気象と防災 マメ知識!

IBC岩手放送ホームページでは、広告・番組情報配信、閲覧履歴解析等のためにクッキーを使用しています。このお知らせを閉じるか閲覧を継続することで、クッキーの使用をご承認いただいたものとします。オプトアウトや詳細についてはIBC岩手放送「サイト規定」をご覧ください。

気象と防災 マメ知識!

気象予報士・防災士の神山 浩樹(IBCアナウンサー)がお届けする5分間。

◆放送日時
毎週土曜日17:50~17:55
番組開始:2009年4月〜

◆出演
神山浩樹(IBCアナウンサー)

お便り・お問い合わせ

532回「観光で南相馬に元気を(福島県南相馬市)」2019年7月20日OA

2019年07月20日 6:00 PM

先月上旬に訪れた南相馬市についてです。福島県浜通りの北部にあり、いわき市と宮城県仙台市の中間に位置します。人口53831人の南相馬市は、1000年以上の歴史を経て今なお息づく戦国絵巻「相馬野馬追(そうまのまおい)」が有名です。甲冑に身を固めた500騎余りの騎馬武者が、腰に太刀、背中に戦場で目印となる旗を指し疾走する豪華絢爛、勇壮な伝統の祭りで、今年は7月27日(土)、28日(日)、29日(月)の3日間開催されます。

東日本大震災で、南相馬市では震度6弱を観測、関連死も含め1149人が犠牲になりました。高校1年生の時に震災に遭い、現在は南相馬観光協会に勤める藤原亮太さん(24)にお聞きしました。海から5-6キロ離れた自宅は原発事故の避難区域ではありませんでしたが、そのすぐ外側に位置していた為、放射能が気になり南相馬を離れます。福島市の避難所で過ごした後は、親戚の住む沖縄県の読谷村(よみたんそん)に身を寄せ、2年間、過ごしました。南相馬では地元の工業高校に在籍していた藤原さんは、将来、大学に進学し中学校の数学の教員になりたい、という思いがありました。しかし沖縄では普通高校で学ぶことになり、進路が見えなくなりました。沖縄に転校後、南相馬の同級生から「藤原君の席があるから」と連絡をもらったことがあり複雑な思いでした。沖縄の人たちによくしてもらい感謝する一方で「南相馬がどうなるのか」「自宅に帰れるのか」「バラバラになった友だちは、どこで何をしているのか」、故郷のことを気にかけながらの生活でした。2013年、沖縄の高校を卒業後、家族は南相馬に戻り、藤原さんは仙台の専門学校に通います。そしてIT関連の企業に就職しますが、震災を経て「何気なく生活していた南相馬が好きなことに気づき、大好きな地元を発信したい」という思いが強くなり、今年の4月から観光協会で復興支援員として働いています。

「野馬追が近くなると、祭りの練習の為、馬が公道を歩いているんですよ」と目を輝かせる藤原さん。「震災で元気がなくなった南相馬を、観光を通じて交流人口増加により盛り上げたい」と仕事にやりがいを感じる日々です。

IBCラジオPR
IBCワイドFM

531回「新潟・山形地震2」2019年7月13日OA

2019年07月13日 6:00 PM

前回に続き、先月18日に新潟県村上市で震度6強、山形県鶴岡市で震度6弱を観測したM(マグニチュード)6.7の地震についてです。消防庁によりますと、今回の地震で36人がケガをし、住宅被害はいずれも一部破損で、山形県鶴岡市で97棟、新潟県村上市で46棟などとなっています。住宅が全壊、倒壊するような被害は確認されていません。一方で、ブロック塀が倒れたり、屋根瓦が落下したりするような被害が相次ぎました。

