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気象災害の記事一覧

645回「キキクル ОN ハザードマップ」2021年9月25日OA

2021年09月25日 6:00 PM

IBCが提供するスマートフォン向け「IBCつながるアプリ」に、今月、新機能「キキクル ON ハザードマップ」が搭載されました。IBCと防災情報提供会社のゲヒルンが共同で開発したものです。キキクルとは、気象庁が発表する、大雨による災害発生の危険度の高まりを地図上で確認できる危険度分布の愛称です。地図上に危険度を5段階に分け表示して伝えます。今回IBCアプリでは、県内の洪水や土砂災害のハザードマップの上に、このキキクルの情報を重ねて表示するものです。これまでは、ハザードマップとキキクルの情報を別々に確認する必要がありました。しかしこの新機能により、大雨などの災害が迫った際に、自分がいる場所のハザードマップと、リアルタイム情報としての危険度分布を同時に見比べることができ、自分が置かれた状況を客観的に把握して、避難の判断などに役立てることができます。尚、県内の洪水と土砂災害のハザードマップは、岩手県から提供された今年9月現在の最新のものを表示。雨が降っていなくても身近な場所のハザードマップとして、いつでも確認することができます。

この新機能について滝沢市のオルガンさんからメールを頂きました。「IBCアプリにキキクルが追加されたと聞いたので見てみたら、何と自分の家の周りの地図上に雨や洪水などの情報が載って見られるので驚きました!雨雲レーダーで現在地まで表示できるサイトはありますが、まさに自分の家の所がはっきりわかるのでいいですね。キキクルを活用するような天気にならないほうがいいですが、いざという時のために安心です」。ありがとうございます。

私もこの新機能を実際に使ってみました。県内は低気圧の通過により17日夜から18日にかけ沿岸南部で大雨となり、大船渡では降り始めから200ミリ近い雨量を記録、午後は一時、土砂災害警戒情報が出されました。夕方「キキクル ОN ハザードマップ」の内、右上の「土砂」というキキクル=危険度分布を開いてみると、大船渡の市街地が赤色の「警戒」に覆われ、国道45号沿い西側の土石流危険区域と重ねて表示されました。特にどのエリアで警戒が必要か、一目で分かりました。この機能は「IBCつながるアプリ」をダウンロードするか、既にダウンロードしている場合はバージョンアップすることで御利用になれます。

644回「温暖化の最新知見」2021年9月18日OA

2021年09月18日 7:00 PM

今日は、気候変動に関する最新レポートについてです。IPCC=気候変動に関する政府間パネルは、世界気象機関と国連環境計画により1988年に設立された政府組織で、現在195の国と地域が参加しています。IPCCの目的は、各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎資料を提供することです。世界中の科学者の協力の下、科学誌に掲載された論文などに基づいて定期的に報告書を作成し、気候変動に関する最新の科学的知見を評価しています。

先月、IPCCは8年ぶりにまとめた報告書を公開しました。今回のポイントは「地球温暖化の原因は人間の活動によるものだ」と断定したことです。そもそも気候変動の要因には「自然」の要因と「人為的」な要因があります。自然要因とは、火山噴火や太陽活動の変化など、人間の影響なしに発生するものです。一方、人為的要因には人間活動に伴う二酸化炭素などの温室効果ガスの増加、森林破壊などがあります。これまではあくまで人間の活動による影響が強いという表現でしたが、今回は「人間の影響は疑う余地がない」と強い言葉で表現されています。また報告書によると、少なくとも過去2000年間で前例のない速度で気温は上昇しており、2011年から2020年の世界平均気温は、産業革命前よりも1.09℃高かった、としています。前回、報告された期間平均の上昇量0.78℃から更に上がっています。パリ協定では「産業革命前より気温の上昇幅を1.5℃以内に抑える」ことを一つの目標に掲げていますが、今回の報告書では2021年から2040年に1.5℃に達する可能性が非常に高いと指摘しています。平均気温が1.5℃まで上昇すると例えば50年に1度起こるような極端な高温が、今と比べて約2倍、2℃上昇すると約3倍になると予想しています。また、今よりも地球上の水の循環が活発化して、地域によっては大雨と洪水が増えることが懸念されます。

温暖化を緩やかにする為、私達ができることは何でしょう。日々の生活を支える電気やガス、ガソリンを作ったり、機械や乗り物を動かしたりする為には、石油や石炭、天然ガスを大量に燃やします。これらの資源を燃やす際に、二酸化炭素など温室効果ガスが発生します。この温室効果ガスを減らすことが、温暖化対策になります。つまり1人1人ができることは「省エネ」なのです。

642回「治水地形分類図」2021年9月4日OA

2021年09月04日 6:00 PM

国土地理院は、治水対策を進めることを目的に「治水地形分類図」を作成し、ホームページで公開しています。国・都道府県が管理する河川の流域の内、岩手では盛岡から一関にかけての北上川流域の平野部が対象です。詳細な地形分類により、その成り立ちを理解でき、起こり得る水害や地震災害などに対するリスクを推定できます。地理院地図トップページから「土地の成り立ち・土地利用」「治水地形分類図」をクリックすると、洪水になりやすい低い土地の地形がカラーで表示されます。

その内、過去の洪水によって作られた平野を「氾濫平野」と言い、薄緑で表しています。平野の多くは上流・中流から運ばれてきた土砂が溜まってできた地形です。何度も洪水が繰り返され、その度に土砂などが堆積した為、現在の平らな土地ができました。かつて氾濫平野は主に農地として利用されてきましたが、人口増加に伴い宅地や工場が拡大し、市街地になってきました。このような場所では、堤防が決壊しやすく、豪雨時の洪水による住宅の冠水が心配されます。

水田地帯が広がる氾濫平野では、カーブを描くようにして作られている水田を目にすることがあります。これは昔の川の流れた跡「旧河道(きゅうかどう)」という地形で、治水地形分類図では青い横縞模様で表しています。川は平地に出ると流れが遅くなり運搬能力が弱まり、土砂を川の底に堆積させていきます。土砂がたまると、川はそこを避けて流れるようになり、また次の場所で土砂の堆積が始まります。これが徐々に繰り返された結果、蛇行する川の形が出来上がるといわれています。洪水が発生すると、溢れた水は蛇行したカーブの部分をショートカットして、下流側へまっすぐ流れ込みます。やがて川は、洪水でできた道を流れるようになり、元々、川が流れていたカーブの部分が切り離されます。こうしてできたのが旧河道です。一方で洪水を避ける為、水路や堤防などを築いて人工的に川の流れを変えた結果、旧河道ができることもあります。旧河道は、周囲の氾濫平野より1m~2m低い為、地表水が集まりやすくなります。わずかな雨でも浸水しやすい為、浸水の深さ・時間とも大きくなります。また砂の層でできている軟弱地盤が多く、地震の揺れによる液状化などの被害に注意が必要です。

