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気象と防災 マメ知識!

気象予報士・防災士の神山 浩樹(IBCアナウンサー)がお届けする5分間。

◆放送日時
毎週土曜日17:50~17:55
番組開始:2009年4月〜

◆出演
神山浩樹(IBCアナウンサー)

649回「首都圏直下地震 震度5強」2021年10月23日OA

2021年10月23日 6:00 PM

7日(木)午後10時41分頃、千葉県北西部を震源とする地震があり、東京都足立区と埼玉県南部で震度5強を観測しました。気象庁によりますと、東京23区で震度5強以上を観測するのは、2011年3月11日の東日本大震災以来です。この地震による津波はありませんでした。震源地は千葉県北西部で、震源の深さは75キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5.9と推定されています。消防庁の集計によりますと8日現在、千葉県、神奈川県でそれぞれ14人など、合わせて43人がけがをしました。東京都交通局によりますと、足立区にある、新交通システム「日暮里・舎人(とねり)ライナー」の舎人公園駅近くでは、走行していた一部の車両が脱線し、乗客3人が転ぶなどしてけがをしました。鉄道の運転見合わせが相次ぎ、帰宅できない人が続出した他、一夜明けた運転再開後も大幅な遅れが出ました。千葉県北西部、東京都23区では、長周期地震動階級2を観測しました。高層ビル高層階等では、物につかまらないと歩くことが難しい、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがあるなどの大きな揺れになった可能性があります。
気象庁は記者会見で、プレート境界で発生した地震だとし、内閣府が想定する首都直下地震に比べると「規模は小さい」という見解を示しました。首都直下地震が起きた場合、どんな被害が想定されているのでしょうか。令和元年に修正された東京都の地域防災計画では、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の地震が起きた場合、大田区や品川区の一部などに、最大震度7の地域が出ると共に、墨田区、江東区、台東区、千代田区など、東京湾沿いで震度6強の地域が広範囲に発生するとみています。この揺れにより、木造住宅密集地域を中心に建物が倒壊したり火災が発生したりして、大田区約1000人、品川区約800人など、都全体で最大約9700人が犠牲になる恐れがあるとしています。又、建物全壊などによるけが人は大田区、千代田区、江東区でそれぞれ約1万人など、都全体で約14万7600人です。帰宅困難者は千代田区で約160万人、港区で約150万など、都全体で約517万人に上る見込みです。
東京都は、死者、避難者、建築物被害を減らす為、各区と連携しながら、延焼を遮断する道路整備や、老朽建物の除却・建替え等の助成に取り組み「燃えない・燃え広がらないまちづくり」を進めています。

648回「青森で震度5強」2021年10月16日OA

2021年10月16日 6:00 PM

震度5強の地震が続いています。6日(水)午前2時46分頃、岩手県沖を震源とする地震があり、青森県で震度5強、盛岡市では震度5弱を観測しました。又7日(木)午後10時41分頃、千葉県北西部を震源とする地震があり、東京都足立区と埼玉県南部で震度5強を観測しました。どちらの地震でも津波はありませんでした。今日はこの内、6日未明の岩手県沖を震源とする地震についてです。私は自宅の2階で就寝中でした。突き上げる揺れの後、スマートフォンから緊急地震速報のアラームが鳴り響き、大きな横揺れが20-30秒ほど続きました。その10分後、車で出社。雨の降る中、信号や街灯は点いていて、停電している様子はありませんでした。

青森県階上町で最大震度5強、岩手県内は盛岡市渋民で震度5弱を観測しました。県内で震度5弱は、5月1日、釜石市と一関市で震度5弱を観測して以来です。気象庁によりますと震源は岩手県沖で、震源の深さは56キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5.9でした。今回の震源周辺では、マグニチュード7.9程度の更に大きい地震が想定されいて、注意が必要です。震度4を観測した岩手町では国道4号の沼宮内南口交差点にある信号機の柱が折れ、道路の一部を塞ぎました。このエリアの地盤の強さについて調べてみました。ジャパンホームシールドが、地盤調査のデータや産業技術総合研究所など公的機関が提供しているデータを元に運営している「地盤サポートマップ」の地形の判定では「揺れにくい」地盤でした。コンクリート製の柱は国の指針で耐用年数が42年と規定されていますが、倒れた柱は1974年の製造で、47年が経過していました。県警交通規制課によりますと、年に1回の目視による点検では異常は見つかっておらず、再発防止に取り組むとしています。

この地震で岩手町土川の80歳の女性が就寝中、落下してきたテレビで右のまぶたにけがをしました。青森県東北町の70代女性は、就寝中、地震に気付きベッドから起き上がろうとした際に転落して打撲。八戸市の60代女性は揺れの中、タンスを押さえて肩をけがしました。倒れてくるような物の傍で寝るのは危険です。大きな地震が起きた時でも、安全が確保できるように寝室を点検しましょう。

647回「十和田火山」2021年10月9日OA

2021年10月09日 6:00 PM

今日は青森県と秋田県にまたがる十和田湖についてです。火山活動によりできた、すり鉢状のくぼ地=カルデラに水がたまった湖です。青森県の観光情報サイトによりますと、海抜400m、周囲は約46キロ、湖は最も深い所で326.8mと、面積では日本で12位、深さは日本で3位です。

十和田は活火山です。気象庁では国内に50ある「常時観測火山」の一つとして、24時間体制で観測・監視を行っています。青森県や秋田県などが発行したハザードマップによりますと、約20万年前から噴火を繰り返し、1万5000年前の巨大噴火によって、現在見られる十和田カルデラの原形が形成されました。この噴火では、青森・秋田・岩手3県の広い範囲を高温の火砕流が襲い、一帯は見渡す限り土砂で埋まり荒野になったと考えられています。このような巨大噴火は、日本全体で1万年に一度ほど起きていて、大量のマグマが噴き出すことでカルデラができます。北海道の洞爺カルデラや、九州の阿蘇カルデラなどが有名です。最も新しい噴火は、今から約1100年前、平安時代の西暦915年に起きました。日本の歴史上、最大の噴火です。噴煙が高く上がり、軽石が広い範囲に降り積もった他、火砕流が約20キロ離れた場所まで達しました。この噴火で起きた「毛馬内(けまない)火砕流」は、十和田火山周辺を高温で流下した他、その後に発生した火山泥流が大湯川・米代川で大洪水を引き起こして沿岸の人家が埋没しました。日本の歴史上最大の噴火というと、富士山の方が大きいのかと思ってしまいますが、西暦1707年、富士山最大の宝永噴火の総噴出量は7億立方メートルでした。十和田火山の平安時代の噴火は21億立方メートルと、その3倍でした。

さて6200年前の縄文時代にも爆発的噴火がありましたが、同規模の噴火が起きた場合、噴煙から降ってくる火山灰や軽石などが、どれぐらいの範囲まで達するか想定されています。そのシミュレーションによると、上空では1年を通じて西からの風が多く、岩手県内では北部を中心に30センチ前後、積もる可能性があります。過去約1万1000年の間に、少なくとも8回の爆発的噴火があった十和田。今は静かに見えますが、将来必ず噴火します。十和田の噴火と言っても実感が湧きませんが、まずは活火山であることは覚えておいた方が良いでしょう。

 

646回「津波てんでんこ」2021年10月2日OA

2021年10月02日 6:00 PM

地震発生時のアナウンスについて、盛岡の匿名さんからIBCにメールを頂きました。ありがとうございます。一部抜粋しますと「私は10年前の3.11の時に釜石市に仕事で行っており、津波で被災した場所で仕事をしており、当日地震後に業務を終えて内陸遠野に移動しておりました。そこでお伺いします。緊急地震速報が出され三陸沖で地震が発生した場合、IBC岩手放送では『皆さんに声を掛け合って避難してください』ですか『てんでんこで避難してください』とアナウンスされますか。『命てんでんこ』なら、『自分の命は、何としてでも自分で守れ』。こうした言葉が受け継がれてきた背景には、過去の地震・津波の際に、家族や知人を助けに行ったことで避難が遅れ、多くの死傷者が生まれた言葉ではなかったんですかね」。

「てんでんこ」は「津波てんでんこ」や「命てんでんこ」とも言いますが、受け継がれてきた背景は御指摘の通りです。津波の常襲地帯である三陸地方に伝わってきたとされ、特に震災以降、高い所への避難を一言で要約する用語として、多くの人に知られるようになりました。その意味は「津波が来たら、各自てんでんばらばらに高台に逃げろ」「自分の命は自分で守れ」という防災上の教訓です。ただこれだけ聞くと、自分が助かれば他人はどうなってもよい、とする利己主義に思われるかもしれませんが、それは違います。本来、家族や地域であらかじめ互いの行動をきちんと話し合っておくことで、離れ離れになった家族を探したり、判断に迷い逃げ遅れたりすることを防いで、皆が結果的に助かることを意図していると思われます。又、平時に、支援が必要な高齢者や障害のある方などの避難方法を共有することで、「津波てんでんこ」が有効に機能すると思われます。

さてIBCでは、緊急放送マニュアルを作成しています。大津波警報や津波警報が出された場合は、「家族や周りの人に避難を呼びかけながら、あなたが率先して避難してください」とコメントすることにしています。「てんでんこ」という言葉は使っておりませんが、いざという時には率先避難者になるという「津波てんでんこ」の教えをベースにした呼びかけ、と考えています。

645回「キキクル ОN ハザードマップ」2021年9月25日OA

2021年09月25日 6:00 PM

IBCが提供するスマートフォン向け「IBCつながるアプリ」に、今月、新機能「キキクル ON ハザードマップ」が搭載されました。IBCと防災情報提供会社のゲヒルンが共同で開発したものです。キキクルとは、気象庁が発表する、大雨による災害発生の危険度の高まりを地図上で確認できる危険度分布の愛称です。地図上に危険度を5段階に分け表示して伝えます。今回IBCアプリでは、県内の洪水や土砂災害のハザードマップの上に、このキキクルの情報を重ねて表示するものです。これまでは、ハザードマップとキキクルの情報を別々に確認する必要がありました。しかしこの新機能により、大雨などの災害が迫った際に、自分がいる場所のハザードマップと、リアルタイム情報としての危険度分布を同時に見比べることができ、自分が置かれた状況を客観的に把握して、避難の判断などに役立てることができます。尚、県内の洪水と土砂災害のハザードマップは、岩手県から提供された今年9月現在の最新のものを表示。雨が降っていなくても身近な場所のハザードマップとして、いつでも確認することができます。

この新機能について滝沢市のオルガンさんからメールを頂きました。「IBCアプリにキキクルが追加されたと聞いたので見てみたら、何と自分の家の周りの地図上に雨や洪水などの情報が載って見られるので驚きました!雨雲レーダーで現在地まで表示できるサイトはありますが、まさに自分の家の所がはっきりわかるのでいいですね。キキクルを活用するような天気にならないほうがいいですが、いざという時のために安心です」。ありがとうございます。

私もこの新機能を実際に使ってみました。県内は低気圧の通過により17日夜から18日にかけ沿岸南部で大雨となり、大船渡では降り始めから200ミリ近い雨量を記録、午後は一時、土砂災害警戒情報が出されました。夕方「キキクル ОN ハザードマップ」の内、右上の「土砂」というキキクル=危険度分布を開いてみると、大船渡の市街地が赤色の「警戒」に覆われ、国道45号沿い西側の土石流危険区域と重ねて表示されました。特にどのエリアで警戒が必要か、一目で分かりました。この機能は「IBCつながるアプリ」をダウンロードするか、既にダウンロードしている場合はバージョンアップすることで御利用になれます。

644回「温暖化の最新知見」2021年9月18日OA

2021年09月18日 7:00 PM

今日は、気候変動に関する最新レポートについてです。IPCC=気候変動に関する政府間パネルは、世界気象機関と国連環境計画により1988年に設立された政府組織で、現在195の国と地域が参加しています。IPCCの目的は、各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎資料を提供することです。世界中の科学者の協力の下、科学誌に掲載された論文などに基づいて定期的に報告書を作成し、気候変動に関する最新の科学的知見を評価しています。

先月、IPCCは8年ぶりにまとめた報告書を公開しました。今回のポイントは「地球温暖化の原因は人間の活動によるものだ」と断定したことです。そもそも気候変動の要因には「自然」の要因と「人為的」な要因があります。自然要因とは、火山噴火や太陽活動の変化など、人間の影響なしに発生するものです。一方、人為的要因には人間活動に伴う二酸化炭素などの温室効果ガスの増加、森林破壊などがあります。これまではあくまで人間の活動による影響が強いという表現でしたが、今回は「人間の影響は疑う余地がない」と強い言葉で表現されています。また報告書によると、少なくとも過去2000年間で前例のない速度で気温は上昇しており、2011年から2020年の世界平均気温は、産業革命前よりも1.09℃高かった、としています。前回、報告された期間平均の上昇量0.78℃から更に上がっています。パリ協定では「産業革命前より気温の上昇幅を1.5℃以内に抑える」ことを一つの目標に掲げていますが、今回の報告書では2021年から2040年に1.5℃に達する可能性が非常に高いと指摘しています。平均気温が1.5℃まで上昇すると例えば50年に1度起こるような極端な高温が、今と比べて約2倍、2℃上昇すると約3倍になると予想しています。また、今よりも地球上の水の循環が活発化して、地域によっては大雨と洪水が増えることが懸念されます。

温暖化を緩やかにする為、私達ができることは何でしょう。日々の生活を支える電気やガス、ガソリンを作ったり、機械や乗り物を動かしたりする為には、石油や石炭、天然ガスを大量に燃やします。これらの資源を燃やす際に、二酸化炭素など温室効果ガスが発生します。この温室効果ガスを減らすことが、温暖化対策になります。つまり1人1人ができることは「省エネ」なのです。

643回「時間経過を表す用語」2021年9月11日OA

2021年09月11日 7:00 PM

ラジオをお聞きの方から、天気予報で使われる用語について質問を頂きました。ありがとうございます。「ラジオなどで天気予報を聞いていると、『晴れ、昼過ぎからくもり』或いは『晴れ、夕方からくもり』と、ある時間帯から天気を予想するものがあります。それに対して『晴れ、のちくもり』ということがあります。その場合、いつから『くもり』と考えた方が良いのでしょうか」