建物に被害が生じるかどうかは「周期」という、地震の揺れが1往復する時間が関係しているようです。筑波大学構造エネルギー工学専攻の境有紀(さかいゆうき)教授によりますと「発生した地震動は0.5秒以下のごく短い周期の成分が大きかったが、全壊、倒壊といった建物の大きな被害に結びつく1-2秒の成分は小さかった」「0.5秒以下のごく短い周期の地震動が発生した場合、建物の一部損壊、部屋の中の家具が倒れる、屋根瓦がずれる、ブロック塀が倒れるといった被害が生じる」「震度は人がどれだけ強い揺れと感じるかを測っており、1秒以下の短い周期が対応する。その為、0.5秒以下が強かった今回の地震では、震度6強という大きい震度を記録した。このことから震度の大きさは必ずしも、全壊、倒壊といった建物の大きな被害と対応しないことを意味する」「これはよくあるケースで、震度6弱以上の地震動の8割~9割を占める」「以上のことから、今回の震度6強の地震で、全壊、倒壊といった建物の大きな被害がなかったからと言って、建物の耐震性能が高いというわけではなく、1~2割の確率で発生する1-2秒の地震が起これば、震度6弱でも全壊、倒壊する可能性がある建物も数多く存在すると考えられる」と警鐘を鳴らしています。

又、今回の地震でなぜ0.5秒以下のごく短い周期の成分が大きく、建物の大きな被害に結びつく1-2秒の成分は小さかったかについては「発生する地震動は、震源と地盤構造の組み合わせによって決まる」「震源についてはMが大きいほど長周期化しやすく、M7クラスが最も1-2秒を出しやすい」「今回の地震はM6クラスであった為、震源からごく短い周期が多く出たと考えられる」と説明しています。大きな建物被害が無かったからといって安心せず、次の大地震に備え、住宅の耐震性を確認する必要があります。

530回「新潟・山形地震1」2019年7月6日OA

2019年07月06日 6:00 PM

先月18日(火)午後10時22分、新潟県村上市で震度6強、山形県鶴岡市で震度6弱を観測する地震がありました。気象庁によりますと、震源は山形県沖、酒田の南西50キロ付近、深さは14キロ、地震の規模を示すM(マグニチュード)は6.7で、山形県や新潟県など日本海側で一時、津波注意報が出されました。

さて座羽知之帆志(ザウチの星)@携帯修理中さんから「山形県沖の地震は、ほとんど記憶に無いのですが?」とメールをいただきました。ありがとうございます。気象庁のHP、震度データベースで1922(大正11)年以降、過去97年を調べてみますと、今回の地震以前に震源の真上、震央が「山形県沖」で震度1以上の地震は23しかありませんでした。その内、1964(昭和39)年6月19日、酒田市で最大震度4を観測した地震がありましたが、他約9割が最大震度1、又は2の地震です。又、政府の地震調査研究推進本部によりますと、過去に山形県沖で発生したM7.5以上の大地震は、1833年12月7日に発生したM7.7の庄内沖の地震が唯一知られているだけ、ということです。この地震では最大震度5を記録し、山形県沿岸などを5~8mの津波が襲い、多くの方が犠牲になりました。山形県沖を含む日本海東縁部全体で見ると、太平洋側沖合に比べて地震の活動度は低いものの、1964(昭和39)年、M7.5の「新潟地震」や、1983(昭和58)年、M7.7の「日本海中部地震」など、北海道から新潟県の沖合にかけて、大きい地震がほぼ南北方向に列をなして次々と発生しています。又、地震の規模に比べて津波が高く、津波到達までの時間が早いという特徴があります。

山形県が2016(平成28)年3月に公表した資料によりますと、山形県に最大クラスの津波や被害をもたらすのは、秋田県沖から新潟県下越沖で発生が想定されるM7.7~7.8の大地震です。鶴岡市では津波の第一波が地震発生後7~10分で来襲、最大16.3mに達し、冬の深夜に起きた場合、県内で5060人が津波で犠牲になる恐れがあります。揺れを感じたら、すぐに避難が必要なのです。

 

