X 
このサイトでは、閲覧解析や広告改善のためにCookieを使用します。サイトを利用することでCookieの使用に同意頂いたものとします。オプトアウトや詳細はこちら「IBCサイト規定

火山の記事一覧

676回「噴火津波の情報発信」2022年4月30日OA

2022年04月30日 6:00 PM

気象庁は今月、トンガ沖の大規模噴火に伴う津波のメカニズムに関する報告書を公表しました。この噴火は日本時間1月15日午後1時頃に発生。日本では約7時間後に小笠原諸島の父島や千葉県勝浦市などで第一波を観測しました。気象庁は16日午前0時15分に鹿児島県の奄美群島・トカラ列島に、午前2時54分に岩手県に津波警報を発表しました。県内では未明から朝にかけて久慈港で1メートル10センチ、宮古と釜石で40センチ、大船渡で30センチの津波を観測しました。噴火後に観測された潮位変化は、津波の伝わる速度から予想される到達時刻より数時間早く観測される等、通常の津波とは異なる性質でした。津波の発表に時間がかかり内容も不十分だった為、2月から有識者を交えた「津波予測技術に関する勉強会」を開き、議論を重ねていました。
気象庁は、今回のメカニズムについて「噴火により急激に大気が膨らみ、気圧の変化が生じて広がる気圧波と呼ばれる空気の振動が発生。海面に伝わり、又、地形の影響による増幅など複合的な要因で発生したと考えられる」としています。今回と同様の噴火に伴う津波の予測可能性について「噴火により気圧変化がどれだけ発生するか予測することは困難」「潮位変化が発生する可能性を判断することは可能」又「潮位変化が発生する時刻については、大気波の伝わる速度を仮定して、最も早く到達した場合の時刻を予測するのが一つの方法」としています。
そして当面の対応として、海外で大規模噴火が発生したり、大規模噴火後に日本へ津波の伝わる経路上にある海外での潮位観測点で潮位変化が観測されたりした場合、「遠地地震に関する情報」によって、潮位変化が観測される可能性を知らせることにしました。加えて大規模噴火により発生した気圧波が秒速310mで伝わり潮位を変化させたと想定して到達時刻を予想し、情報文としては「この噴火に伴って通常とは異なる津波が発生して日本へ到達する場合、到達予想時刻は早いところ〇〇地域で、〇〇日〇〇時〇〇分頃です。予想される津波の高さは不明です」というイメージで発表することにしています。この情報は、実際、3月8日のパプアニューギニアの火山噴火の際、運用・発表されました。予測が難しい自然災害から命を守る為には、早めの避難しかありません。

669回「十和田の噴火警戒レベル」2022年3月12日OA

2022年03月12日 6:00 PM

青森、秋田両県にまたがる「十和田湖」。新緑や紅葉の名所としても知られ、奥入瀬渓流と共に十和田八幡平国立公園を代表する景勝地の一つです。御倉(おぐら)半島と中山半島に挟まれた中湖(なかのうみ)は327mの水深を示し、日本では第3位の深さです。十和田湖は、約20万年前に始まった火山活動の噴火によりできた陥没に、長い年月をかけて雨水が貯まったカルデラ湖です。約1万5千年前、現在のカルデラの原型につながる巨大噴火が発生。直近の大きな噴火は平安時代の915年に起き、火砕流は火口周辺の約20キロを超える広範囲に影響を及ぼしましたが、それ以降噴火は確認されていません。活火山である十和田火山は過去の噴火履歴から、今後もこの中湖周辺を主な火口としたマグマが関与する爆発的な噴火が発生すると考えられています。又、火山活動活発化に伴い、水蒸気噴火も十分に考えられる為、噴火場所や影響範囲が想定されています。
青森、岩手、秋田県や気象庁などでつくる十和田火山防災協議会は、十和田湖の噴火に備え、必要な避難行動を5段階で示した「噴火警戒レベル」の導入を決め、24日から運用されます。想定火口範囲には、青森県十和田市の宇樽部地区、休屋地区、秋田県小坂町の休平(やすみたい)の3つの居住地域があり、又、湖畔には旅館や飲食店が並び、観光客の避難も課題になります。レベル1でも火山性地震の増加や火山性微動の発生など、噴火の予兆があれば高齢者の避難が始まります。更に噴火の可能性が高まった場合は、火口周辺や危険な地域への立ち入りを規制するレベル2、3を飛ばし、4や5に引き上げます。火口内の住民は全員避難とし、火口から概ね4キロ内は4で高齢者らが避難、5で全員避難としました。
十和田火山災害想定影響範囲図によりますと、大規模噴火では、噴煙が上空に上がった後、ある場所から崩れ落ちて雪崩のように斜面を流れ広がる「火砕流・火砕サージ」と、噴煙が風に流されながら軽石や火山灰を降らせる「降下火砕物」の発生が想定されています。積雪期には火砕流が雪を溶かし、大量の水が周辺の土砂を巻き込んで流れる「融雪型火山泥流」が発生し、北は津軽半島、西は秋田県能代市などにも届く恐れがあります。住民の安心安全の為、より広域的な視点での避難計画策定が求められます。