結論から言いますと、「から」という用語、気象庁では、具体的な時間帯を指していません。予報期間内の前と後で現象が異なる際、その変化を示す時に使っています。例えば、明日の天気について「晴れ、のちくもり」といった場合は、全体的な傾向として、明日の前半は「晴れ」、後半は「くもり」という予報です。又、一方で可能な限り「のち」という用語は使わないようにしていて、「晴れ、のちくもり」は、「晴れ、昼過ぎからくもり」などと、具体的な時間帯を示すように努めています。ただ例外もあり、時間帯を示す用語が2つになる場合は、一方に「のち」を用い、時間指定は降水現象を優先しています。例えば「晴れ、昼過ぎからくもり、夕方から雨」という予報の場合です。「昼過ぎから」と「夕方から」という時間帯を示す用語が2つになります。この場合、時間指定は「夕方から雨」が優先されます。つまり「晴れ、のちくもり、夕方から雨」となるわけです。

予報用語でよく質問されるのは「一時」と「時々」の違いです。例えば雨の場合、降り方や、予報期間中の降っている時間の割合、降り方の傾向によって予報表現が決まっています。例えば明日の予報の場合、日付が変わり午前0時から24時間が一日の予報時間になります。朝6時に降り出し、昼までには止み、その後は降らない、と予想したとします。この場合、連続して降る雨は6時間未満なので「一時雨」という表現になります。一方、一旦雨が止んでもまた降り出し、合計して6時間以上12時間未満になると予想した場合は「時々雨」という表現になります。「時々雨」の予報の際は、雨が上がっても油断できません。24時間の内、12時間以上、降る予想では「雨」という予報になります。

 

642回「治水地形分類図」2021年9月4日OA

2021年09月04日 6:00 PM

国土地理院は、治水対策を進めることを目的に「治水地形分類図」を作成し、ホームページで公開しています。国・都道府県が管理する河川の流域の内、岩手では盛岡から一関にかけての北上川流域の平野部が対象です。詳細な地形分類により、その成り立ちを理解でき、起こり得る水害や地震災害などに対するリスクを推定できます。地理院地図トップページから「土地の成り立ち・土地利用」「治水地形分類図」をクリックすると、洪水になりやすい低い土地の地形がカラーで表示されます。

その内、過去の洪水によって作られた平野を「氾濫平野」と言い、薄緑で表しています。平野の多くは上流・中流から運ばれてきた土砂が溜まってできた地形です。何度も洪水が繰り返され、その度に土砂などが堆積した為、現在の平らな土地ができました。かつて氾濫平野は主に農地として利用されてきましたが、人口増加に伴い宅地や工場が拡大し、市街地になってきました。このような場所では、堤防が決壊しやすく、豪雨時の洪水による住宅の冠水が心配されます。

水田地帯が広がる氾濫平野では、カーブを描くようにして作られている水田を目にすることがあります。これは昔の川の流れた跡「旧河道(きゅうかどう)」という地形で、治水地形分類図では青い横縞模様で表しています。川は平地に出ると流れが遅くなり運搬能力が弱まり、土砂を川の底に堆積させていきます。土砂がたまると、川はそこを避けて流れるようになり、また次の場所で土砂の堆積が始まります。これが徐々に繰り返された結果、蛇行する川の形が出来上がるといわれています。洪水が発生すると、溢れた水は蛇行したカーブの部分をショートカットして、下流側へまっすぐ流れ込みます。やがて川は、洪水でできた道を流れるようになり、元々、川が流れていたカーブの部分が切り離されます。こうしてできたのが旧河道です。一方で洪水を避ける為、水路や堤防などを築いて人工的に川の流れを変えた結果、旧河道ができることもあります。旧河道は、周囲の氾濫平野より1m~2m低い為、地表水が集まりやすくなります。わずかな雨でも浸水しやすい為、浸水の深さ・時間とも大きくなります。また砂の層でできている軟弱地盤が多く、地震の揺れによる液状化などの被害に注意が必要です。

641回「イラストで学ぶ水害」2021年8月28日OA

2021年08月28日 6:00 PM

国土地理院は、過去に国内85か所で起きた水害を取り上げ、災害をもたらした要因や地形との関係を解説した「イラストで学ぶ過去の災害と地形」を作成し、ホームページで公開しています。過去の災害と地形を比較することで災害の危険性を直感的に学び、類似する地形の危険性を把握することが目的です。資料は1か所の水害について、「直感で把握」と題し浸水範囲や標高を示したカラーの図解と共に、地域で発生した水害について取り上げ、又、更に詳しく「土地の成り立ち」について3次元画像を用い、その特徴を説明している項目もあります。

岩手県では、4つのエリアについて解説しています。1つ目は「小本川下流域岩泉町周辺」です。2016年8月の台風10号に伴う大雨の影響で、岩泉町では浸水が発生し、甚大な被害が生じました。地形を見ると、狭い谷のような平地の中を川が流れています。山地の間を流れる川は、谷の幅が狭く雨水が集まりやすいので、急に増水することがあります。又、山地に接する平地は幅が狭いので、氾濫すると深く浸水する恐れがあるのです。2つ目は「久慈川久慈市街周辺」です。こちらも同じく2016年8月の台風10号に伴う大雨の影響で、久慈市内が浸水し、甚大な被害が生じました。地形を見ると、下流部の平地で、川の合流地点が多く見られます。川が合流する場所は、水の流れが悪くなって増水しやすくなります。そして川が曲がる部分は、堤防を壊す力も強くなる為、増水時は危険です。3つ目は「北上川一関市川崎地区」です。一関市川崎町は、北上川と支流の砂鉄川、千厩川に囲まれており、北上川の水位上昇により度々、被害を被ってきました。特に1947年のカスリーン台風と、翌年のアイオン台風では、連続して大水害に見舞われ、家屋、道路、農作物などが未曽有の大被害を受けました。こちらは3次元の地図で見ると、平野よりも更に標高が低い所が多く、特に注意が必要なことが分かります。4つ目は「北上川一関市周辺」です。こちらもカスリーン台風、アイオン台風という2年連続の台風で大水害に見舞われました。地図で見ると、川が合流し東の山地の谷に流れていくのが分かります。山地から流れ出る川は、急な増水や土石流の恐れがあるのです。

近年、多発する豪雨。事前にその土地のリスクを知ることで、もしもの時の行動が変わります。このホームページは「イラストで学ぶ過去の災害と地形」で検索すると御覧になれます。

640回「車での避難」2021年8月21日OA

2021年08月21日 6:00 PM

東日本大震災が発生した際、東京では、皆が車で早く家に帰ろうとした結果、大渋滞が発生しました。発災から3時間後には、渋滞が通常時の約5倍に。又1キロをクルマで走行するのに約2時間かかり、大切な命を救う為の緊急車両が通れなくなってしまったのです。あれから10年。東京都では震度6弱以上が発生した場合、環状7号線から都心方向への車両の通行が禁止となるなど、大規模な交通規制が実施されます。警視庁では「車には乗らない」「乗っていたら駐車場など道路外に移動」を呼びかけています。

大規模災害発生時の渋滞は、東京だけの話でしょうか。TBC東北放送が取材した宮城県の例です。今年3月20日、宮城県内で最大震度5強を観測する地震が起き、沿岸部には4年4か月ぶりに津波注意報が出されました。この時、ある課題が浮き彫りになりました。多くの人が車で避難した為、各地で渋滞が起きたのです。震災の時にも同じことが起こっていました。石巻市で実施した市民アンケートでは、震災の際、約27%の人が「自動車で逃げた」と回答しています。渋滞が起きたことで、車で逃げざるを得ない人の命も失われました。東松島市の老人ホームの臨時職員男性は、地震が起きてすぐ、寝たきりの利用者4人を車に乗せました。しかし避難の途中で渋滞に巻き込まれ、車ごと津波に流されました。男性は助かりましたが、一緒に乗っていた利用者4人は亡くなりました。こうした教訓から沿岸部の自治体の多くは原則「徒歩」で避難するよう呼びかけています。津波避難タワーや津波避難ビルを整備している自治体もあります。一方、亘理町の地形は高台や高層建物がない平野です。その為、多くの住民が希望する、車を使った避難訓練を実施しています。亘理町に住む男性は、混雑が予想される県道を避け、信号が少ないルートを使うことにしています。

岩手県の地域防災計画では、避難手段は原則として「徒歩」としながらも「避難所までの距離や避難行動要支援者の存在など地域の実情に応じ、やむを得ず自動車により避難せざるを得ない場合においては、避難者が自動車で安全かつ確実に避難するための方策をあらかじめ検討する」としています。歩いて避難できる場所もあれば、車でしか逃げられないような場所もあります。又、支援が必要な人は、車を使うことでスムーズに安全な場所に逃げることができます。地震や津波の際、命を守る為、どこにどうやって避難するのか、日頃から想定しておくことが重要です。

 

639回「気象病・天気痛」2021年8月14日OA

2021年08月14日 6:00 PM

「気象病」という言葉をお聞きになったことがありますでしょうか。国語辞典にも載っていて、広辞苑第七版によりますと、『気象の変化と関係があると考えられる種々の病症の総称。特にフェーン現象・前線・気温などとの関わりが深い。喘息・頭痛・神経痛・リウマチ』などとあります。

天気が悪くなると痛みが悪化したり、寒暖差により不調になったりすることを「天気痛」と名付け、日本初の気象病外来・天気痛外来を立ち上げた医師が、中部大学・生命健康科学部理学療法学科の佐藤純(じゅん)教授です。佐藤教授の著書「天気痛を治せば 頭痛、めまい、ストレスがなくなる!」(扶桑社)には、天気痛対策として、自分の体のリズムをつかむ為の日記の他、市販の酔い止めの薬を勧めています。乗り物酔いをした時の、気持ちが悪くなる、吐き気、頭痛、眠気などの症状は、天気痛そのもので、原因が耳の最も奥にある内耳の急激な揺れから来ているところも同じ、とのことです。その他、手軽に効果が期待できるのが「耳の後ろにあるツボ押し」や「耳の血流マッサージ」です。マッサージは、耳を真ん中から、縦に2つに折り曲げます。力を込め過ぎず優しく行い、更に耳全体をマッサージすることも勧めています。目的は血流の促進で、耳の周りの血流が悪いと内耳の中にあるリンパ液も一緒に滞り、めまいや頭痛などの症状を引き起こすと考えられるから、ということです。

中部大学のHPによりますと、佐藤教授は、愛知医科大学・医学部と日本獣医生命科学大学・獣医学部との共同研究により、マウスにも、内耳の前庭(ぜんてい)と呼ばれる器官に気圧の変化を感じる場所があることを、世界で初めて突き止めました。今回の研究成果から『私たち人間においても天気の崩れによって前庭器官が気圧の微妙な変化を感じとり、脳にその情報が伝わり、結果として古傷や持病の痛みを呼び覚ましたり、めまいや気分の落ち込みといった不調を起こしたりするものと考えられます』『今後も研究を続け、どのようなメカニズムで前庭器官が気圧の変化を感じ取るのかを明らかにしていきます。また、このメカニズムを明らかにすることで、気象病や天気痛の有効な治療法の確立に繋げていきます』としています。

 

638回「荒井郁之助」2021年8月7日OA

2021年08月07日 6:00 PM

岩手出身の作家・平谷美樹(ひらやよしき)さんが著した「鍬ヶ崎心中 幕末宮古湾海戦異聞」(小学館)を拝読しました。幕末から明治へと移り変わる動乱期の史実である宮古湾海戦が、無名の男女の物語を通してリアルに想像でき、胸が熱くなりました。

宮古湾海戦は、明治2年3月25日、旧幕府軍残存艦隊の内の「回天」が、新政府軍艦隊の集結する宮古湾へ攻め込んだ奇襲戦のことです。宮古市の資料によりますと、旧幕府軍は荒井郁之助を総司令官に、回天一隻で宮古港に停泊する新政府軍の軍艦「甲鉄」奪取を決行。回天の船首が甲鉄の脇腹に乗り上げ、兵士が甲鉄の甲板に飛び降りて戦いますが、甲鉄側も猛反撃を開始。速射砲が火を吹き、旧幕府軍の兵士は次々と倒れ、わずか30分あまりの戦いで多数の死傷者を出し作戦は失敗に終わり、退却します。江戸を離れ、遠く蝦夷の地に独立国を建設しようとした旧幕臣達の夢物語は、宮古の海に砕け散ったのでした。

さて旧幕府軍の総司令官・荒井郁之助は、日本の気象事業の始まりを支えた1人でした。原田朗(あきら)著「荒井郁之助」(吉川弘文館)によりますと、1836年(天保七年)に旗本の家に生まれた荒井は、軍艦操練所で近代的な艦船の運用の他、地政学、天文学、高等数学などを学び、幕府の命を受けて江戸湾の測量を行いました。小笠原諸島の測量では、海図も天気図も無い危険な航海で暴風雨に遭い、この経験が後の気象事業に生かされることになったと思われます。戊辰戦争の際は、軍艦頭として開陽・回天などの幕府の艦隊を率いて、新政府の許可無く江戸湾を脱走し蝦夷に向かいました。その後宮古湾において新政府軍と戦い、或いは榎本武揚とともに箱館五稜郭に奮戦しますが、敗れて獄に下ります。2年半後、西欧の科学技術に詳しいことから出獄を許され新政府に受け入れられます。内務省地理局では、一大三角測量の実施、1mを3尺3寸とするメートル法の導入、日本の経度基準点の決定、日本標準時の制定など、今日の地球物理学の礎を築く多くの重要な仕事を行っています。明治20年には新潟で、日本初の本格的な皆既日食の観測に成功。その後は地理局において測候所の全国整備を行い、明治23年、気象庁の前身である中央気象台が設置されると、その初代台長に就きました。荒井郁之助は、幕末から明治の激動期、時代に翻弄されながらも自然科学の分野で確固とした仕事を残したのでした。

 