529回「消防士意見発表会」2019年6月29日OA

2019年06月29日 6:00 PM

今日は、全国から選ばれた消防職員の意見発表会に東北の代表として出場した盛岡の消防士についてです。盛岡地区広域消防組合消防本部の消防士長・壽達也(ことぶきたつや)さんは、4月末に福島県で開かれた東北地区の消防職員による意見発表会に岩手県代表として出場しました。「癒しの場のリーフレット」と題された発表は一日の疲れを取り、日常的に使われる浴室に貼れる広報用のリーフレットを作成し、火災予防や熱中症対策、入浴中の事故防止などを呼びかけてはどうか、というものです。壽さんは、この大会で最優秀賞に選ばれ全国発表会に進みました。

壽さんの職場は盛岡の県央消防指令センターです。盛岡、奥州金ケ崎、北上3つの地区の119番通報を受け付けていて、壽さんも日々多くの通報の対応にあたっています。通報の中には「浴室」で起きた心疾患や脳疾患などが毎日のようにあるといいます。浴室での事故を防ぐ方法はないかと考えていた時、自宅の浴室に貼られていた50音表に目が留まりました。6歳と3歳の姉妹がお風呂で楽しく平仮名を覚えられるように貼っているものです。勤務明けのある日、自宅で長女が自然に絵本を読んでいることに気がつきました。毎晩、50音表のイラストを目にしている内に、いつの間にか平仮名を覚えていたのです。防災用の広報は、一度目を通した後、繰り返し読まれることが少ないのでは、と考えていた壽さんは「お風呂に貼って普段から目にすることができるリーフレットがあれば、火災予防や事故防止につながるのでは」と考え発表することにしたものです。壽さんは「あなたの家のお風呂を広報の場所として少しだけ貸していただけませんか。水に濡らすだけで、何気なく目にする癒しの場のリーフレットが、あなた自身やあなたの家族にじんわりと沁み込んでいくはずですから」と、自らのアイディアを訴えます。

全国発表会は先月末に福岡で行われ、壽さんの発表は残念ながら入賞しませんでした。しかし「上司から実際にリーフレットを作成したいという話しがあり、私自身も実現に向けて本部内で働きかけを続けていきたいと思っております。全国大会では、他の消防本部の方の素晴らしい発表内容が沢山あり、その内容を自分のリーフレットとコラボレーションして発信していけたら」と、実現に向けて意欲を見せていました。

528回「楢葉を語れる人に(福島県楢葉町)」2019年6月22日OA

2019年06月22日 6:00 PM

今月上旬、福島県浜通りにある楢葉町を訪れました。町には1997年に日本初のサッカーナショナルトレーニングセンターとして開設された「Jヴィレッジ」があります。東京ドーム10個分の敷地には、5000人を収容できるスタジアムを含め天然芝ピッチ8面などを備え、そのスケールに圧倒されます。東日本大震災以降は福島第一原子力発電所の廃炉作業の拠点となっていましたが、今年4月に全面再開。来年開催される東京オリンピックでは聖火リレーの出発地となり、町のにぎわい、交流人口増加の中心となっていきそうです。町の資料によりますと、2011年3月11日、震度6強の揺れを観測した後、沿岸部を推定10.5mの津波が襲い、13人が犠牲になりました。加えて原発事故により町民が全国に避難していましたが、2015年9月5日に避難指示が解除されました。今年4月30日現在、人口6892人の約54%、3729人が町内で暮らしています。

町民主体となったまちづくりを進めている一般社団法人「ならはみらい」で、今年5月から働いている木村由香さん(42)にお聞きしました。木村さんは町民の生きがい対策として「藍染め」などを担当、中学2年生の長男、小学4年生の長女の2人の母親でもあります。震災後に身を寄せたいわきでは、放射線に関して不安を抱える中、勉強会に参加し「わからないものをわからないままにしておかない。自分が動かなければ始まらない」ということを実感したと言います。そして2016年4月、楢葉に家族4人で戻ってきました。

