気象と防災 マメ知識!

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気象と防災 マメ知識!

気象予報士・防災士の神山 浩樹(IBCアナウンサー)がお届けする5分間。

◆放送日時
毎週土曜日17:50~17:55
番組開始:2009年4月〜

◆出演
神山浩樹(IBCアナウンサー)

お便り・お問い合わせ

573回「降灰予報」2020年5月9日OA

2020年05月09日 6:00 PM

今日は火山の降灰予報についてです。気象庁では監視カメラや気象レーダー、気象衛星を活用して噴煙を把握します。そしてスーパーコンピュータで、いつ・どこに・どのくらい火山灰が降るか等を予測、「降灰予報」としてラジオやテレビなどを通じて伝えられます。降灰予報では「降灰の厚さ」によって「少量」「やや多量」「多量」の3階級で表現します。

厚さ0.1ミリ未満は「少量」です。路面にうっすら積もり、外の様子は降っているのがようやくわかる程度です。火山灰が目に入ると痛みを伴う為、建物や車の窓は閉めることが大切です。又、車のフロントガラスに付くと視界が悪くなりますので取り除く必要があります。少量の降灰でも飛行機は欠航になります。厚さ0.1ミリ以上1ミリ未満は「やや多量」です。道路の白線は見えにくく、明らかに降っているのが分かる量です。このような時は特に喘息患者や呼吸器疾患のある方は症状が悪化する恐れがありマスク等で防護する必要があります。道路は灰を取り除かないとスリップ事故を引き起こしたり車が通行不能になったりします。露地栽培の作物に降り積もると商品価値を損ない、日照の減少等により農作物が生育不良になるかもしれません。鉄道はポイント故障等により運転見合わせの恐れがあります。厚さ1ミリ以上は「多量」の降灰です。路面は完全に覆われ視界不良になります。健康な人でも目、鼻、のど、呼吸器などの異常を訴える人が出始め、外出や運転は控えることになります。電線への火山灰付着により停電が発生し、上水道の水質低下や給水停止の恐れがあります。

県内の活火山の一つ、岩手山の火山防災マップによりますと、東側で1686年のマグマ噴火と同じ規模の噴火が発生した場合、盛岡で10センチ、滝沢で10センチから、火口に近い所では80センチ程度の降灰が予想されています。県は岩手山火山防災マップを通じて「少量でも火山灰が降り出したらタオルやマスクなどで吸い込まないようにしましょう。また帽子を着用しましょう。昼間でも急に暗くなることがありますが、火山灰で死傷することはありません」と、冷静に行動するよう呼びかけています。

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572回「富士山大規模噴火の被害想定」2020年5月2日OA

2020年05月02日 6:00 PM

政府の中央防災会議の作業部会は先日、富士山の大規模噴火に伴う首都圏への影響や対策についてまとめました。過去に噴火を繰り返している富士山は、1707年の宝永噴火では江戸に大量の灰が降り、川崎では5センチ積もったという記録があります。この宝永噴火が、富士山の最近の活動の中で最大の噴火で実績が最も判明していることから、同規模の噴火が起きた場合、風向きによって降灰の分布や量にどのような違いが出るかを推計しました。その結果、風向きが西南西の場合、神奈川県と東京都が降灰分布の中心となり、最も影響が大きくなりました。処理が必要な火山灰の総量は約4.9億立方メートルに上り、東日本大震災で発生した災害廃棄物の約10倍に当たるということです。

各分野の影響を見てみると、想定対象の茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡の7都県の「鉄道」は微量の降灰で地上路線の運行が停止します。地下路線でも、地上路線の運行停止による需要増加や、車両・作業員の不足等により、運行停止や輸送力低下が起こります。「道路」は乾燥時10センチ以上、降雨時3センチ以上の降灰で二輪駆動車が通行不能となります。「人の移動」について、鉄道の運行停止に伴う道路の渋滞により、移動手段が徒歩に制限されます。「物資」は人口の多い地域等では、少量の降灰でも買い占め等により、店舗の食料、飲料水等の売り切れが生じます。道路の交通支障が生じると、物資の配送や店舗等の営業に影響し、生活物資が入手困難となります。「電力」は雨が降った際、3ミリ以上の降灰で停電、「通信」障害が発生します。「上水道」は水質が悪化し飲めなくなり、停電エリアでは断水が発生。「下水道」は下水管が塞がり雨が降ると溢れ、停電エリアでは下水道の使用が制限されます。「建物」は30センチ以上積もった状態で雨が降ると、火山灰の重みで木造家屋の倒壊が発生します。「健康被害」として、目、鼻、喉、気管支等に異常が生じ、呼吸器疾患や心疾患のある人は症状が悪化する恐れがあります。