637回「雷が鳴ったら」2021年7月31日OA

2021年07月31日 6:00 PM

「平泉ぬ生息すてにゃぁ✕2のおんちゃん」から川柳のお便りを頂きました。ありがとうございます。「ゴロゴロづぅ おりゃ様聞けで ヘソ隠す。午後ぬ、なるっつぅど、おりゃ様雲が湧いで来て、ゴロゴロど、おりゃ様、聞けで来るゲット、おりゃ様ば聞くど、『こりゃ、おりゃ様鳴って来たがら、ヘソ隠すんだじゃ』って語りながら、おらんどごさ来たった、ばぁちゃんが、ほのあだりがら出はって来るような気ぃしすや」

「おりゃさま」とは「らいさま」「おらいさま」とも言い、雷のことです。雷は夏・冬問わず発生しますが、気象庁が雷を観測した月別の日数を見ると、8月が盛岡3.3日、宮古が2.5日と、1年の中で一番多くなっています。岩手の夏は雷の季節といえます。夏は、日中の強い日射によって暖められた地面付近の空気が上昇し、背の高い積乱雲となって雷を発生させます。夏の雷は、広範囲に発生し長時間継続する特徴があります。そして午後から夕方がピークになります。『こりゃ、おりゃ様鳴って来たがら、ヘソ隠すんだじゃ』、つまり『雷が鳴ってきたから、おなかを隠しなさい』というのは、夏場の気象変化に対する言い伝えと考えられます。雷が発生するような時は、同時にザーッと激しい雨の降ることがあります。雷雨になる前までは暑かったのに、急に気温が下がることがあり、おなかを冷やさないように、という昔の人の知恵なのでしょう。尚、同じ雷でも日本海側の秋田市では、月別で11月5.6日、12月4.8日と、冬にかけて多くなっています。この時期に日本海側で多く発生する雷は、大陸から吹き出してきた寒気が日本海で暖められて発生する積乱雲によるものです。

さて岩波書店、青木孝著「いのちを守る気象学」では、雷から身を守る為に覚えておいた方が良い「30~30」という数字を挙げています。はじめの「30」は、電光が見えてから雷鳴が聞こえるまでの時間「30秒」です。音の進む速さを毎秒350mとすると、30秒なら10.5キロです。雷雲が約10キロ先にあることになります。電光が見えてから雷鳴が聞こえるまでの時間が30秒以内になったら、雷雲が近づいていると考えられます。建物や車の中に避難するなど、安全確保に努めましょう。次の「30」は、その後、電光や雷鳴がおさまってからの時間「30分」です。30分を経過したら安全とみてよいでしょう。

 

636回「土砂災害の前兆2」2021年7月24日OA

2021年07月24日 6:00 PM

前回に続き、土砂災害の前兆現象についてです。土砂災害の危険箇所は、大きく3つに分類されます。土石流発生の恐れがある「土石流危険渓流」、がけ崩れ発生の恐れがある「急傾斜地崩壊危険箇所」、地すべり発生の恐れがある「地すべり危険箇所」です。

国土交通省では、過去に発生した土砂災害について、住民がどのような前兆現象を確認しているか分析しています。その資料によりますと、災害が起こる2時間以上前は「河川水位の上昇」「渓流内で石が転がる音」「流水の濁り」「流木・倒木の発生」「小石がパラパラ落ちる」「斜面の湧水、表面流の発生」「土臭いにおい」です。この前兆現象の背景についてです。土石流は、降雨量増加と共に次の3つのケース「渓流上流で水位が上昇し、堆積していた土砂が移動し始める」「上流の山腹斜面が不安定化し崩壊が発生する」「崩壊した土砂が一旦渓流に堆積し、流水を堰き止め天然ダムになり、決壊し下流に流れる」に分類されます。これらの過程で、流水の濁りや石が転がる音が発生したとみられます。又、がけ崩れの場合、降雨により斜面に雨水が浸透し、不安定になり、小石がパラパラ落ちたり、土臭いにおいがしたりする前兆現象が発生します。災害が起こる1時間から2時間前は「水の溢れ」「斜面の膨らみ、亀裂の発生」「土砂流出」です。地すべりの場合、豪雨などにより地下水位が上昇したり、斜面が膨らんだり亀裂が発生したりして、その後、急速な移動が始まり、最終的に滑落に至る場合がある、ということです。災害が起こる1時間前までは「渓流内の火花」「水位の激減」「地鳴り」「渓流付近の斜面崩壊」です。火花は、なかなかイメージできませんが、砂防・地すべり技術センターが平成21年7月の山口豪雨の際、土石流が発生した地区の住民に行ったアンケートによると、「石がぶつかり合う音」の他、「石がぶつかり火花の発生」が確認されています。

これらの前兆現象は、全ての場所で必ず起きるわけではありません。大雨の際は、いつでも避難できるように準備しておきましょう。そして、普段と違って、少しでも身に危険を感じたら避難するようにしましょう。

 

635回「土砂災害の前兆1」2021年7月17日OA

2021年07月18日 6:00 PM

土砂災害の危険箇所は、大きく3つに分類されます。土石流発生の恐れがある「土石流危険渓流」、がけ崩れ発生の恐れがある「急傾斜地崩壊危険箇所」、地すべり発生の恐れがある「地すべり危険箇所」です。県によりますと、今年3月末時点で、県内で土砂災害の恐れがある箇所は1万3316カ所です。その内、土砂災害が発生した場合に、住民の生命又は身体に危害が生じるおそれがある「土砂災害警戒区域」は1万1079カ所。この指定は、「傾斜度が30度以上で高さ5m以上は急傾斜地崩壊の恐れ」など基準があります。

土砂災害警戒区域の内、建築物に損壊が生じ住民の生命又は身体に著しい危害が生じる恐れがある「土砂災害特別警戒区域」は、1万265カ所あります。この内、土石流特別警戒区域は4813カ所あり、市町村別では、岩泉町554カ所、宮古市404カ所、一関市394カ所の順に多くなっています。地すべり警戒区域は123カ所ありますが、特別警戒区域に指定されている場所はありません。急傾斜地崩壊の特別警戒区域は、5452カ所あり、一関市624カ所、陸前高田市444カ所、宮古市414カ所の順に多くなっています。

国土交通省では、2004年、2005年に発生した土砂災害について、土石流、がけ崩れに分類して、住民がどのような前兆現象を確認しているか分析しています。その資料によりますと、土石流災害の場所で渓流の前兆現象は「地鳴り・山鳴り」28事例、「水の溢れ」19事例、「渓流内の石が転がりぶつかる音」17事例、「流水の濁り」が15事例ありました。その他「小石がぱらぱら落ちる」「斜面の湧水、表面流」「河川水位の上昇」などがあり、これらの前兆現象は避難に有効と考えられます。がけ崩れ災害の場所で住民が確認した前兆現象は、「小石がぱらぱら落ちる」5事例、「流水の濁り」5事例、「斜面の湧水、表面流」4事例、「流木・倒木の発生」4事例等です。また、「川の氾濫」「河川水位の上昇」等、斜面に関係しない前兆現象も住民は見ており、これらの前兆現象が避難に有効と考えられます。次回も土砂災害の前兆現象について取り上げます。

 

634回「『もやってる』『谷の出口』」2021年7月10日OA

2021年07月10日 6:00 PM

今日は、ラジオをお聞きの方からいただいた質問にお答えします。宮古の不埒なポークさんからです。ありがとうございます。「神山気象予報士にお聞きしたいんですけど、靄(もや)がかかっている事を『もやってる』というのは気象用語としてあるんでしょうか?Nスタの井上さんが天気予報のコーナーでよく使うんですが、『もやってる』というと船を港にもやい綱で係留してる状態しか思い当たらないんですよ。井上さんの隣に立ってる森田さんも指摘しないところをみると、普通の気象用語なんですかねえ」。

「靄」は、空気中に小さな水滴が浮いていて見通しが1キロ以上10キロ未満の状態です。似た現象で「霧」がありますが、こちらは見通しが1キロ未満の状態です。霧の方がより見通しが悪く、車の運転には注意が必要です。「靄」「霧」共に気象用語で、区別して使っています。さて「もやってる」という言葉は、気象庁で扱う気象用語ではありません。日本語の表現としてはあります。大辞林第三版には「靄る:靄がかかる」が載っていて、例文として「少し靄ってきた」を挙げています。「靄る」は、小型の国語辞典では新明解国語辞典に掲載されています。出版社の三省堂によりますと「2004年の第六版から採録しています。比較的新しく使用されるようになった語と思われ、実際には『靄っている』の形で、状態を表すことが多いのではないでしょうか」ということです。

続いて奥州市の匿名希望さんです。ありがとうございます。「神ちゃんに質問です。大雨の時『がけの近くや谷の出口近くにお住まいの方はお気をつけ下さい』と何度もラジオからお知らせいただきましたが、谷の出口って、どういった場所のことですか?」

扇状の地域と書く「扇状地」という言葉をお聞きになったことがあると思います。扇状地は土石流と関係があります。山に挟まれた細長い溝のような地形が谷です。谷を流れる渓流が山間部を抜けると、扇のように放射状に広がる平坦な地形になります。扇の要にあたる部分が「谷の出口」と言います。渓流は、洪水になると、土砂や小石を巻き込みながら土石流となり、谷の出口から放射状に広がります。つまり扇状地は、土石流が堆積した場所なのです。水はけが良く、構造物の基礎としては良好な地盤ですが、土石流に遭遇する危険があります。扇状地の中でも、谷の出口に特に注意が必要なのです。

633回「津波伝承絵本『奇跡の水門』」2021年7月3日OA

2021年07月03日 6:00 PM

今日は、東日本大震災の津波から村を守った普代水門の教訓を伝える絵本「普代村を守った『奇跡の水門』」についてです。普代村と大阪府の追手門学院大学が共同制作したもので、A4版40ページ、現地視察の資料として使えるA5版ミニ絵本もあります。

内容は「こんぶ」や「しゃけ」など、海の幸に恵まれた村の紹介から始まり、巨費を投じる水門に反対する住民を説得し建設した、当時の村長・和村幸得さんの思い、そして普代水門のお陰で津波から村が守られたことが描かれています。普代水門は、外海に面した普代浜から普代川を遡り海から300m地点にあります。高さ15.5m、総延長205mと巨大なもので、130トンもの重さがある門扉4つと、水門の南側、県道44号上に設けられた開閉式門扉で構成され、水門上部には、建屋が5つ並びます。よく見ると建屋の途中に「23.6m」と東日本大震災の津波の高さを示すプレートがあります。実は大津波は水門の高さを8m上回ったのです。県道にかかる門扉も5分の1程度しか閉じないトラブルがありましたが、それでも水門の1キロ上流までの浸水で津波を防いだのです。

絵本は、普代村と追手門学院大学の学生との交流から生まれたものでした。震災後、年2回、村の振興を図る為に訪れた学生が、普代水門に焦点を当て、防災の重要性を伝えていきたいと思い、紙芝居の制作を始めました。村は、その紙芝居を元に、去年6月から8月、クラウドファンディングで全国に呼びかけ、支援により絵本が出版されました。絵本は1500部発行、ミニ絵本は1000部発行。絵本は県内全ての小学校に寄贈し、図書室などで活用いただいているとのことです。村の担当者は「百聞は一見にしかず。普代水門は動けないので、まずは一度見に来て大きさを体感していただきたいです。『奇跡の水門』と言われていますが、奇跡でもなんでもなく、過去の教訓から未来の村の為に、熟慮を重ねた結果だと思います。その様子がわかりやすく描かれている絵本。多くの人に読んでいただき、震災の教訓が未来に受け継がれていけば幸いです」と語っています。絵本は三陸鉄道・普代駅にあるアンテナショップ「あいで」の他、インターネットからは「奇跡の水門」で検索すると47クラブECサイトから購入になれます。

632回「災害時の断水」2021年6月26日OA

2021年06月26日 6:00 PM

今日は、災害時の断水についてです。盛岡市上下水道局によりますと、盛岡市の水道水は、盛岡・都南地域は、米内川、中津川、雫石川、簗川の4つの川。玉山地域は岩手山と姫神山からの湧き水や地下水などを利用しています。取水後、市内7つの浄水場で、ゴミ、ニオイ、色を取り除き、薬品を入れて消毒しキレイにしてから、私達の家庭に届けられます。

10年前の東日本大震災の際、盛岡市は震度5強の揺れに見舞われ、約30時間に及ぶ大規模停電が発生し、約3万世帯が断水しました。断水の主な原因は、浄水場で水道水が作れなくなった為でした。水道水は、浄水場から「送水管」を通って、水を配る池と書く「配水池」に蓄えられ、「配水管」を通って各家庭に送られます。停電により水道水が作れなくなると、配水池や送水管などが空になります。復旧後、そのまま水を送ると、沈殿していた錆などを巻き上げ混濁する為、配水池や送水管の清掃が必要、ということです。盛岡市上下水道局では、震災の停電の教訓を踏まえ、各浄水場とも自家発電機など停電に備えた設備を整備しました。沿岸での断水は、盛岡市の停電とは違い、地震・津波により、取水場・浄水場・ポンプ場・配水池・配水管等が破損しことによるものでした。発災後、盛岡市上下水道局では、市内の給水の他、大阪市や神戸市など全国の応援隊と連携し、沿岸被災地の応急給水も行いました。ある職員は『釜石の小さな避難所で給水を終えて車に乗り込んだら、縁側に座っていた、おそらく足が不自由と思われる高齢女性が拝むようにして見送ってくれました』と当時を振り返ります。

盛岡市上下水道局では「災害に備えて日頃から浴槽などに生活用水を溜めておくことを心がけてください。溜めおきは、小さなお子さんの事故等に十分ご注意ください。又、受水槽を設置してポンプにより各戸に給水をしているマンションやアパートでは、発電機が無い場合、停電時に水道水を利用できなくなることが想定されます。普段から水のくみ置き等の対策をしてください。停電時に水が出る場合でも、受水槽内に残っている水しか使えないので、節水に努めてください。停電復旧後は、水道水に空気や錆などが混じり、濁る場合があります。しばらく水道水を流してからご使用ください」と呼びかけています。