震災当時、長男は幼稚園の年中で、昼寝の最中に避難しました。60人はいた同級生は13人に減り、多くの友だちと離れ離れのままです。中学校ではバドミントン部に所属するものの、木村さんとしては野球をやらせたい思いがありました。しかし子どもの数が少ない為にそれは叶わず「長男は野球を一度もやったことがないんです」と複雑な表情です。乳飲み子で避難した長女は9歳になり、先日、町内にある「東京電力廃炉資料館」を見学しました。ショックを受けつつ「『何があったか分かり良かった』と語っていた」とのことです。「震災で自分の身に何が起こったのか説明できる大人になってほしい」と願う木村さん。故郷で子どもたちの成長を楽しみにしながら、町の復興を見つめ続けます。

527回「富岡は負けん(福島県富岡町)」2019年6月15日OA

2019年06月15日 6:00 PM

先週、震災後の状況を知る為に訪ねた福島県富岡町(とみおかまち)についてです。仙台市内から車で常磐自動車道を南下し1時間40分、浜通り、双葉郡の中心に位置します。東日本大震災では震度6強を観測、最大21.1mを超える津波が押し寄せ、24人が犠牲になりました。町の南西3キロ先にある福島第2原子力発電所は重大事故を免れたものの、北東9キロ先、大熊町(おおくままち)にある福島第1原子力発電所で発生した事故により全町民が全国に避難を余儀なくされました。地震、津波、原発事故という複合災害から6年経った2017年4月1日、帰還困難区域を除く町内の避難指示が解除されました。今年5月1日現在、町内居住者は1010人で、全人口12935人の内7.8%の方が暮らしていることになります。昨年度は小中学校富岡校が再開、今年度は認定こども園が開園し、町で子どもたちの声が響くようになってきました。

双葉郡の8つの町村の住民が情報や問題を共有し今後に役立てようと、2015年7月から活動している「双葉郡未来会議」の代表・平山勉さん(52)にお聞きしました。富岡町に事務局があり、最近では双葉郡の人々の経験や思いを「ボイスアーカイブ」としてインターネットで発信しています。平山さんは震災後、当時70代の両親と共にいわき市に避難しましたが、町の復旧活動と歩調を合わせ、故郷に戻ってきました。「親から受け継いだホテルを除染作業員の寄宿舎として提供することで地域に貢献したい」というのがその理由でした。音楽プロデューサーでもあり、去年8月には地元で無料の音楽イベント「とみROCK」を開催。「『支援や補助金が無ければできない』ではいつか終わる。自立してやっていきたい」と、今年10月26日の「とみROCK」は有料で開催予定です。

双葉郡の震災後の足跡をパネルで紹介する展示スペースの一角には、「富岡は負けん」と勢いよく記された横断幕があります。平山さんが黒いペンキで手書きしたもので、警戒区域時代、町の中心部にある歩道橋に掲げていました。津波に襲われ救援を待っていたものの、原発事故後、丸1カ月捜索できず、凍死した方もいるという富岡町。「助かったはずの命もあった。地域の為に何もできない無力感があった。無力感を克服する為に戦っています」と、これからも富岡で生きることを固く誓っていました。

 

526回「5月の記録的暑さ」2019年6月8日OA

2019年06月08日 6:00 PM

5月26日、北海道を中心に記録的な猛暑となりました。北海道佐呂間町では39.5度を観測して、5月としては全国で観測史上、最も高温となりました。又、年間を通じ北海道で観測された最高気温の記録も塗り替えました。その他、北海道では帯広市、足寄町(あしょろちょう)、池田町で38.8度など、最高気温が35度以上の猛暑日となりました。26日は、岩手県内も季節外れの暑さになり、岩泉の34.8度を最高に、36の観測地点中25地点で、5月の観測史上最高気温を記録しました。この日は、晴れて強い日差しが降り注いだことに加え、大陸から上空1500m付近に真夏を超える20度以上の暖かい空気が流れ込みました。又、佐呂間町を含む北海道東部では山越えの西風が熱を帯びる「フェーン現象」の影響もあったとみられます。同じ日に、岩手より北に位置する北海道で記録的猛暑になるのは不思議に思われるかもしれませんが、条件が揃うとこのような気象が現れるのです。