641回「イラストで学ぶ水害」2021年8月28日OA

2021年08月28日 6:00 PM

国土地理院は、過去に国内85か所で起きた水害を取り上げ、災害をもたらした要因や地形との関係を解説した「イラストで学ぶ過去の災害と地形」を作成し、ホームページで公開しています。過去の災害と地形を比較することで災害の危険性を直感的に学び、類似する地形の危険性を把握することが目的です。資料は1か所の水害について、「直感で把握」と題し浸水範囲や標高を示したカラーの図解と共に、地域で発生した水害について取り上げ、又、更に詳しく「土地の成り立ち」について3次元画像を用い、その特徴を説明している項目もあります。

岩手県では、4つのエリアについて解説しています。1つ目は「小本川下流域岩泉町周辺」です。2016年8月の台風10号に伴う大雨の影響で、岩泉町では浸水が発生し、甚大な被害が生じました。地形を見ると、狭い谷のような平地の中を川が流れています。山地の間を流れる川は、谷の幅が狭く雨水が集まりやすいので、急に増水することがあります。又、山地に接する平地は幅が狭いので、氾濫すると深く浸水する恐れがあるのです。2つ目は「久慈川久慈市街周辺」です。こちらも同じく2016年8月の台風10号に伴う大雨の影響で、久慈市内が浸水し、甚大な被害が生じました。地形を見ると、下流部の平地で、川の合流地点が多く見られます。川が合流する場所は、水の流れが悪くなって増水しやすくなります。そして川が曲がる部分は、堤防を壊す力も強くなる為、増水時は危険です。3つ目は「北上川一関市川崎地区」です。一関市川崎町は、北上川と支流の砂鉄川、千厩川に囲まれており、北上川の水位上昇により度々、被害を被ってきました。特に1947年のカスリーン台風と、翌年のアイオン台風では、連続して大水害に見舞われ、家屋、道路、農作物などが未曽有の大被害を受けました。こちらは3次元の地図で見ると、平野よりも更に標高が低い所が多く、特に注意が必要なことが分かります。4つ目は「北上川一関市周辺」です。こちらもカスリーン台風、アイオン台風という2年連続の台風で大水害に見舞われました。地図で見ると、川が合流し東の山地の谷に流れていくのが分かります。山地から流れ出る川は、急な増水や土石流の恐れがあるのです。

近年、多発する豪雨。事前にその土地のリスクを知ることで、もしもの時の行動が変わります。このホームページは「イラストで学ぶ過去の災害と地形」で検索すると御覧になれます。

637回「雷が鳴ったら」2021年7月31日OA

2021年07月31日 6:00 PM

「平泉ぬ生息すてにゃぁ✕2のおんちゃん」から川柳のお便りを頂きました。ありがとうございます。「ゴロゴロづぅ おりゃ様聞けで ヘソ隠す。午後ぬ、なるっつぅど、おりゃ様雲が湧いで来て、ゴロゴロど、おりゃ様、聞けで来るゲット、おりゃ様ば聞くど、『こりゃ、おりゃ様鳴って来たがら、ヘソ隠すんだじゃ』って語りながら、おらんどごさ来たった、ばぁちゃんが、ほのあだりがら出はって来るような気ぃしすや」

「おりゃさま」とは「らいさま」「おらいさま」とも言い、雷のことです。雷は夏・冬問わず発生しますが、気象庁が雷を観測した月別の日数を見ると、8月が盛岡3.3日、宮古が2.5日と、1年の中で一番多くなっています。岩手の夏は雷の季節といえます。夏は、日中の強い日射によって暖められた地面付近の空気が上昇し、背の高い積乱雲となって雷を発生させます。夏の雷は、広範囲に発生し長時間継続する特徴があります。そして午後から夕方がピークになります。『こりゃ、おりゃ様鳴って来たがら、ヘソ隠すんだじゃ』、つまり『雷が鳴ってきたから、おなかを隠しなさい』というのは、夏場の気象変化に対する言い伝えと考えられます。雷が発生するような時は、同時にザーッと激しい雨の降ることがあります。雷雨になる前までは暑かったのに、急に気温が下がることがあり、おなかを冷やさないように、という昔の人の知恵なのでしょう。尚、同じ雷でも日本海側の秋田市では、月別で11月5.6日、12月4.8日と、冬にかけて多くなっています。この時期に日本海側で多く発生する雷は、大陸から吹き出してきた寒気が日本海で暖められて発生する積乱雲によるものです。

さて岩波書店、青木孝著「いのちを守る気象学」では、雷から身を守る為に覚えておいた方が良い「30~30」という数字を挙げています。はじめの「30」は、電光が見えてから雷鳴が聞こえるまでの時間「30秒」です。音の進む速さを毎秒350mとすると、30秒なら10.5キロです。雷雲が約10キロ先にあることになります。電光が見えてから雷鳴が聞こえるまでの時間が30秒以内になったら、雷雲が近づいていると考えられます。建物や車の中に避難するなど、安全確保に努めましょう。次の「30」は、その後、電光や雷鳴がおさまってからの時間「30分」です。30分を経過したら安全とみてよいでしょう。

 

636回「土砂災害の前兆2」2021年7月24日OA

2021年07月24日 6:00 PM

前回に続き、土砂災害の前兆現象についてです。土砂災害の危険箇所は、大きく3つに分類されます。土石流発生の恐れがある「土石流危険渓流」、がけ崩れ発生の恐れがある「急傾斜地崩壊危険箇所」、地すべり発生の恐れがある「地すべり危険箇所」です。

国土交通省では、過去に発生した土砂災害について、住民がどのような前兆現象を確認しているか分析しています。その資料によりますと、災害が起こる2時間以上前は「河川水位の上昇」「渓流内で石が転がる音」「流水の濁り」「流木・倒木の発生」「小石がパラパラ落ちる」「斜面の湧水、表面流の発生」「土臭いにおい」です。この前兆現象の背景についてです。土石流は、降雨量増加と共に次の3つのケース「渓流上流で水位が上昇し、堆積していた土砂が移動し始める」「上流の山腹斜面が不安定化し崩壊が発生する」「崩壊した土砂が一旦渓流に堆積し、流水を堰き止め天然ダムになり、決壊し下流に流れる」に分類されます。これらの過程で、流水の濁りや石が転がる音が発生したとみられます。又、がけ崩れの場合、降雨により斜面に雨水が浸透し、不安定になり、小石がパラパラ落ちたり、土臭いにおいがしたりする前兆現象が発生します。災害が起こる1時間から2時間前は「水の溢れ」「斜面の膨らみ、亀裂の発生」「土砂流出」です。地すべりの場合、豪雨などにより地下水位が上昇したり、斜面が膨らんだり亀裂が発生したりして、その後、急速な移動が始まり、最終的に滑落に至る場合がある、ということです。災害が起こる1時間前までは「渓流内の火花」「水位の激減」「地鳴り」「渓流付近の斜面崩壊」です。火花は、なかなかイメージできませんが、砂防・地すべり技術センターが平成21年7月の山口豪雨の際、土石流が発生した地区の住民に行ったアンケートによると、「石がぶつかり合う音」の他、「石がぶつかり火花の発生」が確認されています。