662回「海底火山噴火による津波」2022年1月22日OA

2022年01月22日 6:00 PM

気象庁は南太平洋の島国トンガ沖の海底火山噴火の影響で、16日午前0時15分、鹿児島県の奄美群島、トカラ列島に津波警報を出し、午前2時54分に岩手県も津波警報の対象地域に追加。深夜の出来事に緊張が走りました。午前11時20分に津波注意報に切り替えられ、午後2時に津波注意報も解除されました。県内では未明から朝にかけて久慈港で1メートル10センチ、宮古と釜石で40センチ、大船渡で30センチの津波を観測しました。県内で津波を観測したのは2016年11月22日、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震で、久慈港で80センチなど観測して以来です。避難所は沿岸12市町村に88か所開設され、最大で1346人が避難しました。県によりますと、大船渡市、陸前高田市、山田町では養殖施設など水産関係の被害が確認されました。漁業関係者は復旧作業を急いでいます。海底火山の噴火で起きた前例のないメカニズムによる潮位変化について、気象庁は日本の太平洋側に津波警報と津波注意報を発表しながら、記者会見で「津波」と明言しませんでした。会見では予想された時刻より早く海面の変化が生じたことなどを挙げ「潮位変化」だと繰り返し「メカニズムが分からない」「通常の津波とは異なる」と強調しました。一方、津波警報を出した理由について、防災対応を呼びかける為に、既存の仕組みを活用したと説明しました。気象庁は今回、異変をどう呼ぶかに苦慮しつつ、避難の呼びかけを優先させた形です。
そのメカニズムについて、東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授は、噴火による空気の振動「空振(くうしん)」により、気圧が急激に上がり、下に押された海面が元に戻ろうとして大きな潮位の変化を引き起こしたと分析しています。一般的には海底の地震により大量の海水が持ち上げられ、それが周りに伝わって津波となりますが、今回は噴火の衝撃が空気を通して海面に伝わり津波が起きたとみられているのです。また、ニュージーランドの専門家は過去の噴火で形成された「カルデラ」と呼ばれる巨大なくぼ地の一部が崩壊し、広い範囲に影響を及ぼす津波が発生した可能性があるとした上で、空気の振動による津波と合わせて「津波は2回発生したと考えられる」と指摘しました。今後の詳細な解析が待たれる今回の津波。メカニズム解明の如何に関わらず、命を守る為、最善の行動を取るべきことに変わりはありません。

647回「十和田火山」2021年10月9日OA

2021年10月09日 6:00 PM

今日は青森県と秋田県にまたがる十和田湖についてです。火山活動によりできた、すり鉢状のくぼ地=カルデラに水がたまった湖です。青森県の観光情報サイトによりますと、海抜400m、周囲は約46キロ、湖は最も深い所で326.8mと、面積では日本で12位、深さは日本で3位です。

十和田は活火山です。気象庁では国内に50ある「常時観測火山」の一つとして、24時間体制で観測・監視を行っています。青森県や秋田県などが発行したハザードマップによりますと、約20万年前から噴火を繰り返し、1万5000年前の巨大噴火によって、現在見られる十和田カルデラの原形が形成されました。この噴火では、青森・秋田・岩手3県の広い範囲を高温の火砕流が襲い、一帯は見渡す限り土砂で埋まり荒野になったと考えられています。このような巨大噴火は、日本全体で1万年に一度ほど起きていて、大量のマグマが噴き出すことでカルデラができます。北海道の洞爺カルデラや、九州の阿蘇カルデラなどが有名です。最も新しい噴火は、今から約1100年前、平安時代の西暦915年に起きました。日本の歴史上、最大の噴火です。噴煙が高く上がり、軽石が広い範囲に降り積もった他、火砕流が約20キロ離れた場所まで達しました。この噴火で起きた「毛馬内(けまない)火砕流」は、十和田火山周辺を高温で流下した他、その後に発生した火山泥流が大湯川・米代川で大洪水を引き起こして沿岸の人家が埋没しました。日本の歴史上最大の噴火というと、富士山の方が大きいのかと思ってしまいますが、西暦1707年、富士山最大の宝永噴火の総噴出量は7億立方メートルでした。十和田火山の平安時代の噴火は21億立方メートルと、その3倍でした。

