取らなかった場合の「4度上昇」、この2つの想定を盛り込んでいます。

具体的に見てみると、世界の平均気温「2度上昇」では、日本の平均気温は1.4度上昇、北日本ではそれより高い1.5度上昇。1日の最高気温が35度以上の「猛暑日」は全国平均で2.8日増加、北日本では0.7日増加。夜間の最低気温が25度未満の「熱帯夜」は全国平均で9.0日増加、北日本の太平洋側で1.4日増加。最低気温が0度未満の「冬日」は全国平均で16.7日減少、北日本の太平洋側では19.2日減少する予測です。世界の平均気温「4度上昇」では、日本の平均気温は4.5度上昇、北日本の太平洋側ではそれより高く4.9度上昇。猛暑日は全国平均で19.1日増加、北日本の太平洋側では6.6日増加。熱帯夜は全国平均で40.6日増加、北日本の太平洋側では18.3日増加。冬日は全国平均で46.8日減少、北日本の太平洋側では62.8日減少する予測です。つまり猛暑日や熱帯夜はますます増え、冬日は減るのです。

降水に関しては、雨の降る日数は減少するものの、大雨や短時間強雨の発生頻度や強さは増加すると予測されています。1日の降水量が200ミリ以上の日数は「2度上昇」では1.5倍に増加、「4度上昇」で2.3倍に増加するという予測です。つまり激しい雨が増えるのです。又、地球温暖化に伴い、雪ではなく雨が増えることから、降雪量、積雪量共に「2度上昇」では現在の7割から8割弱に、「4度上昇」では現在の3割から4割に減る予測です。ただ気温の上昇により大気中の水蒸気量が増え降水量が増加します。そもそも雪が融けないような寒冷な地域であれば、大雪のリスクはあるとしています。そして水蒸気量増加は台風のエネルギー源が増えることに繋がるので、強い台風の割合が増加し、台風に伴う雨と風は強まりそうです。温暖化を緩やかにする為に、私たちの暮らしの中の省エネをより進めることが必要です。

 

604回「虹と暈(かさ)」2020年12月12日OA

2020年12月12日 6:00 PM

虹は「太陽と反対側」に、空気中の「水滴」に当たった光により出現します。英語のレインボー、レイン=雨で作られたボー=弓は、現象をよく表しています。日光ではなく、稀に月の光によっても現れるようです。倉嶋厚著「季節ほのぼの事典」(東京堂出版)には、昭和8年7月4日に北海道の寿都(すっつ)測候所で夜の虹を観測した、という記述があります。「その夜は月齢が11.1の弓張り月だった。朝から晴れていたが、夜になると霧が現れ南東の強風とともに切れ切れに飛び、霧雨のように降った。月は夜の8時半ごろに南中し、次第に南西の空に移った。そのころ、北東の空に白い虹が淡く現れ、次第に濃くなった。虹の上の方は純白だったが内部は少し青かった」ということです。月光の虹とは、何とも神秘的な光景です。

虹と似た現象で「暈(かさ)」があります。漢字で日曜日の「日」の下に軍隊の「軍」と書きます。暈は虹と違い、「太陽と同じ方向」に現れ、空気中の「小さな氷の結晶」に当たった光により出現します。氷の結晶でできた薄い雲が広がっている時、その雲を通して太陽や月が見え、その周りに光の輪ができることがありますが、それが「日暈(ひがさ)」「月暈(つきがさ)」です。

さて盛岡のルンルンさんからお便りをいただきました。ありがとうございます。「11月27日午後4時半過ぎに近くのスーパーに出かけました。太陽が沈む前でしたがお天気も良く明るかったです。風もなく穏やかでした。でも虹がありました。輪になった方は消えていましたが、太陽を挟んで両側に虹の太い柱が立っていました。太陽と同じ側に虹があったのです。普通太陽と反対側に虹ができますよね。そしてお天気なのに。虹の上にはうろこ雲のような雲がありました。虹もくっきりでした。しばらく虹は消えませんでした。この現象をお聞きしたいです」。ルンルンさんが御覧になった現象は、太陽と同じ方向ということなので、虹ではなく日暈の一種で、しかも幻の日と書く「幻日(げんじつ)」と思われます。風もなく穏やかだったということから、氷の結晶が浮かびやすい条件だったのでしょう。幻日は、日暈の光の輪の、太陽の両側にあたる部分が特に光った現象です。珍しい自然現象を見られて、何か良いことがあるかもしれませんね。

 