これらの前兆現象は、全ての場所で必ず起きるわけではありません。大雨の際は、いつでも避難できるように準備しておきましょう。そして、普段と違って、少しでも身に危険を感じたら避難するようにしましょう。

 

635回「土砂災害の前兆1」2021年7月17日OA

2021年07月18日 6:00 PM

土砂災害の危険箇所は、大きく3つに分類されます。土石流発生の恐れがある「土石流危険渓流」、がけ崩れ発生の恐れがある「急傾斜地崩壊危険箇所」、地すべり発生の恐れがある「地すべり危険箇所」です。県によりますと、今年3月末時点で、県内で土砂災害の恐れがある箇所は1万3316カ所です。その内、土砂災害が発生した場合に、住民の生命又は身体に危害が生じるおそれがある「土砂災害警戒区域」は1万1079カ所。この指定は、「傾斜度が30度以上で高さ5m以上は急傾斜地崩壊の恐れ」など基準があります。

土砂災害警戒区域の内、建築物に損壊が生じ住民の生命又は身体に著しい危害が生じる恐れがある「土砂災害特別警戒区域」は、1万265カ所あります。この内、土石流特別警戒区域は4813カ所あり、市町村別では、岩泉町554カ所、宮古市404カ所、一関市394カ所の順に多くなっています。地すべり警戒区域は123カ所ありますが、特別警戒区域に指定されている場所はありません。急傾斜地崩壊の特別警戒区域は、5452カ所あり、一関市624カ所、陸前高田市444カ所、宮古市414カ所の順に多くなっています。

国土交通省では、2004年、2005年に発生した土砂災害について、土石流、がけ崩れに分類して、住民がどのような前兆現象を確認しているか分析しています。その資料によりますと、土石流災害の場所で渓流の前兆現象は「地鳴り・山鳴り」28事例、「水の溢れ」19事例、「渓流内の石が転がりぶつかる音」17事例、「流水の濁り」が15事例ありました。その他「小石がぱらぱら落ちる」「斜面の湧水、表面流」「河川水位の上昇」などがあり、これらの前兆現象は避難に有効と考えられます。がけ崩れ災害の場所で住民が確認した前兆現象は、「小石がぱらぱら落ちる」5事例、「流水の濁り」5事例、「斜面の湧水、表面流」4事例、「流木・倒木の発生」4事例等です。また、「川の氾濫」「河川水位の上昇」等、斜面に関係しない前兆現象も住民は見ており、これらの前兆現象が避難に有効と考えられます。次回も土砂災害の前兆現象について取り上げます。

 

634回「『もやってる』『谷の出口』」2021年7月10日OA

2021年07月10日 6:00 PM

今日は、ラジオをお聞きの方からいただいた質問にお答えします。宮古の不埒なポークさんからです。ありがとうございます。「神山気象予報士にお聞きしたいんですけど、靄(もや)がかかっている事を『もやってる』というのは気象用語としてあるんでしょうか?Nスタの井上さんが天気予報のコーナーでよく使うんですが、『もやってる』というと船を港にもやい綱で係留してる状態しか思い当たらないんですよ。井上さんの隣に立ってる森田さんも指摘しないところをみると、普通の気象用語なんですかねえ」。

「靄」は、空気中に小さな水滴が浮いていて見通しが1キロ以上10キロ未満の状態です。似た現象で「霧」がありますが、こちらは見通しが1キロ未満の状態です。霧の方がより見通しが悪く、車の運転には注意が必要です。「靄」「霧」共に気象用語で、区別して使っています。さて「もやってる」という言葉は、気象庁で扱う気象用語ではありません。日本語の表現としてはあります。大辞林第三版には「靄る:靄がかかる」が載っていて、例文として「少し靄ってきた」を挙げています。「靄る」は、小型の国語辞典では新明解国語辞典に掲載されています。出版社の三省堂によりますと「2004年の第六版から採録しています。比較的新しく使用されるようになった語と思われ、実際には『靄っている』の形で、状態を表すことが多いのではないでしょうか」ということです。

続いて奥州市の匿名希望さんです。ありがとうございます。「神ちゃんに質問です。大雨の時『がけの近くや谷の出口近くにお住まいの方はお気をつけ下さい』と何度もラジオからお知らせいただきましたが、谷の出口って、どういった場所のことですか?」

扇状の地域と書く「扇状地」という言葉をお聞きになったことがあると思います。扇状地は土石流と関係があります。山に挟まれた細長い溝のような地形が谷です。谷を流れる渓流が山間部を抜けると、扇のように放射状に広がる平坦な地形になります。扇の要にあたる部分が「谷の出口」と言います。渓流は、洪水になると、土砂や小石を巻き込みながら土石流となり、谷の出口から放射状に広がります。つまり扇状地は、土石流が堆積した場所なのです。水はけが良く、構造物の基礎としては良好な地盤ですが、土石流に遭遇する危険があります。扇状地の中でも、谷の出口に特に注意が必要なのです。

630回「避難指示に一本化」2021年6月12日OA

2021年06月12日 6:00 PM

先月から変更された、災害時に自治体が発表する避難に関する情報についてです。大雨や台風の際、気象庁や自治体は避難を促す情報として、危険が迫っている度合いごとに5段階の警戒レベルを示しています。5に近づくほど危険が差し迫っているということです。そのうちの、警戒レベル3から5までの内容が5月20日から変わりました。これまでは、レベル3が「避難準備・高齢者等避難開始」、レベル4が「避難指示・避難勧告」、レベル5が「災害発生」という表現でした。しかしより分かりやすくするために、レベル3が「高齢者等避難」、レベル4が「避難指示」、レベル5が「緊急安全確保」と変更されました。

着目すべき点は、レベル4です。これまでは避難勧告と避難指示という2つの避難情報が混在していました。避難勧告は、発令された地域の全員に避難を促す為に、避難指示は、災害が発生する恐れが極めて高い場合に「重ねて」避難を促す為に発表されていました。しかし内閣府の資料によりますと、住民アンケートでは、避難勧告・指示両方の意味を正しく理解していたのは2割未満で、市町村向けアンケートでは、警戒レベル4に避難勧告・指示の両方が位置付けられ住民にわかりにくいとの回答が約7割に上りました。そこで避難勧告が廃止となり「避難指示」に一本化され「危険な場所からはとにかく逃げてください」となりました。

お住まいの市町村から警戒レベル4の避難指示や、警戒レベル3の高齢者等避難が発令された際は、水害や土砂災害の危険がある場所から速やかに避難してください。一方で多くの場合、土砂災害警戒情報、氾濫危険情報などの防災気象情報は、避難指示等よりも先に発表されます。警戒レベル4や3に相当する防災気象情報が発表された際には、避難指示等が発令されていなくても自ら避難の判断をして下さい。避難の際は、市町村が定めた避難場所へ向かうことにこだわらず、自宅が安全と判断できれば、自宅に留まる他、川や崖から少しでも離れた、近くの頑丈な建物の上層階に避難することも選択肢となります。又、新型コロナウイルスの感染リスクを避ける為、安全と考えられるなら知人の家やホテルへの避難も有効です。ただ、こうした選択が難しい場合は、できるだけマスクや体温計、消毒液などを持ち、ためらうことなく、市町村が定めた近くの避難場所に逃げてください。災害の危険が差し迫った場合には、感染リスクを避けることよりも、命を守ることを優先して下さい。