作業部会は「降灰範囲は噴火の規模、噴火時の風向・風速により大きく変わる」とした上で、「都市機能が集積している地域においては、降灰時に通常の生活や経済活動は継続困難であることを前提に対応を検討する必要がある」と指摘。国や自治体が事前に広域の降灰に対して防災対応の計画を定めることが必要だと強調しています。

571回「コロナ禍の避難所運営」2020年4月25日OA

2020年04月25日 6:00 PM

今日は新型コロナウイルス感染症のクラスター=集団発生対策についてです。厚生労働省は、咳やくしゃみをする際、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖などで口や鼻をおさえる「咳エチケット」や、手洗いに加え、「密閉」「密集」「密接」の3つの密を避けるよう呼びかけています。「換気の悪い『密閉』空間」については、「部屋が広ければ大丈夫」「狭い部屋は危険」というものではありません。WHOは空気感染を起こす「結核・はしかの拡散」と「換気の回数の少なさ」の関連を認めていて、カギは「換気の程度」ということです。窓がある場合は2方向を1回数分間全開、これを1時間に2回以上。窓が1つしかなくても、入口のドアを開ければ窓とドアの間に空気が流れます。「多数が集まる『密集』場所」については、他の人と互いに手を伸ばして届かない十分な距離2m以上を取る、座席は隣の人と一つ飛ばしに座る、又互い違いに座るのも有効としています。「間近で会話や発声をする『密接』」についてWHOは「5分間の会話で1回の咳と同じくらいの飛沫が飛ぶ」と報告していることから、対面の場合は十分な距離を保ちマスク着用をお願いしています。

さて新型コロナウイルス感染拡大が続く中、もし自然災害が発生し、避難所に避難しなければならなくなった場合、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。内閣府は今月はじめ、各都道府県などに対して「避難所における新型コロナウイルス感染症への対応について」通知しました。「可能な限り多くの避難所の開設」「親戚や友人の家等への避難の検討」。これらは避難所が過密になることを防ぐ為の措置で、ホテルや旅館等の活用も提案しています。又、避難所では「避難者の健康状態の確認」「手洗い、咳エチケット等の基本的な対策の徹底」「避難所の衛生環境の確保」「十分な換気の実施、スペースの確保」と、これまでの避難所運営以上の衛生管理が求められます。又、発熱、咳等の症状の人には「可能な限り個室や専用トイレを確保」し「一般の避難者とはゾーン、動線を分けること」としながらも、新型コロナウイルス感染症の場合は「軽症者等であっても原則として一般の避難所に滞在することは適当でない」とし、適切な対応を事前に検討するよう求めています。

自然災害が発生する前に官民一体となって、新型コロナ対策を考慮した避難方法を想定しておく必要があります。

472回「栗駒山火山ハザードマップ」2018年5月19日OA

2018年05月19日 6:00 PM

今日は、栗駒山の火山ハザードマップについてです。ハザードマップとは「災害予測地図」のことで、火山噴火など発生が予測される被害について、その種類・場所・危険度などを示しています。栗駒山の火山災害に対する防災体制の構築を推進する為、岩手、宮城、秋田の3県と、一関市、栗原市、湯沢市、東成瀬村の関係自治体、関係機関、学識経験者等で構成する栗駒山火山防災協議会が作成し、この春、公表しました。ハザードマップでは過去に発生した噴火や、他の火山での噴火事例を参考に「水蒸気噴火」と「マグマ噴火」に分けて影響範囲を示しています。

マグマによって加熱された地下水等が爆発的に地表に噴出する「水蒸気噴火」は、過去約1万年の間に少なくとも12回発生しています。800年に1回程度です。昭和湖付近で水蒸気噴火が発生した場合、火口から2-3キロの範囲で小さな噴石や火山灰が50センチ、奥州市の南西部にも1センチ程、堆積する恐れがあります。地下から上昇してきたマグマが地表へ噴出する「マグマ噴火」は、過去約1万年の間に少なくとも9回発生しています。1100年に1回程度です。昭和湖付近でマグマ噴火が発生した場合、溶岩流の他、火口から2キロの範囲で小さな噴石や火山灰が50センチ堆積し、10センチ以上堆積した斜面では雨により土石流発生の恐れがあります。

気象庁の資料によりますと、1774(寛保3)年2月3日の噴火では磐井川が俄かに渇水、山鳴りが響き、大木を含む大量の火山泥流が発生しました。その後も時々噴煙が観測され、山鳴りが続きました。又、1944(昭和19)年11月20日の小規模な水蒸気噴火は昭和湖付近で発生しました。火山灰が降り、泥を噴出、磐井川が濁り、魚類に多数の被害が出ました。加えて強酸性水が湧き出て、噴火後3年に亘り磐井川下流域の農作物や水力発電所に被害を及ぼしました。1774年の噴火でも同様の被害があり、将来、水蒸気噴火によって強酸性水が湧出した場合、磐井川下流域では数年間に亘り影響を受ける恐れがあります。自然の恵みと表裏一体にある火山のリスクを地域住民、登山者、観光客が共有することが大切です。栗駒山のハザードマップは岩手県のHPで御覧になれます。