さて6200年前の縄文時代にも爆発的噴火がありましたが、同規模の噴火が起きた場合、噴煙から降ってくる火山灰や軽石などが、どれぐらいの範囲まで達するか想定されています。そのシミュレーションによると、上空では1年を通じて西からの風が多く、岩手県内では北部を中心に30センチ前後、積もる可能性があります。過去約1万1000年の間に、少なくとも8回の爆発的噴火があった十和田。今は静かに見えますが、将来必ず噴火します。十和田の噴火と言っても実感が湧きませんが、まずは活火山であることは覚えておいた方が良いでしょう。

 

613回「盛岡藩 災害の記憶」2021年2月13日OA

2021年02月13日 6:00 PM

盛岡市内丸にある「もりおか歴史文化館」では、江戸時代の盛岡藩で起きた災害を振り返る企画展が開かれています。盛岡城を中心とする盛岡藩は、現在の岩手県・青森県・秋田県にまたがるエリアで、長い海岸線を持つ大きな藩でした。もりおか歴史文化館には盛岡藩の家老が江戸時代を通じて書き続けた政務日記などの貴重な記録類が保管されています。その内、地震と津波、岩手山の噴火、城下町盛岡での洪水や火災について、絵図や文献資料など30点を展示し、発生時の様子や被害状況ついて紹介しています。

幕府に提出する為に盛岡藩全域を描いた「盛岡藩国絵図(くにえず)」は、縦2m、横3mと大きな地図で、企画展にあわせ、江戸時代に地震、津波の被害があった場所にシールを貼り示しています。盛岡、花巻、三戸などには青いシールが貼られ、1772年=明和9年の地震で被害があったことを示しています。記録によりますと「明和9年5月3日、晴れ。大地震あり。地割れ発生。盛岡城の石垣2か所膨らむ。武家屋敷など所々破損。盛岡城以外では遠野、大槌、宮古で被害。特に崖崩れによる被害が各地で多発し、男性5人、女性6人、馬21頭、牛1頭が死亡」とあります。陸域の震源の浅い地震で、内陸の被害が目立ちます。一方、沿岸部には黄色いシールや濃いピンク色のシールが貼られています。それぞれ1793年=寛政5年、1856年=安政3年の海溝型地震を表していて、三陸が繰り返し津波に襲われていることがわかります。

又、岩手山の噴火に関するコーナーもあります。1686年=貞享(じょうきょう)3年の噴火の際、江戸幕府への報告には「盛岡城下において三月二日は、空は曇り雪が少し降る中、明け方ごろ落雷のような音が鳴り、盛岡城下の南を流れる北上川が濁り、魚などが流れ込んだ。午後4時頃から空が晴れると、盛岡城下の西方にある岩手山という山から煙が上がっており、日が暮れると、およそ幅2m、長さ1キロメートルの火柱が確認され、城下まで火山灰が降り注いだ」と記されています。この記録から、もし岩手山が噴火したら、私達の生活にどんな影響が出るのか、想定するヒントになります。過去に起こった「災害の記憶」を見つめることで、現代を生きる我々が次の災害に備えるきっかけになるこの企画展は3月15日まで開かれています。

 

573回「降灰予報」2020年5月9日OA

2020年05月09日 6:00 PM

今日は火山の降灰予報についてです。気象庁では監視カメラや気象レーダー、気象衛星を活用して噴煙を把握します。そしてスーパーコンピュータで、いつ・どこに・どのくらい火山灰が降るか等を予測、「降灰予報」としてラジオやテレビなどを通じて伝えられます。降灰予報では「降灰の厚さ」によって「少量」「やや多量」「多量」の3階級で表現します。