631回「新平年値」2021年6月19日OA

2021年06月19日 6:00 PM

先月、更新された気象庁が発表する平年値についてです。平年値は、気温、降水量などその時々の気象や、冷夏、暖冬などの天候を評価する基準として利用されると共に、その地点の気候を表す値として用いられています。気象庁では、30年間の平均値をもって平年値とし、10年ごとに更新しています。これまで1981年~2010年の観測値による平年値を使用していましたが、今年は平年値を更新する年にあたり、1991年~2020年の観測値による新しい平年値を、5月19日より使用しています。

新平年値と以前の平年値を比較すると、年平均気温では、北日本と西日本で0.3度、東日本で0.4度、沖縄・奄美で0.2度高くなり、地点によっては0.5度高くなっています。盛岡では0.4度高くなりました。気象庁は「日本の平均気温は、長期的に見て、様々な時間スケールの変動を伴いながら上昇しており、1980年代後半から急速に気温が上昇しています。その背景には、温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化による長期的な昇温傾向と数十年周期の自然変動の影響があると考えられます。又、地点によっては都市化も影響していると考えられます」としています。降水量に関しては、春の西日本や夏の東日本太平洋側で5%程度少なくなりましたが、夏の西日本や秋と冬の太平洋側の多くの地点で10%程度多くなりました。盛岡の降水量は1%増加と、ほぼ変わりません。降雪量は多くの地点で少なくなっており、30%以上減る地点もありました。盛岡は23%減っています。この点について気象庁は「気温は上昇し、降水量は増加している地点が多いことと合わせて考えると気温が高くなったことで、降水があっても雪ではなく雨として降りやすくなったことが要因の一つとして考えられます」としています。

又、盛岡では最高気温が25度以上の夏日日数は7.8日増え78.6日、30度以上の真夏日は3.3日増え22.4日になりました。一方、最低気温が0度未満の冬日日数は1.7日減り121.6日に、最高気温が0度未満の真冬日日数は2.5日減り12.4日になりました。桜の開花日の新平年値は、3日早まり4月18日です。平均気温が上がってきていることから、夏場は熱中症に対してより警戒が必要と言えます。又平均降水量には表れていませんが、1時間降水量30ミリ以上、50ミリ以上の年間発生回数は岩手でも増えていることから、局地的な大雨にも備えが必要です。

630回「避難指示に一本化」2021年6月12日OA

2021年06月12日 6:00 PM

先月から変更された、災害時に自治体が発表する避難に関する情報についてです。大雨や台風の際、気象庁や自治体は避難を促す情報として、危険が迫っている度合いごとに5段階の警戒レベルを示しています。5に近づくほど危険が差し迫っているということです。そのうちの、警戒レベル3から5までの内容が5月20日から変わりました。これまでは、レベル3が「避難準備・高齢者等避難開始」、レベル4が「避難指示・避難勧告」、レベル5が「災害発生」という表現でした。しかしより分かりやすくするために、レベル3が「高齢者等避難」、レベル4が「避難指示」、レベル5が「緊急安全確保」と変更されました。

着目すべき点は、レベル4です。これまでは避難勧告と避難指示という2つの避難情報が混在していました。避難勧告は、発令された地域の全員に避難を促す為に、避難指示は、災害が発生する恐れが極めて高い場合に「重ねて」避難を促す為に発表されていました。しかし内閣府の資料によりますと、住民アンケートでは、避難勧告・指示両方の意味を正しく理解していたのは2割未満で、市町村向けアンケートでは、警戒レベル4に避難勧告・指示の両方が位置付けられ住民にわかりにくいとの回答が約7割に上りました。そこで避難勧告が廃止となり「避難指示」に一本化され「危険な場所からはとにかく逃げてください」となりました。

お住まいの市町村から警戒レベル4の避難指示や、警戒レベル3の高齢者等避難が発令された際は、水害や土砂災害の危険がある場所から速やかに避難してください。一方で多くの場合、土砂災害警戒情報、氾濫危険情報などの防災気象情報は、避難指示等よりも先に発表されます。警戒レベル4や3に相当する防災気象情報が発表された際には、避難指示等が発令されていなくても自ら避難の判断をして下さい。避難の際は、市町村が定めた避難場所へ向かうことにこだわらず、自宅が安全と判断できれば、自宅に留まる他、川や崖から少しでも離れた、近くの頑丈な建物の上層階に避難することも選択肢となります。又、新型コロナウイルスの感染リスクを避ける為、安全と考えられるなら知人の家やホテルへの避難も有効です。ただ、こうした選択が難しい場合は、できるだけマスクや体温計、消毒液などを持ち、ためらうことなく、市町村が定めた近くの避難場所に逃げてください。災害の危険が差し迫った場合には、感染リスクを避けることよりも、命を守ることを優先して下さい。

629回「永訣」2021年6月5日OA

2021年06月05日 6:00 PM

今日は新曜社「永訣 あの日のわたしへ手紙をつづる」を紹介します。東北学院大学震災の記録プロジェクトの三回目の企画で、10年前の自らに記した過去への手紙31編が綴られています。

宮城県丸森町(まるもりまち)出身で、県外の大学に進学した20歳の男性は、小学4年生の時、福島県相馬市で働いていた父親が津波で犠牲になりました。彼は3月11日の朝、父親に「朝ごはんの目玉焼き、今までで一番おいしかったよ。行ってきます」、この言葉が言えなかったことを後悔しています。「被災地は復興してきています」「傷が癒えてきています」という報道に違和感があり「自分がどれだけ復興できたか、どれだけ立ち直ることができたのかは他人が決めることではなく、自分自身で決めることだと思っています」と復興途上の気持ちを打ち明けます。そして「残された家族で幸せな家族を作っていくことを約束します」と締めくくっています。福島県浪江町(なみえまち)出身の23歳の女性は、津波で父親が行方不明になりました。年月が経つと、「本当になってほしくないから」「お父さんが帰ってこないことを」願うようになりました。そして「行方不明と言いたくない時」「離婚や単身赴任、静かな人で会話がない」など嘘をつくようになりました。「嘘をつく度に、お父さんにも友達にも本当に申し訳なくなりました。でも、それ以上に怖いんです。どんな雰囲気になるか、同情か父親の会話がしにくくなってしまうのではないか」と吐露します。結びに「今のあなたは本当に幸せ者です」「嘘をつく人にならないでください。後悔なく、一分一秒を生きてください」と優しく語りかけます。宮城県雄勝町(おがつちょう)、現在の石巻市出身の23歳の女性は、震災で母親を喪い(うしない)ました。彼女は、今回の手紙を書く数週間前に聞いた『この子たちには幸せになる権利がある』という言葉を紹介しています。「震災をハンデと捉えず誰よりも幸せになれとストレートに言ってくれているように感じました。13歳の私にも、23歳の私にも幸せになる権利はあります」「これから先の人生も全力で幸せでいましょう」と誓っています。

編者で、去年3月まで東北学院大学教養学部で教鞭を執り、現在、関西学院大学社会学部の金菱清(かねびしきよし)教授は、「災害の恐ろしさや爪痕の深さを一番よく知っているはずの被災者・当事者が、それを知らない当の本人に対して直接伝えることの難しさ」を指摘しています。31編の手紙は、10年の歳月と向き合う中から、災害の教訓とは何かをも伝えています。

628回「津波避難 3つのS」2021年5月29日OA

2021年05月29日 6:00 PM

今日は、永野海(かい)さん著「みんなの津波避難22のルール 3つのSで生き残れ!」(合同出版)を取り上げます。東日本大震災の被災者支援をしている弁護士・防災士の永野さんが、津波から命を守る為に「これだけは知ってほしい!」ことをまとめたものです。マンガや写真が多く、漢字にはルビを振っていて、親子で防災について学べる本になっています。

さてタイトルにある「3つのS」とは「SWITCH(スイッチ)」「SAFE(セーフ)」「SAVE(セーブ)」の頭文字のことで、永野さんが東日本大震災を教訓に、津波の避難行動を分類したものです。スイッチとは「津波から逃げるスイッチ」。宮城県石巻市の大川小学校では、北上川を遡上してきた東日本大震災の津波に襲われ、多くの児童・教職員が犠牲になりました。大川小学校事故検証委員会がまとめた報告書では、事故の直接的な要因の一つに避難開始の意思決定=スイッチが遅かったことを挙げています。セーフとは「安全な避難場所とルート」。釜石市の鵜住居防災センターは、東日本大震災の津波に襲われ、避難した多くの住民が亡くなりました。釜石市がまとめた報告書によりますと、鵜住居防災センターは本来、津波の避難場所ではなかったにも関わらず、避難訓練の際に使用され、又、市は防災センターを「避難訓練のみのための避難場所」として容認し、危機管理体制の見直しを行っていませんでした。住民は、高台にある本来の津波避難場所=安全な避難場所を理解していなかったのです。セーブとは「最後までいのちを守り抜くこと」。私は震災後、取材で山田町を訪れました。そこで津波で命を落とした理由の一つに、高台に避難したものの、貴重品を取りに自宅に戻ったから、と聞きました。津波の危険がある場合、安全な場所を離れてはいけないのです。この本では、津波避難22のルールを3つのSに区分し、3つのSのどれかが欠けると被災すると警鐘を鳴らします。

永野さんはリスナーに『取材を重ね、津波訴訟なども分析し、東北での津波の教訓をまとめさせていただきました。津波避難のルールを、30年後も100年後も1000年後もしっかりと継承し、未来の命を津波から守ってほしいです』と訴えています。

 

627回「八幡平ドラゴンアイ」2021年5月22日OA

2021年05月22日 6:00 PM

岩手から秋田にまたがる国立公園、八幡平の頂上付近にある「ドラゴンアイ」についてです。鏡沼に降り積もった雪が春になって周辺と中心部が雪解けすることでドーナツ状になる現象です。八幡平市観光協会によりますと、2016年に台湾から訪れた旅行者がSNSで、まるで龍の眼のように見えることから「ドラゴンアイ」とつぶやき、一気に有名になりました。5月中旬から6月中旬の限られた時期に、積雪量や雪解け、天候の状況などの条件が揃うと姿を現す自然現象です。

ドラゴンアイの研究者、盛岡一高で地学を教えている山岸千人(ちひと)先生にお聞きしました。山岸先生は、岩手県立博物館に勤めていた頃、一般の方から「どうして目玉ができるのか」という問い合わせがあり調べ始めました。「鏡沼は直径約60m、円に近い丸い形をしています。沼には氷が張り、積雪が少なくとも4~5m乗っています。雪プラス氷の蓋があるような状態です。更に窪地で、吹き溜まりになっている西側の縁の一番厚い所で10mを超えている所もあるはずです。冬になると川が凍り、水が流れ込まなくなり、水位が下がります。春になると川から水が流れ込み、水位が上昇します。雪プラス氷の蓋は浮力が働き、全体が盛り上がろうとします。しかし縁の雪は厚く重さがあるので盛り上がりが抑えられ、真ん中が丘のように盛り上がっていきます。盛り上がった所は解けて、薄くなっていきます。中央部の厚さが最後の数十センチになると自分の重さで凹み、水が満たされるようになり開眼の始まりです」ということです。盛り上がった周囲が沼の水で青く彩られる点については「水が溜まり始めた頃は水の中のゴミが混ざり黒く濁っていますが、時間が経つとゴミが沈殿し、キレイになります。キレイになると、ブルーが見えてくるようになります」ということです。太陽の光の内、水の分子は赤い光を吸収する一方、青や緑の光は散乱するという「海が青く見えるのと同じ原理」と解説します。隣にあるメガネ沼の水がエメラルドグリーンなのが不思議ですが、これは「温泉水の影響ではないか」ということです。又、頂上には大小10以上の沼がある中で、鏡沼だけドラゴンアイができる理由について「形が円に近いので、力が分散されるのでは」と分析します。

ドラゴンアイの最新の情報は、八幡平市観光協会のホームページで御覧になれます。今年の見ごろは5月下旬から6月上旬になりそうです。八幡平山頂駐車場から15分程、標高1590mの雪道を歩きますので、見に行く方は長靴など準備された方が良いでしょう。

626回「熱中症警戒アラート」2021年5月15日OA

2021年05月15日 6:00 PM

今日は「熱中症警戒アラート」についてです。気象庁によりますと、熱中症とは、暑い環境で体温の調整ができなくなった状態で、めまいや吐き気、頭痛、失神等の様々な症状をきたし、最悪な場合は死に至る疾患です。誰でもなる可能性があり、運動中だけではなく、室内でも起こります。総務庁消防庁によりますと、去年6月から9月に県内では熱中症により597人が救急搬送されました。その内67%の400人が65歳以上の高齢者で、搬送された人の半数296人は、敷地内を含む住居で発生しました。

気象庁と環境省は、熱中症のリスクが特に高まった際に注意を促す「熱中症警戒アラート」の全国での運用を、先月28日から開始しました。運用は10月27日までです。アラートとは「警報」という意味で、こまめな水分補給を呼びかけるなど熱中症の予防につなげます。予想最高気温がおおむね35度以上になる場合に発表していた「高温注意情報」は廃止します。熱中症警戒アラートは気温や湿度、日差しなど輻射熱から算出した「暑さ指数」を活用し、重症者や死者が特に増える傾向にある指数33以上になると想定した場合、前の日の午後5時と当日の午前5時に、都道府県ごとに発表します。情報はラジオやテレビ、自治体の防災無線などを通じて伝えます。

アラートが出された場合、大きく4つの行動を心がけましょう。1つ目は「外出はできるだけ控え、暑さを避けましょう」。熱中症を予防する為には、暑さを避けることが最も重要です。昼夜を問わずエアコン等を使用して部屋の温度を調整しましょう。又、不要不急の外出は避けましょう。2つ目は「熱中症のリスクの高い方に声をかけましょう」。熱中症になりやすい高齢者、子ども、持病のある方、肥満の方、障がい者には、身近な方から、エアコンの使用やこまめな水分補給を行うよう声をかけましょう。3つ目は「普段以上に熱中症予防行動を実践しましょう」。1日あたり1.2リットルを目安に、のどが渇く前にこまめに水分を補給しましょう。屋外で人と2メートル以上の十分な距離が確保できる場合は、適宜マスクを外しましょう。4つ目は「屋外や、エアコン等が設置されていない屋内での運動は、原則、中止又は延期しましょう」。