626回「熱中症警戒アラート」2021年5月15日OA

2021年05月15日 6:00 PM

今日は「熱中症警戒アラート」についてです。気象庁によりますと、熱中症とは、暑い環境で体温の調整ができなくなった状態で、めまいや吐き気、頭痛、失神等の様々な症状をきたし、最悪な場合は死に至る疾患です。誰でもなる可能性があり、運動中だけではなく、室内でも起こります。総務庁消防庁によりますと、去年6月から9月に県内では熱中症により597人が救急搬送されました。その内67%の400人が65歳以上の高齢者で、搬送された人の半数296人は、敷地内を含む住居で発生しました。

気象庁と環境省は、熱中症のリスクが特に高まった際に注意を促す「熱中症警戒アラート」の全国での運用を、先月28日から開始しました。運用は10月27日までです。アラートとは「警報」という意味で、こまめな水分補給を呼びかけるなど熱中症の予防につなげます。予想最高気温がおおむね35度以上になる場合に発表していた「高温注意情報」は廃止します。熱中症警戒アラートは気温や湿度、日差しなど輻射熱から算出した「暑さ指数」を活用し、重症者や死者が特に増える傾向にある指数33以上になると想定した場合、前の日の午後5時と当日の午前5時に、都道府県ごとに発表します。情報はラジオやテレビ、自治体の防災無線などを通じて伝えます。

アラートが出された場合、大きく4つの行動を心がけましょう。1つ目は「外出はできるだけ控え、暑さを避けましょう」。熱中症を予防する為には、暑さを避けることが最も重要です。昼夜を問わずエアコン等を使用して部屋の温度を調整しましょう。又、不要不急の外出は避けましょう。2つ目は「熱中症のリスクの高い方に声をかけましょう」。熱中症になりやすい高齢者、子ども、持病のある方、肥満の方、障がい者には、身近な方から、エアコンの使用やこまめな水分補給を行うよう声をかけましょう。3つ目は「普段以上に熱中症予防行動を実践しましょう」。1日あたり1.2リットルを目安に、のどが渇く前にこまめに水分を補給しましょう。屋外で人と2メートル以上の十分な距離が確保できる場合は、適宜マスクを外しましょう。4つ目は「屋外や、エアコン等が設置されていない屋内での運動は、原則、中止又は延期しましょう」。

617回「停電の要因」2021年3月13日OA

2021年03月13日 6:00 PM

先月、県内で発生した停電についてお伝えします。東北電力ネットワーク岩手支社によりますと、先月13日(土)の福島県沖の大地震では、一関市で2万1165戸が停電しました。又、先月16日(火)、急速に発達した低気圧による暴風では、盛岡市や八幡平市など内陸を中心に13市町村で延べ3339戸が停電しました。

この2つの停電の要因は異なります。13日の地震では、東北エリアで約9万戸、東京エリアで約86万戸、併せて約95万戸が停電しました。地震の影響で東北・東京エリアに接続している複数の発電所が安全のため停止し、東北電力管内では宮城県仙台市にある2基の火力発電所が自動停止しました。そのままでは電力の需給バランスを維持できず大規模停電になってしまうことから、県内では一関市の需要を遮断、つまり停電になったのです。尚、その後の点検により設備の破損などが無いことが確認され、約1時間後、一関市の停電は解消されました。一方16日は、暴風によって倒れた樹木が電線に接触し漏電=つまり大地に流れてしまったり、電線が切れてしまったりしたことが停電の主な原因でした。倒木の接触のみで電線が切れていない場合は樹木を除去し復旧。電線が切れている場合は、樹木を除去し、電線を張り替えるなどして復旧する、とのことです。

各家庭の停電対策は、防災の備えの一つと言えます。内閣府の調査によりますと、照明確保のために停電時に作動する足元灯や懐中電灯などを準備していると回答した世帯は約43%と半数に満たない状態でした。夜間の停電は、出口がわからない、床の段差やガラスの破片が見えないなど危険です。寝室などに懐中電灯や足元灯を備えましょう。我が家では停電した際、自動で点灯する懐中電灯と足元灯を備えたタイプを1階の廊下、階段、2階の寝室に設置しています。又、インターネットや携帯電話が利用できない場合に備え、ラジオや予備の電池を常備しておきましょう。避難の為に自宅を離れる時は、停電状態でもブレーカーを切りましょう。地震の揺れで電気ストーブやヒーターの上に布などが落下してしまった場合、不在中に電気が復旧すると通電火災の恐れがあるからです。

※スマートフォンアプリ「東北電力ネットワーク 停電情報」は県全域や市町村単位などで通知設定が可能で、停電情報収集に役立ちます。

614回「寒冷渦、着氷」2021年2月20日OA

2021年02月20日 6:00 PM

今日は2つの質問にお答えします。まずはラジオネーム「コロナ渦まき」さんです。ありがとうございます。「北極から寒波がコンスタントにやってきます。今年は何故、日本まで寒冷渦がやって来るのか?昨年までは何故やって来なかったのか、神山さん、教えてください!」。気象庁によりますと、昨シーズンの冬は本州付近への寒気の南下が弱く、冬型の気圧配置が長く続きませんでした。その為、東・西日本で記録的な暖冬、冬の降雪量は全国的にかなり少なく、北・東日本の日本海側で記録的な少雪=少ない雪となりました。背景には日本付近の上空を流れる偏西風が北へ蛇行した他、正=プラスの北極振動になったことが考えられます。このプラスの北極振動になると、北極圏の寒気が中緯度域に流れにくく、日本では北ほど暖冬になりやすいのです。一方、今シーズンの冬は、偏西風が日本付近で南に蛇行し、列島に寒気が流れ込みやすくなりました。偏西風の蛇行と共に、北極域にあった寒冷渦と呼ばれる動きの遅い寒冷低気圧が分裂して日本の北まで南下し、日本の上空には寒冷渦とその周辺の強い寒気が流入する形になったのです。

続いて盛岡市のラジオネーム「アナログな姉御」さんです。「天気予報の注意報、警報に『着氷』とたまにでますが。地域が限定されている気がします。津軽とか…。そもそも『着氷』って何でしょう?流氷?」。ありがとうございます。確かに着氷は漢字で氷が到着、まるで接岸しそうな字にも見えますが違います。水蒸気や水しぶきのような水滴が、船や飛行機、電線にぶつかり凍りつく現象です。一方、「流氷」は「流れる」「氷」と書くように、高緯度地方の海面を覆っていた氷が割れ、風や波に運ばれ海の上を漂うものです。