603回「地震時計」2020年12月5日OA

2020年12月05日 6:00 PM

遠野の70代男性からお便りをいただきました。ありがとうございます。「小生が子どもの頃(昭和30年代)家に『地震時計』らしきものが貼ってあり、祖母が地震の度に『雨が降るぞ』とか言っていました。B4版ぐらいの紙に時計が書いてあり、文言は記憶していませんが祖母は『4・6の雨に・・・』とか言っていました。天気予報の歴史の一端にあるか気になりました。何だか富山の家庭の置き薬屋が紙風船とか一緒に配ったような気がします」とのことです。

盛岡市教育委員会事務局歴史文化課に問い合わせましたが、残念ながら地震時計そのものは所管する博物館施設にありませんでした。ただ地震の時刻で天気を予想する言い伝えは、県内の民族関連の書籍に記されていました。その内、岩手県教育委員会が昭和57年3月に発行した「岩手の俗信 第二集 天文気象に関する俗信」には、「地震による天気予察」という記述がありました。『往時、地震の事や天気の事等が不可思議であった事から、この間には何か関係があるかと推量し、次のような歌が生まれています』として、胆沢、江刺、釜石、東磐井、盛岡に伝わる『九は病、五、七が雨に四つ旱、六つ八つは風とこそ知れ(くはやまい、ごしちがあめによつひでり、むっつやつはかぜとこそしれ』と紹介しています。

これらの数字は昔の時刻の表し方です。日本芸術文化振興会「文化デジタルライブラリー 大衆芸能編 寄席」のHPでは、江戸時代の庶民の時刻の表し方について「午前0時が九つで、約2時間ごとに八つ(やつ)、七つと数が減り、四つ(よつ)まで行くと再び九つになります。9は1桁の中で一番大きい数字なので縁起がよいという考え方があり、九つから始まっています。本来、次はその2倍の18、その次は3倍の27なのですが、数字が大きくなって数えるのが大変なので10の位を取り除き八つ、七つと表しています」と解説しています。つまり先程の歌であれば、0時(九)に揺れが来れば病気がはやる前兆、8時(五)と4時(七)なら雨が降り、十時(四)は日照り、六時(六)と二時(八)に揺れれば大風の吹くしるしだ、と言うことです。これらは迷信ですが、先人の残した言葉に触れると、自然を理解しようという探究心は今も昔も変わらない、ということを実感します。

601回「小春」2020年11月21日OA

2020年11月21日 6:00 PM

陰暦10月の別名は前回お伝えした「時雨月」の他「小春月」という呼び方もあります。今日は「小春」についてです。11月は平地でも雪が降り出し、近づく冬の足音を実感しますが、そんな中にも、一時的に、穏やかに晴れて暖かくなる日があります。晩秋から初冬に、大陸から進んできた移動性高気圧に覆われ、まるで春を思わせるような暖かさになる日を「小春日和」と言います。

倉嶋厚著「季節おもしろ事典」(東京堂出版)には、小春日和のことをアメリカで『インディアン・サマー』と表現すると解説しています。アメリカ先住民が、思いがけず現れた暖かい日を利用して、冬ごもりの支度をしたり、南に移動するため平原に姿を現したりするため、とのこと。この言葉はヨーロッパにも伝わって用いられていて、日本の春や秋のように快適な気候のようです。しかしこぼれ話として、日本の気候学者が知らずに『インドの夏』と訳してしまったため、「外国の小春日和はよほど暑いのだろう」と誤解を生んだエピソードも紹介されています。同じく倉島厚著「季節つれづれ事典」(東京堂出版)には、小春日和に相当する各国の言葉として、ドイツ語の「老婦人の夏」、ロシア語の「女の夏」を挙げています。理由として「小春日和の青空の下、キラキラ光りながら飛ぶクモの糸が、白髪に見え女性を連想させた」という説は美しく、興味深い話です。

冬の季語「小春」は「春」の字が使われているため、「春先の暖かい日」のことと誤解されることがあります。文化庁が行っている国語に関する世論調査で「小春日和」について尋ねた際、本来の意味である「初冬の頃の穏やかで暖かな天気」と答えた人は51.7%、又、本来の意味とは異なる「春先の頃の穏やかで暖かな天気」と答えた人は41.7%と、僅差でした。年齢別に見ると「初冬の頃の穏やかで暖かな天気」と答えた人の割合は50~60代で他の年代より高く6割前後でした。一方、「春先の頃の穏やかで暖かな天気」と答えた人の割合は、16~19歳で66.1%、20代で54.5%と他の年代より高く5割を超えていました。言葉は変化していきますので、今後、本来の意味ではない「春先の暖かい日」に使う人の方が大勢を占める日が来るかもしれません。