649回「首都圏直下地震 震度5強」2021年10月23日OA

2021年10月23日 6:00 PM

7日(木)午後10時41分頃、千葉県北西部を震源とする地震があり、東京都足立区と埼玉県南部で震度5強を観測しました。気象庁によりますと、東京23区で震度5強以上を観測するのは、2011年3月11日の東日本大震災以来です。この地震による津波はありませんでした。震源地は千葉県北西部で、震源の深さは75キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5.9と推定されています。消防庁の集計によりますと8日現在、千葉県、神奈川県でそれぞれ14人など、合わせて43人がけがをしました。東京都交通局によりますと、足立区にある、新交通システム「日暮里・舎人(とねり)ライナー」の舎人公園駅近くでは、走行していた一部の車両が脱線し、乗客3人が転ぶなどしてけがをしました。鉄道の運転見合わせが相次ぎ、帰宅できない人が続出した他、一夜明けた運転再開後も大幅な遅れが出ました。千葉県北西部、東京都23区では、長周期地震動階級2を観測しました。高層ビル高層階等では、物につかまらないと歩くことが難しい、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがあるなどの大きな揺れになった可能性があります。
気象庁は記者会見で、プレート境界で発生した地震だとし、内閣府が想定する首都直下地震に比べると「規模は小さい」という見解を示しました。首都直下地震が起きた場合、どんな被害が想定されているのでしょうか。令和元年に修正された東京都の地域防災計画では、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の地震が起きた場合、大田区や品川区の一部などに、最大震度7の地域が出ると共に、墨田区、江東区、台東区、千代田区など、東京湾沿いで震度6強の地域が広範囲に発生するとみています。この揺れにより、木造住宅密集地域を中心に建物が倒壊したり火災が発生したりして、大田区約1000人、品川区約800人など、都全体で最大約9700人が犠牲になる恐れがあるとしています。又、建物全壊などによるけが人は大田区、千代田区、江東区でそれぞれ約1万人など、都全体で約14万7600人です。帰宅困難者は千代田区で約160万人、港区で約150万など、都全体で約517万人に上る見込みです。
東京都は、死者、避難者、建築物被害を減らす為、各区と連携しながら、延焼を遮断する道路整備や、老朽建物の除却・建替え等の助成に取り組み「燃えない・燃え広がらないまちづくり」を進めています。

648回「青森で震度5強」2021年10月16日OA

2021年10月16日 6:00 PM

震度5強の地震が続いています。6日(水)午前2時46分頃、岩手県沖を震源とする地震があり、青森県で震度5強、盛岡市では震度5弱を観測しました。又7日(木)午後10時41分頃、千葉県北西部を震源とする地震があり、東京都足立区と埼玉県南部で震度5強を観測しました。どちらの地震でも津波はありませんでした。今日はこの内、6日未明の岩手県沖を震源とする地震についてです。私は自宅の2階で就寝中でした。突き上げる揺れの後、スマートフォンから緊急地震速報のアラームが鳴り響き、大きな横揺れが20-30秒ほど続きました。その10分後、車で出社。雨の降る中、信号や街灯は点いていて、停電している様子はありませんでした。

青森県階上町で最大震度5強、岩手県内は盛岡市渋民で震度5弱を観測しました。県内で震度5弱は、5月1日、釜石市と一関市で震度5弱を観測して以来です。気象庁によりますと震源は岩手県沖で、震源の深さは56キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5.9でした。今回の震源周辺では、マグニチュード7.9程度の更に大きい地震が想定されいて、注意が必要です。震度4を観測した岩手町では国道4号の沼宮内南口交差点にある信号機の柱が折れ、道路の一部を塞ぎました。このエリアの地盤の強さについて調べてみました。ジャパンホームシールドが、地盤調査のデータや産業技術総合研究所など公的機関が提供しているデータを元に運営している「地盤サポートマップ」の地形の判定では「揺れにくい」地盤でした。コンクリート製の柱は国の指針で耐用年数が42年と規定されていますが、倒れた柱は1974年の製造で、47年が経過していました。県警交通規制課によりますと、年に1回の目視による点検では異常は見つかっておらず、再発防止に取り組むとしています。

この地震で岩手町土川の80歳の女性が就寝中、落下してきたテレビで右のまぶたにけがをしました。青森県東北町の70代女性は、就寝中、地震に気付きベッドから起き上がろうとした際に転落して打撲。八戸市の60代女性は揺れの中、タンスを押さえて肩をけがしました。倒れてくるような物の傍で寝るのは危険です。大きな地震が起きた時でも、安全が確保できるように寝室を点検しましょう。

647回「十和田火山」2021年10月9日OA

2021年10月09日 6:00 PM

今日は青森県と秋田県にまたがる十和田湖についてです。火山活動によりできた、すり鉢状のくぼ地=カルデラに水がたまった湖です。青森県の観光情報サイトによりますと、海抜400m、周囲は約46キロ、湖は最も深い所で326.8mと、面積では日本で12位、深さは日本で3位です。

十和田は活火山です。気象庁では国内に50ある「常時観測火山」の一つとして、24時間体制で観測・監視を行っています。青森県や秋田県などが発行したハザードマップによりますと、約20万年前から噴火を繰り返し、1万5000年前の巨大噴火によって、現在見られる十和田カルデラの原形が形成されました。この噴火では、青森・秋田・岩手3県の広い範囲を高温の火砕流が襲い、一帯は見渡す限り土砂で埋まり荒野になったと考えられています。このような巨大噴火は、日本全体で1万年に一度ほど起きていて、大量のマグマが噴き出すことでカルデラができます。北海道の洞爺カルデラや、九州の阿蘇カルデラなどが有名です。最も新しい噴火は、今から約1100年前、平安時代の西暦915年に起きました。日本の歴史上、最大の噴火です。噴煙が高く上がり、軽石が広い範囲に降り積もった他、火砕流が約20キロ離れた場所まで達しました。この噴火で起きた「毛馬内(けまない)火砕流」は、十和田火山周辺を高温で流下した他、その後に発生した火山泥流が大湯川・米代川で大洪水を引き起こして沿岸の人家が埋没しました。日本の歴史上最大の噴火というと、富士山の方が大きいのかと思ってしまいますが、西暦1707年、富士山最大の宝永噴火の総噴出量は7億立方メートルでした。十和田火山の平安時代の噴火は21億立方メートルと、その3倍でした。

さて6200年前の縄文時代にも爆発的噴火がありましたが、同規模の噴火が起きた場合、噴煙から降ってくる火山灰や軽石などが、どれぐらいの範囲まで達するか想定されています。そのシミュレーションによると、上空では1年を通じて西からの風が多く、岩手県内では北部を中心に30センチ前後、積もる可能性があります。過去約1万1000年の間に、少なくとも8回の爆発的噴火があった十和田。今は静かに見えますが、将来必ず噴火します。十和田の噴火と言っても実感が湧きませんが、まずは活火山であることは覚えておいた方が良いでしょう。

 

646回「津波てんでんこ」2021年10月2日OA

2021年10月02日 6:00 PM

地震発生時のアナウンスについて、盛岡の匿名さんからIBCにメールを頂きました。ありがとうございます。一部抜粋しますと「私は10年前の3.11の時に釜石市に仕事で行っており、津波で被災した場所で仕事をしており、当日地震後に業務を終えて内陸遠野に移動しておりました。そこでお伺いします。緊急地震速報が出され三陸沖で地震が発生した場合、IBC岩手放送では『皆さんに声を掛け合って避難してください』ですか『てんでんこで避難してください』とアナウンスされますか。『命てんでんこ』なら、『自分の命は、何としてでも自分で守れ』。こうした言葉が受け継がれてきた背景には、過去の地震・津波の際に、家族や知人を助けに行ったことで避難が遅れ、多くの死傷者が生まれた言葉ではなかったんですかね」。

「てんでんこ」は「津波てんでんこ」や「命てんでんこ」とも言いますが、受け継がれてきた背景は御指摘の通りです。津波の常襲地帯である三陸地方に伝わってきたとされ、特に震災以降、高い所への避難を一言で要約する用語として、多くの人に知られるようになりました。その意味は「津波が来たら、各自てんでんばらばらに高台に逃げろ」「自分の命は自分で守れ」という防災上の教訓です。ただこれだけ聞くと、自分が助かれば他人はどうなってもよい、とする利己主義に思われるかもしれませんが、それは違います。本来、家族や地域であらかじめ互いの行動をきちんと話し合っておくことで、離れ離れになった家族を探したり、判断に迷い逃げ遅れたりすることを防いで、皆が結果的に助かることを意図していると思われます。又、平時に、支援が必要な高齢者や障害のある方などの避難方法を共有することで、「津波てんでんこ」が有効に機能すると思われます。

さてIBCでは、緊急放送マニュアルを作成しています。大津波警報や津波警報が出された場合は、「家族や周りの人に避難を呼びかけながら、あなたが率先して避難してください」とコメントすることにしています。「てんでんこ」という言葉は使っておりませんが、いざという時には率先避難者になるという「津波てんでんこ」の教えをベースにした呼びかけ、と考えています。

645回「キキクル ОN ハザードマップ」2021年9月25日OA

2021年09月25日 6:00 PM

IBCが提供するスマートフォン向け「IBCつながるアプリ」に、今月、新機能「キキクル ON ハザードマップ」が搭載されました。IBCと防災情報提供会社のゲヒルンが共同で開発したものです。キキクルとは、気象庁が発表する、大雨による災害発生の危険度の高まりを地図上で確認できる危険度分布の愛称です。地図上に危険度を5段階に分け表示して伝えます。今回IBCアプリでは、県内の洪水や土砂災害のハザードマップの上に、このキキクルの情報を重ねて表示するものです。これまでは、ハザードマップとキキクルの情報を別々に確認する必要がありました。しかしこの新機能により、大雨などの災害が迫った際に、自分がいる場所のハザードマップと、リアルタイム情報としての危険度分布を同時に見比べることができ、自分が置かれた状況を客観的に把握して、避難の判断などに役立てることができます。尚、県内の洪水と土砂災害のハザードマップは、岩手県から提供された今年9月現在の最新のものを表示。雨が降っていなくても身近な場所のハザードマップとして、いつでも確認することができます。

この新機能について滝沢市のオルガンさんからメールを頂きました。「IBCアプリにキキクルが追加されたと聞いたので見てみたら、何と自分の家の周りの地図上に雨や洪水などの情報が載って見られるので驚きました!雨雲レーダーで現在地まで表示できるサイトはありますが、まさに自分の家の所がはっきりわかるのでいいですね。キキクルを活用するような天気にならないほうがいいですが、いざという時のために安心です」。ありがとうございます。

私もこの新機能を実際に使ってみました。県内は低気圧の通過により17日夜から18日にかけ沿岸南部で大雨となり、大船渡では降り始めから200ミリ近い雨量を記録、午後は一時、土砂災害警戒情報が出されました。夕方「キキクル ОN ハザードマップ」の内、右上の「土砂」というキキクル=危険度分布を開いてみると、大船渡の市街地が赤色の「警戒」に覆われ、国道45号沿い西側の土石流危険区域と重ねて表示されました。特にどのエリアで警戒が必要か、一目で分かりました。この機能は「IBCつながるアプリ」をダウンロードするか、既にダウンロードしている場合はバージョンアップすることで御利用になれます。

644回「温暖化の最新知見」2021年9月18日OA

2021年09月18日 7:00 PM

今日は、気候変動に関する最新レポートについてです。IPCC=気候変動に関する政府間パネルは、世界気象機関と国連環境計画により1988年に設立された政府組織で、現在195の国と地域が参加しています。IPCCの目的は、各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎資料を提供することです。世界中の科学者の協力の下、科学誌に掲載された論文などに基づいて定期的に報告書を作成し、気候変動に関する最新の科学的知見を評価しています。

先月、IPCCは8年ぶりにまとめた報告書を公開しました。今回のポイントは「地球温暖化の原因は人間の活動によるものだ」と断定したことです。そもそも気候変動の要因には「自然」の要因と「人為的」な要因があります。自然要因とは、火山噴火や太陽活動の変化など、人間の影響なしに発生するものです。一方、人為的要因には人間活動に伴う二酸化炭素などの温室効果ガスの増加、森林破壊などがあります。これまではあくまで人間の活動による影響が強いという表現でしたが、今回は「人間の影響は疑う余地がない」と強い言葉で表現されています。また報告書によると、少なくとも過去2000年間で前例のない速度で気温は上昇しており、2011年から2020年の世界平均気温は、産業革命前よりも1.09℃高かった、としています。前回、報告された期間平均の上昇量0.78℃から更に上がっています。パリ協定では「産業革命前より気温の上昇幅を1.5℃以内に抑える」ことを一つの目標に掲げていますが、今回の報告書では2021年から2040年に1.5℃に達する可能性が非常に高いと指摘しています。平均気温が1.5℃まで上昇すると例えば50年に1度起こるような極端な高温が、今と比べて約2倍、2℃上昇すると約3倍になると予想しています。また、今よりも地球上の水の循環が活発化して、地域によっては大雨と洪水が増えることが懸念されます。

温暖化を緩やかにする為、私達ができることは何でしょう。日々の生活を支える電気やガス、ガソリンを作ったり、機械や乗り物を動かしたりする為には、石油や石炭、天然ガスを大量に燃やします。これらの資源を燃やす際に、二酸化炭素など温室効果ガスが発生します。この温室効果ガスを減らすことが、温暖化対策になります。つまり1人1人ができることは「省エネ」なのです。

643回「時間経過を表す用語」2021年9月11日OA

2021年09月11日 7:00 PM

ラジオをお聞きの方から、天気予報で使われる用語について質問を頂きました。ありがとうございます。「ラジオなどで天気予報を聞いていると、『晴れ、昼過ぎからくもり』或いは『晴れ、夕方からくもり』と、ある時間帯から天気を予想するものがあります。それに対して『晴れ、のちくもり』ということがあります。その場合、いつから『くもり』と考えた方が良いのでしょうか」