着氷が地域限定という点ですが、船に氷がつくのは北方の海域です。北海道の石狩北部、後志(しりべし)北部西部の着氷注意報の基準は、「船体着氷:水温4℃以下、気温氷点下5℃以下で、風速毎秒8m以上」となっています。船についた氷が厚くなると、船が傾き転覆や浸水の恐れがあるのです。その他「航空機着氷」は、航空機が飛ぶ為の力やプロペラの効率を減少させ、運行上極めて危険です。「電線着氷」は、着氷により送電線が断線することがあります。

 

611回「高速道とホワイトアウト」2021年1月30日OA

2021年01月30日 6:00 PM

今日は「ホワイトアウト」についてです。猛吹雪で空も地平線も区別がつかず、視界が白一色になるというものです。暴風雪警報が出されているような際、この現象が起きます。宮城県では冬型の気圧配置が強まるとして、今月18日夕方、「暴風雪に関する宮城県気象情報」が出されていました。そして翌19日正午前、大崎市の東北自動車道下り線、古川ICから北に2キロほどの場所で車130台余りが絡む多重事故が発生、乗用車を運転していた一関市の男性が亡くなりました。この他17人がけがをし、うち2人は重傷です。ネクスコ東日本によりますと当時、現場周辺は強風と雪で視界が悪くいわゆる「ホワイトアウト」の状態だったということです。この事故の影響で100台以上の車が一時立ち往生しましたが、車の撤去や移動は夜8時過ぎに終了しました。

気象データを見ますと、19日午前11時台、大崎市古川では風速20m以上の西よりの風が吹き荒れ、正午には27.8mと1月としては観測史上最大瞬間風速を記録しました。この日の朝、新たに古川に降った5センチの雪が強風によって巻き上げられホワイトアウトが起きたと考えられます。日中、青空も見えていましたが、晴れていても、積もった雪が強風で巻き上げられ地吹雪が発生するのです。

ネクスコ東日本「冬の高速道路安全チェックポイント東北編」によりますと、古川IC付近は「見通しの良い直線部分が続くが、地吹雪が多く発生するポイント」として挙げられています。地吹雪が起こりやすい交通事故注意区間なのです。岩手県内の吹雪に気を付けるべき区間は、松尾八幡平IC~安代JCT~鹿角八幡平IC間が「東北道の中で一番標高が高く、豪雪や吹雪が多く発生する区間」、北上西IC~横手IC間が「トンネルが連続する区間で、豪雪や吹雪が多く発生し、気象の変化が激しい区間」として注意を呼びかけています。冬に荒れた天気が予想される場合、スリップ事故や立ち往生に繋がる恐れがあります。車の運転は極力、控えましょう。どうしても出かけなければならない場合、車間距離を十分に取る他、ヘッドライトやテールライトに雪が付着することもありますので、サービスエリアに入り取り除き、吹雪が収まるまで待つなど、無理の無い安全運転を心がけましょう。

 

606回「日本の気候変動2020」2020年12月26日OA

2020年12月26日 6:00 PM

気象庁と文部科学省は、地球温暖化による将来の予測を「日本の気候変動2020」として取りまとめました。今世紀末の世界の平均気温について、温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」の目標を達成した場合の「2度上昇」、現時点を超える追加的な緩和策を取らなかった場合の「4度上昇」、この2つの想定を盛り込んでいます。

具体的に見てみると、世界の平均気温「2度上昇」では、日本の平均気温は1.4度上昇、北日本ではそれより高い1.5度上昇。1日の最高気温が35度以上の「猛暑日」は全国平均で2.8日増加、北日本では0.7日増加。夜間の最低気温が25度未満の「熱帯夜」は全国平均で9.0日増加、北日本の太平洋側で1.4日増加。最低気温が0度未満の「冬日」は全国平均で16.7日減少、北日本の太平洋側では19.2日減少する予測です。世界の平均気温「4度上昇」では、日本の平均気温は4.5度上昇、北日本の太平洋側ではそれより高く4.9度上昇。猛暑日は全国平均で19.1日増加、北日本の太平洋側では6.6日増加。熱帯夜は全国平均で40.6日増加、北日本の太平洋側では18.3日増加。冬日は全国平均で46.8日減少、北日本の太平洋側では62.8日減少する予測です。つまり猛暑日や熱帯夜はますます増え、冬日は減るのです。

降水に関しては、雨の降る日数は減少するものの、大雨や短時間強雨の発生頻度や強さは増加すると予測されています。1日の降水量が200ミリ以上の日数は「2度上昇」では1.5倍に増加、「4度上昇」で2.3倍に増加するという予測です。つまり激しい雨が増えるのです。又、地球温暖化に伴い、雪ではなく雨が増えることから、降雪量、積雪量共に「2度上昇」では現在の7割から8割弱に、「4度上昇」では現在の3割から4割に減る予測です。ただ気温の上昇により大気中の水蒸気量が増え降水量が増加します。そもそも雪が融けないような寒冷な地域であれば、大雪のリスクはあるとしています。そして水蒸気量増加は台風のエネルギー源が増えることに繋がるので、強い台風の割合が増加し、台風に伴う雨と風は強まりそうです。温暖化を緩やかにする為に、私たちの暮らしの中の省エネをより進めることが必要です。

 

602回「台風の上陸ゼロか」2020年11月28日OA

2020年11月28日 6:00 PM

今年は台風が日本へ上陸していません。気象庁は1951年から台風に関する統計をとっています。台風の中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した場合を「上陸」、国内のいずれかの気象台などから300キロ以内に入った場合を「接近」、小さい島や半島を横切って短時間で再び海に出た場合は「通過」として扱っています。沖縄は台風の上陸とは言わず通過になります。台風の平年値である1981年~2010年の平均は、発生数が25.6個、接近数は11.4個、上陸数は2.7個。今年は11月16日現在、発生数22個、接近数7個、上陸数は0です。これまで上陸しなかった年は1984年、1986年、2000年、2008年で、このまま上陸しないと12年ぶりになります。

今年は1号の発生が5月12日と遅く、7月は統計史上初めて発生数がゼロでした。8月は7個発生しましたが、日本列島上空に太平洋高気圧が張り出し、台風は周縁部の風に流されて進路が日本の西よりになりやすい気圧配置でした。日本に接近した台風の内、9月の10号は気象庁が台風特別警報を予告しましたが上陸せず、九州西岸をかすめて朝鮮半島から大陸に向かいました。同じく9月の12号はオホーツク海から張り出した高気圧の影響で北上のペースが鈍り、その後は偏西風に流されました。10月の14号は大陸からの高気圧に北上を阻まれ、紀伊半島から東に進みました。今後、冬にかけて台風が発生したとしても偏西風が南下する為、日本に近づく前に東に進んだり、フィリピン近海で貿易風に乗ってインドネシア半島に向かったりする傾向があります。今後、発生する台風が上陸しないとは言い切れませんが、11月以降に上陸したのは1990年11月30日の28号だけということを考えると、台風が上陸しない年になる可能性が高いと言えます。