厚さ0.1ミリ未満は「少量」です。路面にうっすら積もり、外の様子は降っているのがようやくわかる程度です。火山灰が目に入ると痛みを伴う為、建物や車の窓は閉めることが大切です。又、車のフロントガラスに付くと視界が悪くなりますので取り除く必要があります。少量の降灰でも飛行機は欠航になります。厚さ0.1ミリ以上1ミリ未満は「やや多量」です。道路の白線は見えにくく、明らかに降っているのが分かる量です。このような時は特に喘息患者や呼吸器疾患のある方は症状が悪化する恐れがありマスク等で防護する必要があります。道路は灰を取り除かないとスリップ事故を引き起こしたり車が通行不能になったりします。露地栽培の作物に降り積もると商品価値を損ない、日照の減少等により農作物が生育不良になるかもしれません。鉄道はポイント故障等により運転見合わせの恐れがあります。厚さ1ミリ以上は「多量」の降灰です。路面は完全に覆われ視界不良になります。健康な人でも目、鼻、のど、呼吸器などの異常を訴える人が出始め、外出や運転は控えることになります。電線への火山灰付着により停電が発生し、上水道の水質低下や給水停止の恐れがあります。

県内の活火山の一つ、岩手山の火山防災マップによりますと、東側で1686年のマグマ噴火と同じ規模の噴火が発生した場合、盛岡で10センチ、滝沢で10センチから、火口に近い所では80センチ程度の降灰が予想されています。県は岩手山火山防災マップを通じて「少量でも火山灰が降り出したらタオルやマスクなどで吸い込まないようにしましょう。また帽子を着用しましょう。昼間でも急に暗くなることがありますが、火山灰で死傷することはありません」と、冷静に行動するよう呼びかけています。

572回「富士山大規模噴火の被害想定」2020年5月2日OA

2020年05月02日 6:00 PM

政府の中央防災会議の作業部会は先日、富士山の大規模噴火に伴う首都圏への影響や対策についてまとめました。過去に噴火を繰り返している富士山は、1707年の宝永噴火では江戸に大量の灰が降り、川崎では5センチ積もったという記録があります。この宝永噴火が、富士山の最近の活動の中で最大の噴火で実績が最も判明していることから、同規模の噴火が起きた場合、風向きによって降灰の分布や量にどのような違いが出るかを推計しました。その結果、風向きが西南西の場合、神奈川県と東京都が降灰分布の中心となり、最も影響が大きくなりました。処理が必要な火山灰の総量は約4.9億立方メートルに上り、東日本大震災で発生した災害廃棄物の約10倍に当たるということです。

各分野の影響を見てみると、想定対象の茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡の7都県の「鉄道」は微量の降灰で地上路線の運行が停止します。地下路線でも、地上路線の運行停止による需要増加や、車両・作業員の不足等により、運行停止や輸送力低下が起こります。「道路」は乾燥時10センチ以上、降雨時3センチ以上の降灰で二輪駆動車が通行不能となります。「人の移動」について、鉄道の運行停止に伴う道路の渋滞により、移動手段が徒歩に制限されます。「物資」は人口の多い地域等では、少量の降灰でも買い占め等により、店舗の食料、飲料水等の売り切れが生じます。道路の交通支障が生じると、物資の配送や店舗等の営業に影響し、生活物資が入手困難となります。「電力」は雨が降った際、3ミリ以上の降灰で停電、「通信」障害が発生します。「上水道」は水質が悪化し飲めなくなり、停電エリアでは断水が発生。「下水道」は下水管が塞がり雨が降ると溢れ、停電エリアでは下水道の使用が制限されます。「建物」は30センチ以上積もった状態で雨が降ると、火山灰の重みで木造家屋の倒壊が発生します。「健康被害」として、目、鼻、喉、気管支等に異常が生じ、呼吸器疾患や心疾患のある人は症状が悪化する恐れがあります。

作業部会は「降灰範囲は噴火の規模、噴火時の風向・風速により大きく変わる」とした上で、「都市機能が集積している地域においては、降灰時に通常の生活や経済活動は継続困難であることを前提に対応を検討する必要がある」と指摘。国や自治体が事前に広域の降灰に対して防災対応の計画を定めることが必要だと強調しています。