結論から言いますと、「から」という用語、気象庁では、具体的な時間帯を指していません。予報期間内の前と後で現象が異なる際、その変化を示す時に使っています。例えば、明日の天気について「晴れ、のちくもり」といった場合は、全体的な傾向として、明日の前半は「晴れ」、後半は「くもり」という予報です。又、一方で可能な限り「のち」という用語は使わないようにしていて、「晴れ、のちくもり」は、「晴れ、昼過ぎからくもり」などと、具体的な時間帯を示すように努めています。ただ例外もあり、時間帯を示す用語が2つになる場合は、一方に「のち」を用い、時間指定は降水現象を優先しています。例えば「晴れ、昼過ぎからくもり、夕方から雨」という予報の場合です。「昼過ぎから」と「夕方から」という時間帯を示す用語が2つになります。この場合、時間指定は「夕方から雨」が優先されます。つまり「晴れ、のちくもり、夕方から雨」となるわけです。

予報用語でよく質問されるのは「一時」と「時々」の違いです。例えば雨の場合、降り方や、予報期間中の降っている時間の割合、降り方の傾向によって予報表現が決まっています。例えば明日の予報の場合、日付が変わり午前0時から24時間が一日の予報時間になります。朝6時に降り出し、昼までには止み、その後は降らない、と予想したとします。この場合、連続して降る雨は6時間未満なので「一時雨」という表現になります。一方、一旦雨が止んでもまた降り出し、合計して6時間以上12時間未満になると予想した場合は「時々雨」という表現になります。「時々雨」の予報の際は、雨が上がっても油断できません。24時間の内、12時間以上、降る予想では「雨」という予報になります。

 

642回「治水地形分類図」2021年9月4日OA

2021年09月04日 6:00 PM

国土地理院は、治水対策を進めることを目的に「治水地形分類図」を作成し、ホームページで公開しています。国・都道府県が管理する河川の流域の内、岩手では盛岡から一関にかけての北上川流域の平野部が対象です。詳細な地形分類により、その成り立ちを理解でき、起こり得る水害や地震災害などに対するリスクを推定できます。地理院地図トップページから「土地の成り立ち・土地利用」「治水地形分類図」をクリックすると、洪水になりやすい低い土地の地形がカラーで表示されます。

その内、過去の洪水によって作られた平野を「氾濫平野」と言い、薄緑で表しています。平野の多くは上流・中流から運ばれてきた土砂が溜まってできた地形です。何度も洪水が繰り返され、その度に土砂などが堆積した為、現在の平らな土地ができました。かつて氾濫平野は主に農地として利用されてきましたが、人口増加に伴い宅地や工場が拡大し、市街地になってきました。このような場所では、堤防が決壊しやすく、豪雨時の洪水による住宅の冠水が心配されます。

水田地帯が広がる氾濫平野では、カーブを描くようにして作られている水田を目にすることがあります。これは昔の川の流れた跡「旧河道(きゅうかどう)」という地形で、治水地形分類図では青い横縞模様で表しています。川は平地に出ると流れが遅くなり運搬能力が弱まり、土砂を川の底に堆積させていきます。土砂がたまると、川はそこを避けて流れるようになり、また次の場所で土砂の堆積が始まります。これが徐々に繰り返された結果、蛇行する川の形が出来上がるといわれています。洪水が発生すると、溢れた水は蛇行したカーブの部分をショートカットして、下流側へまっすぐ流れ込みます。やがて川は、洪水でできた道を流れるようになり、元々、川が流れていたカーブの部分が切り離されます。こうしてできたのが旧河道です。一方で洪水を避ける為、水路や堤防などを築いて人工的に川の流れを変えた結果、旧河道ができることもあります。旧河道は、周囲の氾濫平野より1m~2m低い為、地表水が集まりやすくなります。わずかな雨でも浸水しやすい為、浸水の深さ・時間とも大きくなります。また砂の層でできている軟弱地盤が多く、地震の揺れによる液状化などの被害に注意が必要です。

641回「イラストで学ぶ水害」2021年8月28日OA

2021年08月28日 6:00 PM

国土地理院は、過去に国内85か所で起きた水害を取り上げ、災害をもたらした要因や地形との関係を解説した「イラストで学ぶ過去の災害と地形」を作成し、ホームページで公開しています。過去の災害と地形を比較することで災害の危険性を直感的に学び、類似する地形の危険性を把握することが目的です。資料は1か所の水害について、「直感で把握」と題し浸水範囲や標高を示したカラーの図解と共に、地域で発生した水害について取り上げ、又、更に詳しく「土地の成り立ち」について3次元画像を用い、その特徴を説明している項目もあります。

岩手県では、4つのエリアについて解説しています。1つ目は「小本川下流域岩泉町周辺」です。2016年8月の台風10号に伴う大雨の影響で、岩泉町では浸水が発生し、甚大な被害が生じました。地形を見ると、狭い谷のような平地の中を川が流れています。山地の間を流れる川は、谷の幅が狭く雨水が集まりやすいので、急に増水することがあります。又、山地に接する平地は幅が狭いので、氾濫すると深く浸水する恐れがあるのです。2つ目は「久慈川久慈市街周辺」です。こちらも同じく2016年8月の台風10号に伴う大雨の影響で、久慈市内が浸水し、甚大な被害が生じました。地形を見ると、下流部の平地で、川の合流地点が多く見られます。川が合流する場所は、水の流れが悪くなって増水しやすくなります。そして川が曲がる部分は、堤防を壊す力も強くなる為、増水時は危険です。3つ目は「北上川一関市川崎地区」です。一関市川崎町は、北上川と支流の砂鉄川、千厩川に囲まれており、北上川の水位上昇により度々、被害を被ってきました。特に1947年のカスリーン台風と、翌年のアイオン台風では、連続して大水害に見舞われ、家屋、道路、農作物などが未曽有の大被害を受けました。こちらは3次元の地図で見ると、平野よりも更に標高が低い所が多く、特に注意が必要なことが分かります。4つ目は「北上川一関市周辺」です。こちらもカスリーン台風、アイオン台風という2年連続の台風で大水害に見舞われました。地図で見ると、川が合流し東の山地の谷に流れていくのが分かります。山地から流れ出る川は、急な増水や土石流の恐れがあるのです。

近年、多発する豪雨。事前にその土地のリスクを知ることで、もしもの時の行動が変わります。このホームページは「イラストで学ぶ過去の災害と地形」で検索すると御覧になれます。

640回「車での避難」2021年8月21日OA

2021年08月21日 6:00 PM

東日本大震災が発生した際、東京では、皆が車で早く家に帰ろうとした結果、大渋滞が発生しました。発災から3時間後には、渋滞が通常時の約5倍に。又1キロをクルマで走行するのに約2時間かかり、大切な命を救う為の緊急車両が通れなくなってしまったのです。あれから10年。東京都では震度6弱以上が発生した場合、環状7号線から都心方向への車両の通行が禁止となるなど、大規模な交通規制が実施されます。警視庁では「車には乗らない」「乗っていたら駐車場など道路外に移動」を呼びかけています。

大規模災害発生時の渋滞は、東京だけの話でしょうか。TBC東北放送が取材した宮城県の例です。今年3月20日、宮城県内で最大震度5強を観測する地震が起き、沿岸部には4年4か月ぶりに津波注意報が出されました。この時、ある課題が浮き彫りになりました。多くの人が車で避難した為、各地で渋滞が起きたのです。震災の時にも同じことが起こっていました。石巻市で実施した市民アンケートでは、震災の際、約27%の人が「自動車で逃げた」と回答しています。渋滞が起きたことで、車で逃げざるを得ない人の命も失われました。東松島市の老人ホームの臨時職員男性は、地震が起きてすぐ、寝たきりの利用者4人を車に乗せました。しかし避難の途中で渋滞に巻き込まれ、車ごと津波に流されました。男性は助かりましたが、一緒に乗っていた利用者4人は亡くなりました。こうした教訓から沿岸部の自治体の多くは原則「徒歩」で避難するよう呼びかけています。津波避難タワーや津波避難ビルを整備している自治体もあります。一方、亘理町の地形は高台や高層建物がない平野です。その為、多くの住民が希望する、車を使った避難訓練を実施しています。亘理町に住む男性は、混雑が予想される県道を避け、信号が少ないルートを使うことにしています。

岩手県の地域防災計画では、避難手段は原則として「徒歩」としながらも「避難所までの距離や避難行動要支援者の存在など地域の実情に応じ、やむを得ず自動車により避難せざるを得ない場合においては、避難者が自動車で安全かつ確実に避難するための方策をあらかじめ検討する」としています。歩いて避難できる場所もあれば、車でしか逃げられないような場所もあります。又、支援が必要な人は、車を使うことでスムーズに安全な場所に逃げることができます。地震や津波の際、命を守る為、どこにどうやって避難するのか、日頃から想定しておくことが重要です。

 

639回「気象病・天気痛」2021年8月14日OA

2021年08月14日 6:00 PM

「気象病」という言葉をお聞きになったことがありますでしょうか。国語辞典にも載っていて、広辞苑第七版によりますと、『気象の変化と関係があると考えられる種々の病症の総称。特にフェーン現象・前線・気温などとの関わりが深い。喘息・頭痛・神経痛・リウマチ』などとあります。

天気が悪くなると痛みが悪化したり、寒暖差により不調になったりすることを「天気痛」と名付け、日本初の気象病外来・天気痛外来を立ち上げた医師が、中部大学・生命健康科学部理学療法学科の佐藤純(じゅん)教授です。佐藤教授の著書「天気痛を治せば 頭痛、めまい、ストレスがなくなる!」(扶桑社)には、天気痛対策として、自分の体のリズムをつかむ為の日記の他、市販の酔い止めの薬を勧めています。乗り物酔いをした時の、気持ちが悪くなる、吐き気、頭痛、眠気などの症状は、天気痛そのもので、原因が耳の最も奥にある内耳の急激な揺れから来ているところも同じ、とのことです。その他、手軽に効果が期待できるのが「耳の後ろにあるツボ押し」や「耳の血流マッサージ」です。マッサージは、耳を真ん中から、縦に2つに折り曲げます。力を込め過ぎず優しく行い、更に耳全体をマッサージすることも勧めています。目的は血流の促進で、耳の周りの血流が悪いと内耳の中にあるリンパ液も一緒に滞り、めまいや頭痛などの症状を引き起こすと考えられるから、ということです。

中部大学のHPによりますと、佐藤教授は、愛知医科大学・医学部と日本獣医生命科学大学・獣医学部との共同研究により、マウスにも、内耳の前庭(ぜんてい)と呼ばれる器官に気圧の変化を感じる場所があることを、世界で初めて突き止めました。今回の研究成果から『私たち人間においても天気の崩れによって前庭器官が気圧の微妙な変化を感じとり、脳にその情報が伝わり、結果として古傷や持病の痛みを呼び覚ましたり、めまいや気分の落ち込みといった不調を起こしたりするものと考えられます』『今後も研究を続け、どのようなメカニズムで前庭器官が気圧の変化を感じ取るのかを明らかにしていきます。また、このメカニズムを明らかにすることで、気象病や天気痛の有効な治療法の確立に繋げていきます』としています。

 

638回「荒井郁之助」2021年8月7日OA

2021年08月07日 6:00 PM

岩手出身の作家・平谷美樹(ひらやよしき)さんが著した「鍬ヶ崎心中 幕末宮古湾海戦異聞」(小学館)を拝読しました。幕末から明治へと移り変わる動乱期の史実である宮古湾海戦が、無名の男女の物語を通してリアルに想像でき、胸が熱くなりました。

宮古湾海戦は、明治2年3月25日、旧幕府軍残存艦隊の内の「回天」が、新政府軍艦隊の集結する宮古湾へ攻め込んだ奇襲戦のことです。宮古市の資料によりますと、旧幕府軍は荒井郁之助を総司令官に、回天一隻で宮古港に停泊する新政府軍の軍艦「甲鉄」奪取を決行。回天の船首が甲鉄の脇腹に乗り上げ、兵士が甲鉄の甲板に飛び降りて戦いますが、甲鉄側も猛反撃を開始。速射砲が火を吹き、旧幕府軍の兵士は次々と倒れ、わずか30分あまりの戦いで多数の死傷者を出し作戦は失敗に終わり、退却します。江戸を離れ、遠く蝦夷の地に独立国を建設しようとした旧幕臣達の夢物語は、宮古の海に砕け散ったのでした。

さて旧幕府軍の総司令官・荒井郁之助は、日本の気象事業の始まりを支えた1人でした。原田朗(あきら)著「荒井郁之助」(吉川弘文館)によりますと、1836年(天保七年)に旗本の家に生まれた荒井は、軍艦操練所で近代的な艦船の運用の他、地政学、天文学、高等数学などを学び、幕府の命を受けて江戸湾の測量を行いました。小笠原諸島の測量では、海図も天気図も無い危険な航海で暴風雨に遭い、この経験が後の気象事業に生かされることになったと思われます。戊辰戦争の際は、軍艦頭として開陽・回天などの幕府の艦隊を率いて、新政府の許可無く江戸湾を脱走し蝦夷に向かいました。その後宮古湾において新政府軍と戦い、或いは榎本武揚とともに箱館五稜郭に奮戦しますが、敗れて獄に下ります。2年半後、西欧の科学技術に詳しいことから出獄を許され新政府に受け入れられます。内務省地理局では、一大三角測量の実施、1mを3尺3寸とするメートル法の導入、日本の経度基準点の決定、日本標準時の制定など、今日の地球物理学の礎を築く多くの重要な仕事を行っています。明治20年には新潟で、日本初の本格的な皆既日食の観測に成功。その後は地理局において測候所の全国整備を行い、明治23年、気象庁の前身である中央気象台が設置されると、その初代台長に就きました。荒井郁之助は、幕末から明治の激動期、時代に翻弄されながらも自然科学の分野で確固とした仕事を残したのでした。

 