台風が上陸しなかったとしても、今年は大雨による被害が無かったというわけではありません。「令和2年7月豪雨」では、日本付近に停滞した梅雨前線の影響で西日本から東日本、東北地方の広い範囲で大雨となりました。特に4日から7日にかけて九州で記録的な雨量となり、球磨川など大河川で氾濫が相次ぎました。県内では11日から12日に種市で180ミリ、27日から28日に区界で177ミリと大雨となり、住宅や道路の被害が発生しました。豪雨災害は台風だけではない、ということを理解しておきましょう。

594回「警視庁ツイッター2」2020年10月3日OA

2020年10月03日 6:00 PM

今日は、以前も取り上げた警視庁警備部災害対策課のツイッターについてです。いざという時に役立つ防災情報を発信していて、2013年から始め、今ではフォロワーと呼ばれる登録者が85万人を突破する人気ぶりです。最近の情報からいくつかピックアップします。

まずはアンダーパス=立体交差で掘り下げた道路をキレイにする投稿です。交番に勤務しているその警察官は、台風などによる大雨が予想される前に、必ずアンダーパスに行って排水路のゴミを取り除くようにしている、という内容です。これは「落ち葉」や「吸い殻」などのゴミが排水溝に詰まることにより、道路冠水の原因になるからです。もし避難経路だったら、非常に危険です。災害に強い街づくりに加えて、街の美化にもなる地道な取り組みです。避難経路に雑草が生えていると通行の妨げになり、草取りが必要になります。意外な道具を使った草取りのアイデアが掲載されていました。工具の「ペンチ」を用いる、というものです。手強いタンポポも根元から簡単に抜くことができる、とのこと。大工道具ではない、発想を転換した工具の用途に感心しました。発想の転換といえば、急に暴風雨が強まり、家の内側から窓ガラスの飛散防止措置を取る際の方法も紹介されていました。段ボールやカーテンを利用するというものです。段ボールは、窓ガラスに養生テープで隙間ができないよう貼り付けます。カーテンは閉めるだけではなく、洗濯ばさみでしっかり補強する、というものです。これはあくまでも緊急的な対処です。事前に飛散防止フィルムを貼ったり、台風が接近している時は雨や風が強まる前に、早めに外側から対策しておいたりすることが大切です。災害の発生を想定し、自宅マンションで、電気、ガス、水道を使わずに、午前8時~翌日午前8時まで24時間、生活してみたという体験談もありました。ご家族は、本人の他、奥様、10歳、8歳、6歳、2歳の子供たち、計6人です。終了後にお子さんから出された「夜は真っ暗なのでライトを探すのも難しい」といった感想が掲載されていて、興味深い内容です。

防災のプロが発信する警視庁のツイッターは「警視庁警備部 災害」で検索すると御覧になれます。

591回「特別警報に関する質問」2020年9月12日OA

2020年09月12日 6:00 PM

紫波町のDJメロン娘とMCオレンジ娘さんから質問をいただきました。ありがとうございます。「特別警報に関する疑問ですが、どうして特別警報は大雨だけに付くんでしょうか。なぜ洪水や暴風には付かないんでしょうか」

特別警報は、警報の発表基準をはるかに超える大雨等が予想され、重大な災害の起こる恐れが著しく高まっている場合、気象庁が発表し最大級の警戒を呼びかけるものです。特別警報という名称で発表するのは、実は大雨の他、暴風、高潮、波浪、大雪、暴風雪の計6種類あります。気象に関する特別警報は警報・注意報と同様に市町村単位で発表し、大雨の場合、その市町村の50年に一度の値以上が発表基準になります。例えばお住まいの紫波町の場合、3時間降水量113ミリ、48時間降水量247ミリが目安となっています。紫波町では2007年9月17日に1日の降水量220ミリという観測史上1位の記録があります。この時は、東北地方北部に停滞する秋雨前線上を台風から変わった温帯低気圧が通過、加えて沖縄地方にある台風から暖かく湿った空気が流れ込み内陸を中心に激しい雨となりました。このような気象が予想される場合は、大雨の特別警報が出される可能性があります。暴風の特別警報は、数十年に一度の強度の台風や同じ程度の温帯低気圧により暴風が吹くと予想される場合に出されます。想定しているのが中心気圧930ヘクトパスカル以下、又は最大風速毎秒50m以上の伊勢湾台風級の台風や温帯低気圧の来襲です。

洪水の特別警報はありません。洪水の予報については雨量等の気象現象に加え、ダムによる人為的な流水制御、支流からの合流や、インフラ整備の状況なども踏まえて行うことが必要になってきます。流域面積が大きく、洪水により大きな損害を生ずる河川については、国土交通省又は都道府県と気象庁が共同で、河川を指定して洪水予報を行っていることから、洪水の特別警報は出していません。県内で指定されている河川は、北上川、砂鉄川、磐井川、人首川、胆沢川、和賀川、豊沢川、雫石川、中津川、猿ヶ石川です。河川について氾濫危険情報が発表されたら、速やかに避難を開始することが大切です。

 

589回「発達障害と避難」2020年8月29日OA

2020年08月29日 6:00 PM

SVDさんから質問を頂きました。ありがとうございます。「ここ最近、水害にコロナ、後は間接的な地震などの話題に頭が痛いと感じる私。先日、私が住んでいる一関市の避難所のリストを見ていた時、水害、地震の時は・・・と書いてあるのは良いけれど、私は発達障害があるし、避難所ではどうやって居るのが正しいのかわからないし、会話もできないし、寝ているのが良いのか、手伝ってと言われた時にどうやって対処するのが正しいのかよくわからないし、本当に頭が痛い話だと感じるので」。

この件について、岩手県と一関市にお聞きしました。避難所運営を担当する一関市まちづくり推進部まちづくり推進課によりますと、市では新型コロナウイルス感染症への対策として、多くの人が避難所に密集しないよう「分散避難」を推奨しているとのことです。分散避難とは、安全な地域に住む親戚や知り合いの家などに避難することです。自宅が安全な地域にあれば、無理に避難するのではなく自宅に留まる選択肢もあります。市が設置する避難所に避難する際、配慮が必要な場合は、避難所スタッフに相談していただければ、別室やテントといった個別の配慮スペースを確保するなど、避難された方の状態に応じた対応を行うとしています。また保健師等による健康調査を行い、障害者支援施設や高齢者福祉施設などの福祉避難所への避難が必要な場合は、避難された方の状態に対応した施設との調整を行い、避難体制を整えるということです。

加えて岩手県保健福祉部障がい保健福祉課では、ご家族の協力を求めています。避難所スタッフに対して「本人の心身の状態や障がいの特性をお伝えいただくとともに、併せて、本人が必要とする薬、食品などの物品や、落ち着ける場所、話しかけ方など、特に配慮する事項もお伝えいただきたい」としています。そして大規模災害時は、岩手県災害派遣福祉チームが、避難所の要支援者の福祉・介護等のニーズ把握や応急支援などを行う体制を構築する、ということです。県や市の支援体制をお伝えしましたが、それでも不安がある場合は、平時にSVDさんのご家族から、市に相談しておくことが、災害が起きた時の備えになりそうです。