600回「時雨」2020年11月14日OA

2020年11月14日 6:00 PM

旧暦10月、今年は現行暦で明日11月15日から始まります。旧暦10月の別名を時の雨と書く「時雨月」と言います。今日はこの「時雨」についてです。時雨は、晩秋から初冬にかけ、空が曇り、急にぱらぱらと降ってはやみ、数時間で通り過ぎてゆく雨のことです。広辞苑には「『過ぐる』から出た語で、通り雨の意」とあります。大陸からの寒気が日本海の海面で暖められ、積雲や積乱雲が次々と通る為に起こります。通り過ぎた雲と、次に来る雲の間に日光が差し込んでできる虹を「時雨虹」と言います。虹は太陽の光が斜めに差し込む朝や夕方に多いのですが、太陽高度が低い晩秋から初冬に南が晴れて北が降っているような時、日中でも北の空に虹が現れることがあります。夏の鮮やかな虹とは違う、淡い日差しでできる儚い虹です。通り雨の意味の他、細かく切ったショウガなどと一緒に煮たハマグリなどのつくだ煮である「時雨煮」の意味もあります。その語源は、時雨月のハマグリは味が良いという説があるようです。

時雨は昔から詩歌に最もよく詠まれた雨の一つのようです。平安の都、京都の北側を囲む山地から降る雨を「北山時雨」と呼ぶように、時雨といえば北山が有名です。厳しい冬が来る前に、降ったり照ったりする空模様と人生を重ね合わせたのでしょう。時雨は冬の季語です。種田山頭火の自由律の句「うしろすがたのしぐれてゆくか」。時雨が降る中をとぼとぼ歩み去って行く、わびしい後ろ姿を見つめるもう一人の自分を詠んだものです。時雨には小さな夜と書く「小夜(さよ)時雨」という言葉もあります。夜に降るしぐれのことです。志田野波(やば)の句「小夜しぐれ隣の臼は挽きやみぬ」。旅の宿で時雨が通り過ぎると、さっきまで聞こえていた近くの民家の石臼を挽く音はもう鳴り止んでいた、という静かな冬の夜の趣を表しています。

演歌には、都はるみさんの「大阪しぐれ」、同じく都はるみさんと岡千秋さんの「浪花恋しぐれ」のようにタイトルに使われている曲があります。大阪では、冬型の気圧配置になると日本海側の雨雲の一部が流れ込み、しぐれることがあります。その時雨の比喩的な意味である「涙ぐむ」を、人生の涙になぞらえたものと思われます。

598回「住宅用火災警報器の効果」2020年10月31日

2020年10月31日 6:00 PM

今日は住宅用火災警報器についてです。大切な命を守る為、平成16年に消防法が改正され、全ての住宅に住宅用火災警報器の設置が義務付けられました。消防庁によりますと、住宅火災で犠牲になる方は逃げ遅れが最も多く全体の約6割を占めています。時間帯別にみると、火災件数自体は起きている時間帯が多い一方で、火災死者数は就寝時間帯の方が多くなっています。就寝中、火災発生に気づく為に、火災警報器は「寝室」に設置することとされています。又、寝室が2階にある場合は、火災による煙が集まりやすく、寝ている方にとって唯一の避難経路となる「階段」にも設置することとされています。

火災警報器は、どのくらい効果があるのでしょうか。平成28年から平成30年までの3年間における失火を原因とした住宅火災について、火災報告を元に住宅用火災警報器の効果を調査したデータがあります。死者数、焼損床面積及び損害額を見てみると、住宅用火災警報器を設置している場合は、設置していない場合に比べて、死者の発生は約4割減り、焼損床面積と損害額は概ね半減するという分析になりました。住宅用火災警報器を設置すれば、火災発生時の死亡リスクや損失の拡大リスクを大幅に減少することが証明された形です。住宅用火災警報器の全国の普及率は令和元年6月1日時点で82.3%。岩手県の普及率はそれをやや上回る83.8%です。しかし併せて行った全国での維持管理に関する調査では、作動確認を行った約68%の内、約1%で電池切れや故障が確認されたということです。本体の交換の他、定期的な動作確認が重要といえます。改めて我が家の火災警報器を確認すると、2006年製で、既に14年経過していました。ボタンを押すと警報音が鳴り作動しましたが、10年を経過すると電池切れや電子部品の寿命で、いざという時に作動しない恐れがある為、先日、新品に交換しました。

これから冬になると空気が乾燥し、物が燃えやすくなり、又、暖房器具等の使用も加わり出火のリスクが高くなります。過去には就寝中、掛け布団が電気ストーブに触れ、ふとんを焦がし、寝室の住宅用火災警報器が鳴り、気づいた居住者が、急いで水をかけ、大事に至らなかったという例もありました。万が一の時、住宅用火災警報器があれば、いち早く火災を知らせてくれるのです。

 