北海道北東部にある佐呂間町は、人口5175人の小さな町です。町の北側一帯は、北海道最大の湖、オホーツク海につながるサロマ湖に面しています。町のホームページなどによりますと、毎年1月下旬には、流氷がオホーツク海沿岸に押し寄せ、サロマ湖内に流入してきます。その為、ホタテやカキの養殖棚が破壊され、大きな被害を受けることから「アイスブーム」と呼ばれる「防氷堤」が設けられています。湖の入り口付近に半円を描くように支柱を打ち込み、円筒ブイとワイヤネットで流氷を受け止める、というものです。

流氷が来るような佐呂間町での記録的猛暑は、地球温暖化と関係があるのでしょうか。2017年3月に札幌管区気象台が刊行した「北海道の気候変化」によりますと、北海道の年平均気温は100年あたり約1.59度の割合で上昇しています。そして21世紀末における北海道の平均気温は、20世紀末を基準として3度程、上昇すると予測されています。特徴的なのは、道内の他の地域に比べ、オホーツク海側の上昇がわずかに大きいことです。今回、39度超えを記録した佐呂間町もこのエリアに入っていて、フェーン現象の影響を受けやすいと考えられます。結論として今回の記録的猛暑は、現在進行形である温暖化の一環といえそうです。

525回「防災を学ぶ世界地図」2019年6月1日OA

2019年06月01日 6:00 PM

今日は「防災を学ぶ世界地図」についてです。盛岡市の住宅メーカー「シリウス」から、地震への備えについてまとめた世界地図が、県内の小学5年生全員に贈られることになりました。5年生は社会科で世界について勉強する学年であることから贈呈されるもので、防災に関する知識や非常時の対策を学んでほしいという狙いがあります。

この世界地図は、カラー版で、新聞を広げたぐらいの大きさです。国の名前や国旗に加え、過去に起きた巨大地震の記録や、災害時に取るべき行動などが書かれています。例えば20世紀以降の「世界10大地震」では、1960年5月23日に発生したマグニチュード9.5の「チリ地震」、1964年3月28日に発生したマグニチュード9.2の「アラスカ地震」、2004年12月26日に発生したマグニチュード9.1の「スマトラ島沖地震」など、震源地に赤い丸で大きく記載されています。いずれも地球表面のプレート境界で起こっていて、マグニチュード9.0の「東日本大震災」より地震の規模が大きいことが見て取れます。又、災害時に取るべき行動として、地震の揺れを感じたり、緊急地震速報を見聞きしたりした場合、家庭では「頭を保護し、じょうぶな机の下など安全な場所に避難する」など、イラスト入りで、わかりやすく表記されています。

シリウスは、2014年から社会貢献活動の一環として取り組んでいて、今回で6回目です。担当者であるソーラ事業部スタッフリーダーの山本岬さんによりますと「配布された小学生から御礼の手紙をいただくこともある」ということで、防災意識向上の手応えを実感しているようです。一方で山本さんは「被災地である岩手で震災の風化が進んでいるのでは」と危惧しています。又、地震の他、2017年7月の九州北部豪雨、2018年7月の西日本豪雨など、豪雨災害も頻発していることから「この地図をきっかけに、家族で防災について話し合い、備えてほしい」と願っています。約1万部の防災を学ぶ世界地図は、各市町村の教育委員会を通じて、県内全ての小学5年生に贈られます。

 

524回「青空がきれいに見える条件」2019年5月25日OA

2019年05月25日 6:00 PM

今月初旬、盛岡の恋ヶ窪さんから気象に関して質問をいただきました。ありがとうございます。「昨日は、とても上天気で、どこからも青く輝く岩手山を見られたのですが、夏場になると、かえって青空やきれいな山なみが見られない気がします。湿度のせい、と聞いたことがあるような。気象予報士として、きれいな山や青空が見える条件を教えていただけますか?」きれいな山や青空が見られるのは、空気が澄んでいるかどうかが大切になってきます。条件は2つあると考えられます。1つ目は「空気中の水蒸気量が少ない、つまり湿度が低い」、2つ目は「空気中のチリやホコリが少ない」です。