 

586回「気候変動と家庭での温暖化対策」2020年8月8日OA

2020年08月08日 6:00 PM

先月、気象庁が公表した「気候変動監視レポート2019」についてです。この年次報告は1996年から刊行しているもので、社会・経済活動に影響を及ぼす気候変動に関して、日本と世界の気候・海洋・大気循環の観測や監視結果に基づいた最新の科学的な情報・知見を取りまとめています。

2019年は、世界各地で異常高温や大雨など極端な気象・気候現象が発生しました。日本では千葉県を中心に甚大な被害を出した9月の台風15号や、岩手で初めて特別警報が出された10月の台風19号により、北日本から東日本で記録的な暴風・大雨となりました。又、全国的に気温の高い状態が続き、日本の平均気温は1898年の統計開始以降、最も高くなりました。全国的に最高気温が35度以上の猛暑日や、最低気温が25度以上の熱帯夜は増加し、最低気温が0度未満の冬日は減少しています。1日の降水量100ミリ以上及び200ミリ以上の日数は1901年から2019年の119年間で共に増加。一方、1日の降水量1ミリ以上の日数は減少しています。大雨の頻度が増える反面、弱い降水も含めて降水日数は減っていて、極端な気象現象が増加していると言えます。

背景には、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化の影響があると考えらえています。気象庁では大船渡市三陸町綾里の他、南鳥島、与那国島の国内3地点で地上付近の温室効果ガスの濃度を観測している他、2隻の海洋気象観測船で洋上大気や海水中、又、北西太平洋上空で飛行機による観測を行っています。その観測で、二酸化炭素の濃度は大気、海洋共に長期的に増加しているということです。温暖化を緩やかにする為、私達にできることは二酸化炭素の排出量を減らすこと、つまり化石燃料の消費を減らすことです。2018年度の家庭からの二酸化炭素排出量データを見ますと、1番多いのが電気からの46.7%、次いでガソリンの24.3%です。日本の発電源は2017年度のデータで、液化天然ガス、石炭、石油といった火力発電が80.8%を占めています。電気を使うことは煙突の無い家からも煙が出ていることになります。電気や燃料の省エネを心がけた行動は、家庭での温暖化対策になるのです。

585回「令和2年7月豪雨」2020年8月1日OA

2020年08月01日 6:00 PM

今回は熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で発生した「令和2年7月豪雨」についてです。梅雨前線が長期間停滞し、東シナ海から暖かく湿った大量の水蒸気が流れ込み続けた為、西日本から東日本にかけての広い範囲で記録的な大雨となりました。九州、四国、近畿南部、東海で降水量が増加し、7月3日から14日にかけての総雨量は、高知県馬路村1393.5ミリ、長野県王滝村1348ミリ、大分県日田市1302ミリ、熊本県湯前町(ゆのまえまち)1243.5ミリなど、1000ミリを超える地域がありました。盛岡の年間降水量の平均は1266ミリですので、10日余りで、盛岡で1年間に降る雨と雪を合わせた降水量と同じかそれ以上の雨が一気に降ったことになります。西日本全域で雨量が多かったわけではなく、特定の地域で長く降り続いたことが特徴でした。

日本気象協会の解析によりますと、九州地方では13事例の線状降水帯が発生しました。線状降水帯は次々と発生する発達した積乱雲が、長さ50~300キロ程度、幅が20~50キロ程度で列をなし、数時間にわたって、ほぼ同じ場所を通過又は停滞することで作り出されます。2年前の西日本豪雨では東海以西の広い範囲で15事例の線状降水帯が発生しましたが、今回は九州地方だけで西日本豪雨に匹敵する数の線状降水帯が確認されたことになります。又、熊本県内最大の河川である球磨川の氾濫をもたらした線状降水帯は11時間半継続という異例の長さとなりました。

河川整備では超えることがあってはならない計画降雨量が設定されていて、この規模の雨が降っても氾濫が発生しないよう治水対策が進められています。球磨川の場合、計画降雨量が12時間で262ミリなのに対し、7月3日午後11時半頃から4日午前11時前にかけて327ミリと、計画降雨量を大幅に超える雨量となりました。球磨川は度々、氾濫して水害をもたらしてきました。熊本県人吉市にある国宝・青井阿蘇(あおいあそ)神社脇の電柱には過去の浸水の深さが記されています。熊本大学の調査によりますと1965年の浸水では2.3m、1971年は1.1mでしたが、今回は3mの痕跡があったということです。これまでの記録を上回る豪雨が頻発しています。水害から命を守る為にはどうすれば良いのか、改めて家族や地域の人たちと確認することが大切です。

 

584回「大雨特別警報」2020年7月25日OA

2020年08月01日 9:36 AM

滝沢のオルガンさんから質問を頂きました。ありがとうございます。「改めて大雨特別警報とは何ですか?経験したことのないような大雨が降り、甚大な被害が起こる、またはもう起こっているというようなことを言われますが、特別警報が出た時点でもう逃げられない状況になっているのでは?と思うことがあります。発表の指標があるとのことですが、早めに発表することはできないものなのでしょうか?警報との違いは、どこにあるのですか?これからの台風シ-ズンに向けても心配です」

大雨特別警報とは、予想される現象が特に異常であるため、重大な災害の起こる恐れが著しく大きい旨を警告する防災情報です。警報の発表基準をはるかに超える、数十年に一度の大雨が予想される場合に発表されます。発表基準となるのが市町村毎の50年に一度の値で、例えばお住まいの滝沢市の場合、3時間降水量104ミリ、48時間降水量260ミリが目安となっています。「もう逃げられない状況になっているのでは?」ということですが、その可能性は非常に高いです。道路が川のようになっていたり、土砂が崩れて通れなくなったりしている恐れがあります。それゆえ大雨特別警報が出る前、しかも明るい内に安全な場所に避難を完了していることが肝要です。避難が間に合わない場合、川や崖から少しでも離れた、近くの頑丈な建物の上の階などに避難し、それすら危険な場合には山と反対側の2階以上の部屋に移動するなど、少しでも命が助かる可能性の高い行動をとることが重要になります。

大雨特別警報には主に3つの役割があります。1つ目は、土砂災害警戒区域や浸水想定区域など、災害の危険があるエリアから避難できていない住民に直ちに命を守る行動を徹底、2つ目は、災害が起きないと思われているような場所でも災害の危険度が高まっている異常事態であることの呼びかけ、3つ目は、速やかに対策を講じないと極めて甚大な被害が生じかねませんという危機感を防災関係者や住民等と共有することです。「早めに発表することはできないか」ということですが、大雨特別警報を出す可能性がある場合、気象庁、気象台では会見を行い周知します。ただ必ずしも特別警報レベルの大雨を予想できるわけではありません。大雨に関する警報が出された場合、どのような避難行動をとるのか、普段から想定しておくことが大切です。