637回「雷が鳴ったら」2021年7月31日OA

2021年07月31日 6:00 PM

「平泉ぬ生息すてにゃぁ✕2のおんちゃん」から川柳のお便りを頂きました。ありがとうございます。「ゴロゴロづぅ おりゃ様聞けで ヘソ隠す。午後ぬ、なるっつぅど、おりゃ様雲が湧いで来て、ゴロゴロど、おりゃ様、聞けで来るゲット、おりゃ様ば聞くど、『こりゃ、おりゃ様鳴って来たがら、ヘソ隠すんだじゃ』って語りながら、おらんどごさ来たった、ばぁちゃんが、ほのあだりがら出はって来るような気ぃしすや」

「おりゃさま」とは「らいさま」「おらいさま」とも言い、雷のことです。雷は夏・冬問わず発生しますが、気象庁が雷を観測した月別の日数を見ると、8月が盛岡3.3日、宮古が2.5日と、1年の中で一番多くなっています。岩手の夏は雷の季節といえます。夏は、日中の強い日射によって暖められた地面付近の空気が上昇し、背の高い積乱雲となって雷を発生させます。夏の雷は、広範囲に発生し長時間継続する特徴があります。そして午後から夕方がピークになります。『こりゃ、おりゃ様鳴って来たがら、ヘソ隠すんだじゃ』、つまり『雷が鳴ってきたから、おなかを隠しなさい』というのは、夏場の気象変化に対する言い伝えと考えられます。雷が発生するような時は、同時にザーッと激しい雨の降ることがあります。雷雨になる前までは暑かったのに、急に気温が下がることがあり、おなかを冷やさないように、という昔の人の知恵なのでしょう。尚、同じ雷でも日本海側の秋田市では、月別で11月5.6日、12月4.8日と、冬にかけて多くなっています。この時期に日本海側で多く発生する雷は、大陸から吹き出してきた寒気が日本海で暖められて発生する積乱雲によるものです。

さて岩波書店、青木孝著「いのちを守る気象学」では、雷から身を守る為に覚えておいた方が良い「30~30」という数字を挙げています。はじめの「30」は、電光が見えてから雷鳴が聞こえるまでの時間「30秒」です。音の進む速さを毎秒350mとすると、30秒なら10.5キロです。雷雲が約10キロ先にあることになります。電光が見えてから雷鳴が聞こえるまでの時間が30秒以内になったら、雷雲が近づいていると考えられます。建物や車の中に避難するなど、安全確保に努めましょう。次の「30」は、その後、電光や雷鳴がおさまってからの時間「30分」です。30分を経過したら安全とみてよいでしょう。

 

636回「土砂災害の前兆2」2021年7月24日OA

2021年07月24日 6:00 PM

前回に続き、土砂災害の前兆現象についてです。土砂災害の危険箇所は、大きく3つに分類されます。土石流発生の恐れがある「土石流危険渓流」、がけ崩れ発生の恐れがある「急傾斜地崩壊危険箇所」、地すべり発生の恐れがある「地すべり危険箇所」です。

国土交通省では、過去に発生した土砂災害について、住民がどのような前兆現象を確認しているか分析しています。その資料によりますと、災害が起こる2時間以上前は「河川水位の上昇」「渓流内で石が転がる音」「流水の濁り」「流木・倒木の発生」「小石がパラパラ落ちる」「斜面の湧水、表面流の発生」「土臭いにおい」です。この前兆現象の背景についてです。土石流は、降雨量増加と共に次の3つのケース「渓流上流で水位が上昇し、堆積していた土砂が移動し始める」「上流の山腹斜面が不安定化し崩壊が発生する」「崩壊した土砂が一旦渓流に堆積し、流水を堰き止め天然ダムになり、決壊し下流に流れる」に分類されます。これらの過程で、流水の濁りや石が転がる音が発生したとみられます。又、がけ崩れの場合、降雨により斜面に雨水が浸透し、不安定になり、小石がパラパラ落ちたり、土臭いにおいがしたりする前兆現象が発生します。災害が起こる1時間から2時間前は「水の溢れ」「斜面の膨らみ、亀裂の発生」「土砂流出」です。地すべりの場合、豪雨などにより地下水位が上昇したり、斜面が膨らんだり亀裂が発生したりして、その後、急速な移動が始まり、最終的に滑落に至る場合がある、ということです。災害が起こる1時間前までは「渓流内の火花」「水位の激減」「地鳴り」「渓流付近の斜面崩壊」です。火花は、なかなかイメージできませんが、砂防・地すべり技術センターが平成21年7月の山口豪雨の際、土石流が発生した地区の住民に行ったアンケートによると、「石がぶつかり合う音」の他、「石がぶつかり火花の発生」が確認されています。

これらの前兆現象は、全ての場所で必ず起きるわけではありません。大雨の際は、いつでも避難できるように準備しておきましょう。そして、普段と違って、少しでも身に危険を感じたら避難するようにしましょう。

 

635回「土砂災害の前兆1」2021年7月17日OA

2021年07月18日 6:00 PM

土砂災害の危険箇所は、大きく3つに分類されます。土石流発生の恐れがある「土石流危険渓流」、がけ崩れ発生の恐れがある「急傾斜地崩壊危険箇所」、地すべり発生の恐れがある「地すべり危険箇所」です。県によりますと、今年3月末時点で、県内で土砂災害の恐れがある箇所は1万3316カ所です。その内、土砂災害が発生した場合に、住民の生命又は身体に危害が生じるおそれがある「土砂災害警戒区域」は1万1079カ所。この指定は、「傾斜度が30度以上で高さ5m以上は急傾斜地崩壊の恐れ」など基準があります。

土砂災害警戒区域の内、建築物に損壊が生じ住民の生命又は身体に著しい危害が生じる恐れがある「土砂災害特別警戒区域」は、1万265カ所あります。この内、土石流特別警戒区域は4813カ所あり、市町村別では、岩泉町554カ所、宮古市404カ所、一関市394カ所の順に多くなっています。地すべり警戒区域は123カ所ありますが、特別警戒区域に指定されている場所はありません。急傾斜地崩壊の特別警戒区域は、5452カ所あり、一関市624カ所、陸前高田市444カ所、宮古市414カ所の順に多くなっています。

国土交通省では、2004年、2005年に発生した土砂災害について、土石流、がけ崩れに分類して、住民がどのような前兆現象を確認しているか分析しています。その資料によりますと、土石流災害の場所で渓流の前兆現象は「地鳴り・山鳴り」28事例、「水の溢れ」19事例、「渓流内の石が転がりぶつかる音」17事例、「流水の濁り」が15事例ありました。その他「小石がぱらぱら落ちる」「斜面の湧水、表面流」「河川水位の上昇」などがあり、これらの前兆現象は避難に有効と考えられます。がけ崩れ災害の場所で住民が確認した前兆現象は、「小石がぱらぱら落ちる」5事例、「流水の濁り」5事例、「斜面の湧水、表面流」4事例、「流木・倒木の発生」4事例等です。また、「川の氾濫」「河川水位の上昇」等、斜面に関係しない前兆現象も住民は見ており、これらの前兆現象が避難に有効と考えられます。次回も土砂災害の前兆現象について取り上げます。

 

634回「『もやってる』『谷の出口』」2021年7月10日OA

2021年07月10日 6:00 PM

今日は、ラジオをお聞きの方からいただいた質問にお答えします。宮古の不埒なポークさんからです。ありがとうございます。「神山気象予報士にお聞きしたいんですけど、靄(もや)がかかっている事を『もやってる』というのは気象用語としてあるんでしょうか?Nスタの井上さんが天気予報のコーナーでよく使うんですが、『もやってる』というと船を港にもやい綱で係留してる状態しか思い当たらないんですよ。井上さんの隣に立ってる森田さんも指摘しないところをみると、普通の気象用語なんですかねえ」。

「靄」は、空気中に小さな水滴が浮いていて見通しが1キロ以上10キロ未満の状態です。似た現象で「霧」がありますが、こちらは見通しが1キロ未満の状態です。霧の方がより見通しが悪く、車の運転には注意が必要です。「靄」「霧」共に気象用語で、区別して使っています。さて「もやってる」という言葉は、気象庁で扱う気象用語ではありません。日本語の表現としてはあります。大辞林第三版には「靄る:靄がかかる」が載っていて、例文として「少し靄ってきた」を挙げています。「靄る」は、小型の国語辞典では新明解国語辞典に掲載されています。出版社の三省堂によりますと「2004年の第六版から採録しています。比較的新しく使用されるようになった語と思われ、実際には『靄っている』の形で、状態を表すことが多いのではないでしょうか」ということです。

続いて奥州市の匿名希望さんです。ありがとうございます。「神ちゃんに質問です。大雨の時『がけの近くや谷の出口近くにお住まいの方はお気をつけ下さい』と何度もラジオからお知らせいただきましたが、谷の出口って、どういった場所のことですか?」

扇状の地域と書く「扇状地」という言葉をお聞きになったことがあると思います。扇状地は土石流と関係があります。山に挟まれた細長い溝のような地形が谷です。谷を流れる渓流が山間部を抜けると、扇のように放射状に広がる平坦な地形になります。扇の要にあたる部分が「谷の出口」と言います。渓流は、洪水になると、土砂や小石を巻き込みながら土石流となり、谷の出口から放射状に広がります。つまり扇状地は、土石流が堆積した場所なのです。水はけが良く、構造物の基礎としては良好な地盤ですが、土石流に遭遇する危険があります。扇状地の中でも、谷の出口に特に注意が必要なのです。

633回「津波伝承絵本『奇跡の水門』」2021年7月3日OA

2021年07月03日 6:00 PM

今日は、東日本大震災の津波から村を守った普代水門の教訓を伝える絵本「普代村を守った『奇跡の水門』」についてです。普代村と大阪府の追手門学院大学が共同制作したもので、A4版40ページ、現地視察の資料として使えるA5版ミニ絵本もあります。

内容は「こんぶ」や「しゃけ」など、海の幸に恵まれた村の紹介から始まり、巨費を投じる水門に反対する住民を説得し建設した、当時の村長・和村幸得さんの思い、そして普代水門のお陰で津波から村が守られたことが描かれています。普代水門は、外海に面した普代浜から普代川を遡り海から300m地点にあります。高さ15.5m、総延長205mと巨大なもので、130トンもの重さがある門扉4つと、水門の南側、県道44号上に設けられた開閉式門扉で構成され、水門上部には、建屋が5つ並びます。よく見ると建屋の途中に「23.6m」と東日本大震災の津波の高さを示すプレートがあります。実は大津波は水門の高さを8m上回ったのです。県道にかかる門扉も5分の1程度しか閉じないトラブルがありましたが、それでも水門の1キロ上流までの浸水で津波を防いだのです。

絵本は、普代村と追手門学院大学の学生との交流から生まれたものでした。震災後、年2回、村の振興を図る為に訪れた学生が、普代水門に焦点を当て、防災の重要性を伝えていきたいと思い、紙芝居の制作を始めました。村は、その紙芝居を元に、去年6月から8月、クラウドファンディングで全国に呼びかけ、支援により絵本が出版されました。絵本は1500部発行、ミニ絵本は1000部発行。絵本は県内全ての小学校に寄贈し、図書室などで活用いただいているとのことです。村の担当者は「百聞は一見にしかず。普代水門は動けないので、まずは一度見に来て大きさを体感していただきたいです。『奇跡の水門』と言われていますが、奇跡でもなんでもなく、過去の教訓から未来の村の為に、熟慮を重ねた結果だと思います。その様子がわかりやすく描かれている絵本。多くの人に読んでいただき、震災の教訓が未来に受け継がれていけば幸いです」と語っています。絵本は三陸鉄道・普代駅にあるアンテナショップ「あいで」の他、インターネットからは「奇跡の水門」で検索すると47クラブECサイトから購入になれます。

632回「災害時の断水」2021年6月26日OA

2021年06月26日 6:00 PM

今日は、災害時の断水についてです。盛岡市上下水道局によりますと、盛岡市の水道水は、盛岡・都南地域は、米内川、中津川、雫石川、簗川の4つの川。玉山地域は岩手山と姫神山からの湧き水や地下水などを利用しています。取水後、市内7つの浄水場で、ゴミ、ニオイ、色を取り除き、薬品を入れて消毒しキレイにしてから、私達の家庭に届けられます。

10年前の東日本大震災の際、盛岡市は震度5強の揺れに見舞われ、約30時間に及ぶ大規模停電が発生し、約3万世帯が断水しました。断水の主な原因は、浄水場で水道水が作れなくなった為でした。水道水は、浄水場から「送水管」を通って、水を配る池と書く「配水池」に蓄えられ、「配水管」を通って各家庭に送られます。停電により水道水が作れなくなると、配水池や送水管などが空になります。復旧後、そのまま水を送ると、沈殿していた錆などを巻き上げ混濁する為、配水池や送水管の清掃が必要、ということです。盛岡市上下水道局では、震災の停電の教訓を踏まえ、各浄水場とも自家発電機など停電に備えた設備を整備しました。沿岸での断水は、盛岡市の停電とは違い、地震・津波により、取水場・浄水場・ポンプ場・配水池・配水管等が破損しことによるものでした。発災後、盛岡市上下水道局では、市内の給水の他、大阪市や神戸市など全国の応援隊と連携し、沿岸被災地の応急給水も行いました。ある職員は『釜石の小さな避難所で給水を終えて車に乗り込んだら、縁側に座っていた、おそらく足が不自由と思われる高齢女性が拝むようにして見送ってくれました』と当時を振り返ります。

盛岡市上下水道局では「災害に備えて日頃から浴槽などに生活用水を溜めておくことを心がけてください。溜めおきは、小さなお子さんの事故等に十分ご注意ください。又、受水槽を設置してポンプにより各戸に給水をしているマンションやアパートでは、発電機が無い場合、停電時に水道水を利用できなくなることが想定されます。普段から水のくみ置き等の対策をしてください。停電時に水が出る場合でも、受水槽内に残っている水しか使えないので、節水に努めてください。停電復旧後は、水道水に空気や錆などが混じり、濁る場合があります。しばらく水道水を流してからご使用ください」と呼びかけています。