595回「『初冠雪』と『初雪化粧』」2020年10月10日OA

2020年10月10日 6:00 PM

9月28日、標高3776m、富士山から初冠雪の便りが届きました。甲府地方気象台が発表したもので、平年より2日早く、去年より24日早い観測です。

さて富士山は「初冠雪」の他に「初雪化粧」という言葉があることをご存じでしょうか。初雪化粧は山梨県富士吉田市の職員が山頂付近の雪化粧を目視により確認しているもので、今年は初冠雪より1週間早い9月21日に観測されました。「初冠雪」の他に、なぜ同じ山梨県内で「初雪化粧」を発表しているのでしょうか。観測を担当し、富士山の魅力を発信している富士吉田市の「富士山課」にお聞きしました。初雪化粧の観測は平成18年度、2006年から行っています。きっかけは甲府地方気象台の観測体制の変化でした。富士山の初冠雪の観測は以前、山梨県富士河口湖町の河口湖測候所の気象台職員の目視により行われていました。しかし2003年10月、観測技術の高度化や経費節減により河口湖測候所は無人観測所に移行。その後、甲府市にある甲府地方気象台からの観測に変わりました。しかし富士山から北北西、直線で36キロにある甲府市と、北北東15キロにある富士河口湖町では見える角度が違い、ズレが生じます。そこで富士河口湖町から東に5キロ、甲府市より富士河口湖町と観測条件が近い富士吉田市では『富士山頂の雪の便りをいち早く知らせたい』『観光コンテンツとして話題にしてもらうことで対外的にPRしたい』ことから「初雪化粧」として観測、発表を始めたということです。「いち早く」とはいえ実際、過去15年の気象台の「初冠雪」との差を見てみると、初雪化粧の方が早かったのは今年と2016年の2回のみ。7回は初冠雪と同じ日、6回は初雪化粧の方が遅いという結果です。

ところで富士山初冠雪の統計は1894年から120年以上の歴史があります。2004年から観測場所が変わった統計の信頼性について甲府地方気象台に尋ねると「確かに見る角度や距離が変わってしまった。同じ角度と距離からライブカメラで観測する方法もあるが、それは不自然。観測体制が変わるということは他の観測でもある。途切れることなく統計を取る為に、気象台からの観測を続けている」ということです。時代が変化する中で観測を続けることは大変なことです。富士吉田市の「初雪化粧」宣言は、気象台の「初冠雪」を補完する記録と言えます。

590回「コロナ禍の一次救命措置」2020年9月5日OA

2020年09月05日 6:00 PM

厚生労働省が作成した、コロナ禍の一次救命措置についてです。ウイルスの感染が広がる中、もしも目の前で人が倒れたらどんな処置をすれば良いのか、国が指針を発表しました。心肺蘇生をする場合、ウイルスなどを含む微粒子が発生する可能性がある為、「基本的に全ての心停止傷病者に感染の疑いがあるものとして対応しましょう」としています。

具体的な手順は、1.まず安全を確認します。車の往来があったり、室内に煙が立ち込めたりした際は、状況に応じた安全確保が必要になってきます。2.倒れている人の反応を確認します。肩を優しく叩きながら大声で呼びかけ、目を開けるなどの応答が無い場合、心停止の可能性を考えて行動します。ポイントは顔を近づけすぎないことです。3.そばに誰かいる場合は、119番通報とAEDを手配します。4.呼吸を観察します。呼吸をする度に胸や腹部が上がったり下がったり動いていなければ、呼吸が止まっていると判断します。5.人口呼吸は行いません。胸骨を圧迫します。胸の左右の真ん中に縦長の平らな骨があり、圧迫するのはその骨の下半分です。倒れている人の胸がおよそ5センチ、沈み込むように強く速く圧迫を繰り返します。ウイルスを含む微粒子の飛散を防ぐ為に、圧迫前にハンカチやタオルなどを倒れている人の鼻と口にかぶせます。マスクや衣服などでも代用できます。1分間に100~120回のテンポで胸骨圧迫を30回以上続けます。6.AEDを使用します。7.心肺蘇生を続けます。心肺蘇生は到着した救急隊員と交代するまで続けることが大切で、「効果が無さそうに思えても諦めずに続けて下さい」としています。そして救急隊に引き継いだ後は、速やかにせっけんと流水で手と顔を十分に洗います。倒れている人の鼻と口にかぶせたハンカチやタオルなどは、直接触れないように廃棄するのが望ましいとしています。

心肺蘇生法は勇気がいることで、特に呼吸の判断に迷い、ためらってしまいそうです。しかし救急蘇生法の指針では、仮に倒れている人が心停止ではなかったとしても、「胸骨圧迫が傷病者に大きな害を与えることはまれなので、迷ったら胸骨圧迫を開始しましょう」と強調しています。

 

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