581回「雷から身を守る」2020年7月4日OA

2020年07月04日 6:00 PM

奥州市でご主人と2人で暮らしているという70歳の女性から質問をいただきました。ありがとうございます。「私は雷がとっても怖い人間です。ラジオで雷注意報や落雷にご注意ください、と言われると、心臓がバクバクして夜も眠れなくなります。雷が怖いので夏は嫌いです。雷はどういう所に落ちるのでしょうか。又、雷が鳴る時はどこにいたら安全なのでしょうか」。

雷が怖いので夏は嫌いです、という一文がありますが、確かに盛岡の雷日数の統計を見てみると、一番多い月は8月の3.3日、次に7月の2.3日です。夏は、日中の強い日射によって暖められた地面付近の空気が上昇し、背の高い積乱雲となって雷を発生させます。夏の雷は、広範囲に発生し長時間継続する特徴があります。

雷から身を守る為には、大きく3つのポイントがあります。1つ目は「雷鳴が聞こえたらすぐ避難」です。雷鳴が遠くても雷雲はすぐに近づいてきます。遠くで雷の音がしたら、自分のいる場所にいつ雷が落ちてもおかしくありません。気象庁によりますと、雷雲の位置次第で、海面、平野、山岳と所を選ばずに雷は落ちます。近くに高いものがあると、これを通って落ちる傾向があります。グラウンドやゴルフ場、屋外プール、堤防や砂浜、海上などの開けた場所や、山頂や尾根など高い所では人に落雷しやすくなります。屋外にいる場合は、雷注意報が出ていないか、気象情報を確認しましょう。落雷の危険がある場合、安全な場所に避難しましょう。2つ目のポイントは「建物の中や自動車に避難」です。比較的安全なのは、鉄筋コンクリートの建物、自動車、バス、列車の内部です。木造建築の室内も基本的に安全ですが、全ての電気器具、天井・壁から1m以上離れれば更に安全です。3つ目は「木や電柱から4m以上離れる」です。雷雨の際、木の下で雨宿りしたくなりますが、木に落ちた雷が人へ飛び移ることがあり危険です。日本大気電気学会によりますと、落雷による死亡原因で最も多いのが「開けた平地に立っていた」場合、次いで「木の下の雨宿り」、この2つのケースが半数以上を占めるということです。また、例え林や森の中にいたとしても、同様に危険なのです。

580回「グリーンインフラ」2020年6月27日OA

2020年06月30日 10:24 AM

桜が川の土手に植えられていることが多いのは、梅雨の増水の備えになるから、ということをご存じでしょうか。花見をすることが、冬場に凍結で緩んだ土手を踏み固めることになるからです。このような自然の力を防災・減災に活用する考え方を「グリーンインフラ」と言います。昨今、国内において取り組まれているグリーンインフラの具体例が、環境省の資料「自然の持つ機能の活用 その実践と事例」に掲載されています。

新潟市では「田んぼダム」の推進により洪水被害の軽減に繋がっています。田んぼダムとは、田んぼの排水ますに小さな穴を空けた板を設置し田んぼに降った雨水をゆっくり流すことにより、排水路から水が溢れることを防ぐ仕組みです。新潟大学の協力により計算を行い、30年に1回の確率の大雨の時でも水が畔を越流せずに、ピーク流出量の7割をカットできるよう穴のサイズを設定しました。新潟市は市内の約3割が海抜0mより低い地帯にあり、大雨時の浸水により、農地はもとより市街地にも多大な被害がもたらされていました。しかし田んぼダムにより、平成23年7月の新潟・福島豪雨や近年頻発する集中豪雨の際、浸水被害の軽減に繋がりました。又、農地を田んぼダムとして活用することで、農業生産の基盤が確保されると共に、良好な田園風景や生物多様性が維持されているということです。浸水被害の最小化を図り、雨に強いまちづくりを推進している京都市では「雨庭(あめにわ)」を整備しました。雨庭とは、道路のアスファルトや屋根等に降った雨水を一時的に溜め、ゆっくり地中に浸透させる構造を持った植栽空間のことです。雨庭が持つ機能は、京都に古くからある寺や神社、庭園にも見られ、京都の庭園文化を発信すると共に、都市防災の観点から注目されています。

先日、政府が閣議決定した令和2年版「環境白書」では、国の内外で多発する深刻な気象災害について「気候変動」から「気候危機」が起きていると強調しています。地球温暖化で、気象災害のリスクが今後更に高まっていきます。人口減少・高齢化が進み、社会資本の老朽化が懸念される中、今回紹介したような災害に強く自然と調和した「グリーンインフラ」が、巨大構造物に過度に依存しない国土整備の新しい手法として進みそうです。

 

579回「新型コロナ感染リスクと避難」2020年6月20日OA

2020年06月20日 6:00 PM

日本災害情報学会は先月、新型コロナウイルスの感染リスクを考慮した災害時の避難について提言をHPで公表しました。その中では3つのポイントを挙げています。1つ目は「避難所以外の避難」です。災害から身を守る為には避難所に避難しなければ、と思いがちです。しかし大事なことは「避難=難を避ける」行動です。例えば台風や大雨で災害が発生しそうな状況とします。自宅が洪水で浸水する恐れが無い場所や、土砂災害の危険が無い場所であれば、「在宅避難」つまり自宅に留まる選択もあります。又「垂直避難」、建物の2階以上に避難することで身を守ることもできます。自宅が危険な場合、「立ち退き避難」、すなわち躊躇せず家の外へ逃げましょう。そして「分散避難」と言って安全な場所にあるホテルや親戚、知人宅も選択肢の一つです。避難所以外の避難は、密閉・密集・密接といった3密を避ける為にも有効です。ただ災害の危険が迫ってきたら、感染リスクを避けることよりも、災害から命を守ることを優先して下さい。どのような避難を選ぶのか、予め家族で話し合っておくことが大切です。そして自宅外へ避難する場合は、新型コロナウイルス感染防止対策として、マスクや体温計、消毒液なども持って行きましょう。

2つ目は「ハザードマップの確認」です。自宅や知人宅、避難所などが安全かどうか、事前に確認しておきましょう。小学校の体育館が地震の避難所に指定されていても、洪水の避難所には指定されていない等、避難所開設は災害の種類によって異なります。近くの避難所がどんな災害の際に開設されるのか、注意が必要です。

3つ目は「大雨警戒レベルの意味」を正しく理解しておきましょう。風水害の危険が迫ってきた場合、その危険度に応じた「警戒レベル」が発表されます。レベル3は「危険な場所から高齢者とその支援者などは避難開始」、レベル4は「危険な場所から全員が速やかに避難」を意味しています。去年夏、鹿児島市が市内全域にレベル4の避難指示を出した際、大勢の住民が避難場所・避難所に集まり入りきれない人がいた、というケースがありました。「全員避難」と言っても、全ての人が避難所に行くことを示したわけではなく、土砂災害警戒区域や浸水想定区域など危険な場所からの避難を呼びかけているのです。