631回「新平年値」2021年6月19日OA

2021年06月19日 6:00 PM

先月、更新された気象庁が発表する平年値についてです。平年値は、気温、降水量などその時々の気象や、冷夏、暖冬などの天候を評価する基準として利用されると共に、その地点の気候を表す値として用いられています。気象庁では、30年間の平均値をもって平年値とし、10年ごとに更新しています。これまで1981年~2010年の観測値による平年値を使用していましたが、今年は平年値を更新する年にあたり、1991年~2020年の観測値による新しい平年値を、5月19日より使用しています。

新平年値と以前の平年値を比較すると、年平均気温では、北日本と西日本で0.3度、東日本で0.4度、沖縄・奄美で0.2度高くなり、地点によっては0.5度高くなっています。盛岡では0.4度高くなりました。気象庁は「日本の平均気温は、長期的に見て、様々な時間スケールの変動を伴いながら上昇しており、1980年代後半から急速に気温が上昇しています。その背景には、温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化による長期的な昇温傾向と数十年周期の自然変動の影響があると考えられます。又、地点によっては都市化も影響していると考えられます」としています。降水量に関しては、春の西日本や夏の東日本太平洋側で5%程度少なくなりましたが、夏の西日本や秋と冬の太平洋側の多くの地点で10%程度多くなりました。盛岡の降水量は1%増加と、ほぼ変わりません。降雪量は多くの地点で少なくなっており、30%以上減る地点もありました。盛岡は23%減っています。この点について気象庁は「気温は上昇し、降水量は増加している地点が多いことと合わせて考えると気温が高くなったことで、降水があっても雪ではなく雨として降りやすくなったことが要因の一つとして考えられます」としています。

又、盛岡では最高気温が25度以上の夏日日数は7.8日増え78.6日、30度以上の真夏日は3.3日増え22.4日になりました。一方、最低気温が0度未満の冬日日数は1.7日減り121.6日に、最高気温が0度未満の真冬日日数は2.5日減り12.4日になりました。桜の開花日の新平年値は、3日早まり4月18日です。平均気温が上がってきていることから、夏場は熱中症に対してより警戒が必要と言えます。又平均降水量には表れていませんが、1時間降水量30ミリ以上、50ミリ以上の年間発生回数は岩手でも増えていることから、局地的な大雨にも備えが必要です。

630回「避難指示に一本化」2021年6月12日OA

2021年06月12日 6:00 PM

先月から変更された、災害時に自治体が発表する避難に関する情報についてです。大雨や台風の際、気象庁や自治体は避難を促す情報として、危険が迫っている度合いごとに5段階の警戒レベルを示しています。5に近づくほど危険が差し迫っているということです。そのうちの、警戒レベル3から5までの内容が5月20日から変わりました。これまでは、レベル3が「避難準備・高齢者等避難開始」、レベル4が「避難指示・避難勧告」、レベル5が「災害発生」という表現でした。しかしより分かりやすくするために、レベル3が「高齢者等避難」、レベル4が「避難指示」、レベル5が「緊急安全確保」と変更されました。

着目すべき点は、レベル4です。これまでは避難勧告と避難指示という2つの避難情報が混在していました。避難勧告は、発令された地域の全員に避難を促す為に、避難指示は、災害が発生する恐れが極めて高い場合に「重ねて」避難を促す為に発表されていました。しかし内閣府の資料によりますと、住民アンケートでは、避難勧告・指示両方の意味を正しく理解していたのは2割未満で、市町村向けアンケートでは、警戒レベル4に避難勧告・指示の両方が位置付けられ住民にわかりにくいとの回答が約7割に上りました。そこで避難勧告が廃止となり「避難指示」に一本化され「危険な場所からはとにかく逃げてください」となりました。

お住まいの市町村から警戒レベル4の避難指示や、警戒レベル3の高齢者等避難が発令された際は、水害や土砂災害の危険がある場所から速やかに避難してください。一方で多くの場合、土砂災害警戒情報、氾濫危険情報などの防災気象情報は、避難指示等よりも先に発表されます。警戒レベル4や3に相当する防災気象情報が発表された際には、避難指示等が発令されていなくても自ら避難の判断をして下さい。避難の際は、市町村が定めた避難場所へ向かうことにこだわらず、自宅が安全と判断できれば、自宅に留まる他、川や崖から少しでも離れた、近くの頑丈な建物の上層階に避難することも選択肢となります。又、新型コロナウイルスの感染リスクを避ける為、安全と考えられるなら知人の家やホテルへの避難も有効です。ただ、こうした選択が難しい場合は、できるだけマスクや体温計、消毒液などを持ち、ためらうことなく、市町村が定めた近くの避難場所に逃げてください。災害の危険が差し迫った場合には、感染リスクを避けることよりも、命を守ることを優先して下さい。

629回「永訣」2021年6月5日OA

2021年06月05日 6:00 PM

今日は新曜社「永訣 あの日のわたしへ手紙をつづる」を紹介します。東北学院大学震災の記録プロジェクトの三回目の企画で、10年前の自らに記した過去への手紙31編が綴られています。

宮城県丸森町(まるもりまち)出身で、県外の大学に進学した20歳の男性は、小学4年生の時、福島県相馬市で働いていた父親が津波で犠牲になりました。彼は3月11日の朝、父親に「朝ごはんの目玉焼き、今までで一番おいしかったよ。行ってきます」、この言葉が言えなかったことを後悔しています。「被災地は復興してきています」「傷が癒えてきています」という報道に違和感があり「自分がどれだけ復興できたか、どれだけ立ち直ることができたのかは他人が決めることではなく、自分自身で決めることだと思っています」と復興途上の気持ちを打ち明けます。そして「残された家族で幸せな家族を作っていくことを約束します」と締めくくっています。福島県浪江町(なみえまち)出身の23歳の女性は、津波で父親が行方不明になりました。年月が経つと、「本当になってほしくないから」「お父さんが帰ってこないことを」願うようになりました。そして「行方不明と言いたくない時」「離婚や単身赴任、静かな人で会話がない」など嘘をつくようになりました。「嘘をつく度に、お父さんにも友達にも本当に申し訳なくなりました。でも、それ以上に怖いんです。どんな雰囲気になるか、同情か父親の会話がしにくくなってしまうのではないか」と吐露します。結びに「今のあなたは本当に幸せ者です」「嘘をつく人にならないでください。後悔なく、一分一秒を生きてください」と優しく語りかけます。宮城県雄勝町(おがつちょう)、現在の石巻市出身の23歳の女性は、震災で母親を喪い(うしない)ました。彼女は、今回の手紙を書く数週間前に聞いた『この子たちには幸せになる権利がある』という言葉を紹介しています。「震災をハンデと捉えず誰よりも幸せになれとストレートに言ってくれているように感じました。13歳の私にも、23歳の私にも幸せになる権利はあります」「これから先の人生も全力で幸せでいましょう」と誓っています。

編者で、去年3月まで東北学院大学教養学部で教鞭を執り、現在、関西学院大学社会学部の金菱清(かねびしきよし)教授は、「災害の恐ろしさや爪痕の深さを一番よく知っているはずの被災者・当事者が、それを知らない当の本人に対して直接伝えることの難しさ」を指摘しています。31編の手紙は、10年の歳月と向き合う中から、災害の教訓とは何かをも伝えています。

628回「津波避難 3つのS」2021年5月29日OA

2021年05月29日 6:00 PM

今日は、永野海(かい)さん著「みんなの津波避難22のルール 3つのSで生き残れ!」(合同出版)を取り上げます。東日本大震災の被災者支援をしている弁護士・防災士の永野さんが、津波から命を守る為に「これだけは知ってほしい!」ことをまとめたものです。マンガや写真が多く、漢字にはルビを振っていて、親子で防災について学べる本になっています。

さてタイトルにある「3つのS」とは「SWITCH(スイッチ)」「SAFE(セーフ)」「SAVE(セーブ)」の頭文字のことで、永野さんが東日本大震災を教訓に、津波の避難行動を分類したものです。スイッチとは「津波から逃げるスイッチ」。宮城県石巻市の大川小学校では、北上川を遡上してきた東日本大震災の津波に襲われ、多くの児童・教職員が犠牲になりました。大川小学校事故検証委員会がまとめた報告書では、事故の直接的な要因の一つに避難開始の意思決定=スイッチが遅かったことを挙げています。セーフとは「安全な避難場所とルート」。釜石市の鵜住居防災センターは、東日本大震災の津波に襲われ、避難した多くの住民が亡くなりました。釜石市がまとめた報告書によりますと、鵜住居防災センターは本来、津波の避難場所ではなかったにも関わらず、避難訓練の際に使用され、又、市は防災センターを「避難訓練のみのための避難場所」として容認し、危機管理体制の見直しを行っていませんでした。住民は、高台にある本来の津波避難場所=安全な避難場所を理解していなかったのです。セーブとは「最後までいのちを守り抜くこと」。私は震災後、取材で山田町を訪れました。そこで津波で命を落とした理由の一つに、高台に避難したものの、貴重品を取りに自宅に戻ったから、と聞きました。津波の危険がある場合、安全な場所を離れてはいけないのです。この本では、津波避難22のルールを3つのSに区分し、3つのSのどれかが欠けると被災すると警鐘を鳴らします。

永野さんはリスナーに『取材を重ね、津波訴訟なども分析し、東北での津波の教訓をまとめさせていただきました。津波避難のルールを、30年後も100年後も1000年後もしっかりと継承し、未来の命を津波から守ってほしいです』と訴えています。

 

627回「八幡平ドラゴンアイ」2021年5月22日OA

2021年05月22日 6:00 PM

岩手から秋田にまたがる国立公園、八幡平の頂上付近にある「ドラゴンアイ」についてです。鏡沼に降り積もった雪が春になって周辺と中心部が雪解けすることでドーナツ状になる現象です。八幡平市観光協会によりますと、2016年に台湾から訪れた旅行者がSNSで、まるで龍の眼のように見えることから「ドラゴンアイ」とつぶやき、一気に有名になりました。5月中旬から6月中旬の限られた時期に、積雪量や雪解け、天候の状況などの条件が揃うと姿を現す自然現象です。

ドラゴンアイの研究者、盛岡一高で地学を教えている山岸千人(ちひと)先生にお聞きしました。山岸先生は、岩手県立博物館に勤めていた頃、一般の方から「どうして目玉ができるのか」という問い合わせがあり調べ始めました。「鏡沼は直径約60m、円に近い丸い形をしています。沼には氷が張り、積雪が少なくとも4~5m乗っています。雪プラス氷の蓋があるような状態です。更に窪地で、吹き溜まりになっている西側の縁の一番厚い所で10mを超えている所もあるはずです。冬になると川が凍り、水が流れ込まなくなり、水位が下がります。春になると川から水が流れ込み、水位が上昇します。雪プラス氷の蓋は浮力が働き、全体が盛り上がろうとします。しかし縁の雪は厚く重さがあるので盛り上がりが抑えられ、真ん中が丘のように盛り上がっていきます。盛り上がった所は解けて、薄くなっていきます。中央部の厚さが最後の数十センチになると自分の重さで凹み、水が満たされるようになり開眼の始まりです」ということです。盛り上がった周囲が沼の水で青く彩られる点については「水が溜まり始めた頃は水の中のゴミが混ざり黒く濁っていますが、時間が経つとゴミが沈殿し、キレイになります。キレイになると、ブルーが見えてくるようになります」ということです。太陽の光の内、水の分子は赤い光を吸収する一方、青や緑の光は散乱するという「海が青く見えるのと同じ原理」と解説します。隣にあるメガネ沼の水がエメラルドグリーンなのが不思議ですが、これは「温泉水の影響ではないか」ということです。又、頂上には大小10以上の沼がある中で、鏡沼だけドラゴンアイができる理由について「形が円に近いので、力が分散されるのでは」と分析します。

ドラゴンアイの最新の情報は、八幡平市観光協会のホームページで御覧になれます。今年の見ごろは5月下旬から6月上旬になりそうです。八幡平山頂駐車場から15分程、標高1590mの雪道を歩きますので、見に行く方は長靴など準備された方が良いでしょう。

626回「熱中症警戒アラート」2021年5月15日OA

2021年05月15日 6:00 PM

今日は「熱中症警戒アラート」についてです。気象庁によりますと、熱中症とは、暑い環境で体温の調整ができなくなった状態で、めまいや吐き気、頭痛、失神等の様々な症状をきたし、最悪な場合は死に至る疾患です。誰でもなる可能性があり、運動中だけではなく、室内でも起こります。総務庁消防庁によりますと、去年6月から9月に県内では熱中症により597人が救急搬送されました。その内67%の400人が65歳以上の高齢者で、搬送された人の半数296人は、敷地内を含む住居で発生しました。

気象庁と環境省は、熱中症のリスクが特に高まった際に注意を促す「熱中症警戒アラート」の全国での運用を、先月28日から開始しました。運用は10月27日までです。アラートとは「警報」という意味で、こまめな水分補給を呼びかけるなど熱中症の予防につなげます。予想最高気温がおおむね35度以上になる場合に発表していた「高温注意情報」は廃止します。熱中症警戒アラートは気温や湿度、日差しなど輻射熱から算出した「暑さ指数」を活用し、重症者や死者が特に増える傾向にある指数33以上になると想定した場合、前の日の午後5時と当日の午前5時に、都道府県ごとに発表します。情報はラジオやテレビ、自治体の防災無線などを通じて伝えます。

アラートが出された場合、大きく4つの行動を心がけましょう。1つ目は「外出はできるだけ控え、暑さを避けましょう」。熱中症を予防する為には、暑さを避けることが最も重要です。昼夜を問わずエアコン等を使用して部屋の温度を調整しましょう。又、不要不急の外出は避けましょう。2つ目は「熱中症のリスクの高い方に声をかけましょう」。熱中症になりやすい高齢者、子ども、持病のある方、肥満の方、障がい者には、身近な方から、エアコンの使用やこまめな水分補給を行うよう声をかけましょう。3つ目は「普段以上に熱中症予防行動を実践しましょう」。1日あたり1.2リットルを目安に、のどが渇く前にこまめに水分を補給しましょう。屋外で人と2メートル以上の十分な距離が確保できる場合は、適宜マスクを外しましょう。4つ目は「屋外や、エアコン等が設置されていない屋内での運動は、原則、中止又は延期しましょう」。