まず1つ目についてですが、「霧」や「靄(もや)」という気象現象があります。空気中の水蒸気が細かい水滴となって浮かんでいる状態のことで、見通せる距離が1キロメートル未満の場合は「霧」、1キロメートル以上の場合は「靄」と呼びます。霧や靄が出ているような時は視界が白っぽく、湿度が高くなります。逆に湿度が低い、つまり水蒸気が少なく空気が乾燥していれば、その分、遠くまでよく見え、きれいな山や青空が見える、ということになります。尚、盛岡について、季節毎に平均的な湿度を見てみると、3月から5月の「春」は67%、6月から8月の「夏」は80%、9月から11月の「秋」は77%、12月から2月の「冬」は72%です。湿度は日によって変化があるので、一概には言えません。しかし夏は太平洋高気圧に覆われ晴れていても、南よりの湿った風が入りやすくなります。霧や靄ほどではなくても、湿度が高くなり、きれいな山や青空が見えにくい、ということになります。

2つ目についてですが、雨上がりは、チリやホコリが洗い流され、空気が澄みます。その後、大陸育ちの乾いた高気圧に覆われると、きれいな山や青空が見られます。ただまとまった雨量の後だと、土壌の水分が多い分、山際が白む形になるようで、例え晴れたとしても遠くが見えるようになるまで時間がかかると思われます。その他、気圧の傾きが急で風が強かったり、何日も晴れて地面が乾いた状態だったりすると、チリやホコリが舞い上がりやすく条件には適さないと言えます。

523回「長周期地震動2」2019年5月18日OA

2019年05月18日 6:00 PM

前回に続いて「長周期地震動」についてです。気象庁によりますと、長周期地震動は「大きな地震が発生した時に生じる周期が長い揺れ」のことです。特徴は「高いビルを長時間にわたって大きく揺らす」「遠くまで伝わりやすい性質」と2つあります。高いビルでは揺れが10分以上続く場合もあります。

長周期地震動による揺れの大きさは、震度ではわからない為、気象庁では「長周期地震動階級」という目安で表しています。階級は1から4まであり、数字が大きいほど被害が大きくなります。「階級1」では「室内にいたほとんどの人が揺れを感じる。驚く人もいる」「ブラインドなど吊り下げものが大きく揺れる」。「階級4」では、「立っていることができず、這わないと動くことができない。揺れに翻弄される」「キャスター付きの家具類等が大きく動き、転倒するものがある。固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある」です。長周期地震動階級4は、2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震において石狩地方南部と胆振地方中東部で、2016年4月15日と16日に発生した熊本地震において熊本と阿蘇で観測しています。

東京都などが企画・制作した「次の巨大地震に備える 高層ビル室内安全ブック」によりますと、長周期地震動と共振して揺れる高層ビルの室内では、固定されていない家具が人を襲う凶器に変わると指摘します。キャスター付きの家具は床との摩擦が小さい為、震度5弱程度の揺れで「動く」ことがあります。特にピアノやコピー機などの重量物は部屋中を動き回り危険です。幅よりも高さのある家具は、震度5弱程度で「倒れる」ことがあります。高さのある家具ほど重心も高くなり、弱い揺れで倒れやすくなります。家具の上の置物や食器棚の食器などは、その上や中を動き回り壁などにぶつかって「飛ぶ」ように落ちてきます。天井から吊られた照明は、固定された部分を基点に揺れて遠心力がかかり、天井や吊り具が壊れて「落ちる」ことがあります。壁にかけた額も、壁面との間に、てこの原理が働き、固定金具が壊れ、紐が外れ「落ちる」ことがあります。家具が「動く・倒れる・飛ぶ・落ちる」の後、窓や扉のガラス、棚の食器や陶器の置物などは床に落ちたり、ぶつかりあったりして「割れ」て、破片が部屋中に飛び散り危険です。高層階に住んでいたり働いていたりしなくても、何かのきっかけで私達も居合わせるかもしれません。長周期地震動でどんな危険があるのか、まずは知ることが大切です。

もっと読む