571回「コロナ禍の避難所運営」2020年4月25日OA

2020年04月25日 6:00 PM

今日は新型コロナウイルス感染症のクラスター=集団発生対策についてです。厚生労働省は、咳やくしゃみをする際、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖などで口や鼻をおさえる「咳エチケット」や、手洗いに加え、「密閉」「密集」「密接」の3つの密を避けるよう呼びかけています。「換気の悪い『密閉』空間」については、「部屋が広ければ大丈夫」「狭い部屋は危険」というものではありません。WHOは空気感染を起こす「結核・はしかの拡散」と「換気の回数の少なさ」の関連を認めていて、カギは「換気の程度」ということです。窓がある場合は2方向を1回数分間全開、これを1時間に2回以上。窓が1つしかなくても、入口のドアを開ければ窓とドアの間に空気が流れます。「多数が集まる『密集』場所」については、他の人と互いに手を伸ばして届かない十分な距離2m以上を取る、座席は隣の人と一つ飛ばしに座る、又互い違いに座るのも有効としています。「間近で会話や発声をする『密接』」についてWHOは「5分間の会話で1回の咳と同じくらいの飛沫が飛ぶ」と報告していることから、対面の場合は十分な距離を保ちマスク着用をお願いしています。

さて新型コロナウイルス感染拡大が続く中、もし自然災害が発生し、避難所に避難しなければならなくなった場合、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。内閣府は今月はじめ、各都道府県などに対して「避難所における新型コロナウイルス感染症への対応について」通知しました。「可能な限り多くの避難所の開設」「親戚や友人の家等への避難の検討」。これらは避難所が過密になることを防ぐ為の措置で、ホテルや旅館等の活用も提案しています。又、避難所では「避難者の健康状態の確認」「手洗い、咳エチケット等の基本的な対策の徹底」「避難所の衛生環境の確保」「十分な換気の実施、スペースの確保」と、これまでの避難所運営以上の衛生管理が求められます。又、発熱、咳等の症状の人には「可能な限り個室や専用トイレを確保」し「一般の避難者とはゾーン、動線を分けること」としながらも、新型コロナウイルス感染症の場合は「軽症者等であっても原則として一般の避難所に滞在することは適当でない」とし、適切な対応を事前に検討するよう求めています。

自然災害が発生する前に官民一体となって、新型コロナ対策を考慮した避難方法を想定しておく必要があります。

472回「栗駒山火山ハザードマップ」2018年5月19日OA

2018年05月19日 6:00 PM

今日は、栗駒山の火山ハザードマップについてです。ハザードマップとは「災害予測地図」のことで、火山噴火など発生が予測される被害について、その種類・場所・危険度などを示しています。栗駒山の火山災害に対する防災体制の構築を推進する為、岩手、宮城、秋田の3県と、一関市、栗原市、湯沢市、東成瀬村の関係自治体、関係機関、学識経験者等で構成する栗駒山火山防災協議会が作成し、この春、公表しました。ハザードマップでは過去に発生した噴火や、他の火山での噴火事例を参考に「水蒸気噴火」と「マグマ噴火」に分けて影響範囲を示しています。

マグマによって加熱された地下水等が爆発的に地表に噴出する「水蒸気噴火」は、過去約1万年の間に少なくとも12回発生しています。800年に1回程度です。昭和湖付近で水蒸気噴火が発生した場合、火口から2-3キロの範囲で小さな噴石や火山灰が50センチ、奥州市の南西部にも1センチ程、堆積する恐れがあります。地下から上昇してきたマグマが地表へ噴出する「マグマ噴火」は、過去約1万年の間に少なくとも9回発生しています。1100年に1回程度です。昭和湖付近でマグマ噴火が発生した場合、溶岩流の他、火口から2キロの範囲で小さな噴石や火山灰が50センチ堆積し、10センチ以上堆積した斜面では雨により土石流発生の恐れがあります。

気象庁の資料によりますと、1774(寛保3)年2月3日の噴火では磐井川が俄かに渇水、山鳴りが響き、大木を含む大量の火山泥流が発生しました。その後も時々噴煙が観測され、山鳴りが続きました。又、1944(昭和19)年11月20日の小規模な水蒸気噴火は昭和湖付近で発生しました。火山灰が降り、泥を噴出、磐井川が濁り、魚類に多数の被害が出ました。加えて強酸性水が湧き出て、噴火後3年に亘り磐井川下流域の農作物や水力発電所に被害を及ぼしました。1774年の噴火でも同様の被害があり、将来、水蒸気噴火によって強酸性水が湧出した場合、磐井川下流域では数年間に亘り影響を受ける恐れがあります。自然の恵みと表裏一体にある火山のリスクを地域住民、登山者、観光客が共有することが大切です。栗駒山のハザードマップは岩手県のHPで御覧になれます。