372回「降灰の注意点」2016年6月18日OA

2016年06月18日 6:00 PM

前回に続いて、先月末に訪れた浅間山の火山防災についてです。火山災害で市民生活に大きな影響を及ぼすのは噴火で吹き上げられた火山灰が地上に落下する「降灰」です。浅間山の最近の降灰は12年前です。気象庁によりますと、2004年7月下旬から噴煙活動が活発になりました。9月1日には21年ぶりに爆発、北東方向の群馬県から福島県相馬市で降灰が観測されました。9 月16日から17日の小規模噴火では南東の軽井沢町には多量の降灰があり、群馬県・埼玉県・東京都・神奈川県・千葉県の一部でも降灰が観測されました。火山灰は風で遠くまで運ばれ、風向きによって様々な方向に降るのです。

群馬県長野原町版「浅間山火山防災マップ」には、降灰に対する注意点が解説されています。火山灰はとがった結晶質の構造をしています。降灰がある場合、なるべく家から出ないようにし、やむを得ず外出する場合、マスクやゴーグルでのどや目を守ることが必要です。車に積もった場合、ワイパーなどでこするとフロントガラスに傷がつく恐れがあるので、多量の水で洗い流しましょう。コンピューターや精密機器の故障の原因になりますので、窓やドアをしっか閉め屋内に入れないように。道路が滑りやすくなり、又、降ってくる火山灰や積もった火山灰を巻き上げ視界が悪くなりますので、車などの運転には注意が必要です。

降灰に対する注意は浅間山だけの話ではありません。岩手山でも起こる恐れがあります。岩手山火山防災マップによりますと、岩手山の東側では1686年のマグマ噴火と同じ規模の噴火が発生した場合、盛岡で10センチ、滝沢で10センチから、場所によって80センチ程度の降灰が予想されています。私達は活火山と共に暮らしているということを忘れてはいけません。

 

371回「浅間火山博物館」2016年6月11日OA

2016年06月11日 6:00 PM

今回は群馬県・長野県にまたがる浅間山についてです。5月末、群馬県嬬恋村にある「浅間火山博物館」を訪れました。岩手山より530m高い標高2568mの浅間山の麓にある火山に関する博物館です。建物は浅間山の稜線を思わせるような大きく横に張り出した黒い屋根が目を引きます。屋内に入ると、展示室までは洞窟の入口から真赤な溶岩のトンネルを通って地底の世界に進むような演出です。地球の内部構造が一目でわかる断面模型や、浅間山の江戸時代の大噴火を記録した古文書や古い絵図などが展示されています。絵図に描かれた黒い噴煙や真っ赤な溶岩流からは、自然への畏怖や、惨状を伝えようとする当時、生きる人の思いが伝わってきます。

浅間山はこれまで大規模な噴火と中規模、小規模の噴火を繰り返してきました。日本の火山災害史上に残る大きな被害をもたらしたのは1783年の大噴火です。展示資料によりますと、江戸時代の天明3年、新暦の5月から7月の3か月の間、断続的に噴火を続けていました。そして8月5日に大噴火を起こします。この時、発生した鎌原(かんばら)土石なだれは100キロの猛スピードで鎌原村、現在の嬬恋村鎌原集落を襲い、噴火からわずか数分の間に村は埋没、当時570名いた村民の内、477名が犠牲になりました。助かった93名の多くは、現在も高台にある鎌原観音堂に逃れた人たちでした。この史実は、ローマ時代、火山噴火によって埋没したイタリアの都市になぞらえ「日本のポンペイ」と呼ばれ、浅間山の火山活動と人々の暮らしを今に伝えています。博物館から通じる遊歩道は、黒い奇岩が広がる溶岩流の跡「鬼押出し」内に整備されています。散策しながら雄大な浅間山を眺めることができるのです。

群馬県長野原町出身の櫻井雅和館長は、幼い頃から見て育った浅間山は自身にとって「地域に当たり前にあるシンボル」と言います。現在、嬬恋村と長野原町は「浅間山ジオパーク構想」を掲げ認定に向けた取り組みを進めています。櫻井さんは「ジオパークになることで、火山の生い立ちや現状を更に知る火山学習の場になれば」と観光客誘致や地域の活性化につながる認定を期待していました。火山との共生は、まずは知ることが大切だと実感しました。

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