372回「降灰の注意点」2016年6月18日OA

2016年06月18日 6:00 PM

前回に続いて、先月末に訪れた浅間山の火山防災についてです。火山災害で市民生活に大きな影響を及ぼすのは噴火で吹き上げられた火山灰が地上に落下する「降灰」です。浅間山の最近の降灰は12年前です。気象庁によりますと、2004年7月下旬から噴煙活動が活発になりました。9月1日には21年ぶりに爆発、北東方向の群馬県から福島県相馬市で降灰が観測されました。9 月16日から17日の小規模噴火では南東の軽井沢町には多量の降灰があり、群馬県・埼玉県・東京都・神奈川県・千葉県の一部でも降灰が観測されました。火山灰は風で遠くまで運ばれ、風向きによって様々な方向に降るのです。

群馬県長野原町版「浅間山火山防災マップ」には、降灰に対する注意点が解説されています。火山灰はとがった結晶質の構造をしています。降灰がある場合、なるべく家から出ないようにし、やむを得ず外出する場合、マスクやゴーグルでのどや目を守ることが必要です。車に積もった場合、ワイパーなどでこするとフロントガラスに傷がつく恐れがあるので、多量の水で洗い流しましょう。コンピューターや精密機器の故障の原因になりますので、窓やドアをしっか閉め屋内に入れないように。道路が滑りやすくなり、又、降ってくる火山灰や積もった火山灰を巻き上げ視界が悪くなりますので、車などの運転には注意が必要です。

降灰に対する注意は浅間山だけの話ではありません。岩手山でも起こる恐れがあります。岩手山火山防災マップによりますと、岩手山の東側では1686年のマグマ噴火と同じ規模の噴火が発生した場合、盛岡で10センチ、滝沢で10センチから、場所によって80センチ程度の降灰が予想されています。私達は活火山と共に暮らしているということを忘れてはいけません。

 

371回「浅間火山博物館」2016年6月11日OA

2016年06月11日 6:00 PM

今回は群馬県・長野県にまたがる浅間山についてです。5月末、群馬県嬬恋村にある「浅間火山博物館」を訪れました。岩手山より530m高い標高2568mの浅間山の麓にある火山に関する博物館です。建物は浅間山の稜線を思わせるような大きく横に張り出した黒い屋根が目を引きます。屋内に入ると、展示室までは洞窟の入口から真赤な溶岩のトンネルを通って地底の世界に進むような演出です。地球の内部構造が一目でわかる断面模型や、浅間山の江戸時代の大噴火を記録した古文書や古い絵図などが展示されています。絵図に描かれた黒い噴煙や真っ赤な溶岩流からは、自然への畏怖や、惨状を伝えようとする当時、生きる人の思いが伝わってきます。

浅間山はこれまで大規模な噴火と中規模、小規模の噴火を繰り返してきました。日本の火山災害史上に残る大きな被害をもたらしたのは1783年の大噴火です。展示資料によりますと、江戸時代の天明3年、新暦の5月から7月の3か月の間、断続的に噴火を続けていました。そして8月5日に大噴火を起こします。この時、発生した鎌原(かんばら)土石なだれは100キロの猛スピードで鎌原村、現在の嬬恋村鎌原集落を襲い、噴火からわずか数分の間に村は埋没、当時570名いた村民の内、477名が犠牲になりました。助かった93名の多くは、現在も高台にある鎌原観音堂に逃れた人たちでした。この史実は、ローマ時代、火山噴火によって埋没したイタリアの都市になぞらえ「日本のポンペイ」と呼ばれ、浅間山の火山活動と人々の暮らしを今に伝えています。博物館から通じる遊歩道は、黒い奇岩が広がる溶岩流の跡「鬼押出し」内に整備されています。散策しながら雄大な浅間山を眺めることができるのです。

群馬県長野原町出身の櫻井雅和館長は、幼い頃から見て育った浅間山は自身にとって「地域に当たり前にあるシンボル」と言います。現在、嬬恋村と長野原町は「浅間山ジオパーク構想」を掲げ認定に向けた取り組みを進めています。櫻井さんは「ジオパークになることで、火山の生い立ちや現状を更に知る火山学習の場になれば」と観光客誘致や地域の活性化につながる認定を期待していました。火山との共生は、まずは知ることが大切だと実感しました。