四国の瀬戸内海沿岸中央部に位置する愛媛県西条市には1707(宝永4)年の宝永地震で被災したとの言い伝えがある碇(いかり)神社(葛城周佳(ちかよし)宮司)の旧神社跡がある。
旧神社跡は同市玉津地区の住宅地にあり、小さなほこらが塀で囲われている。そばには「旧碇神社跡」と記した石柱もある。現在の碇神社は被災により近くに移転した。
四国の災害遺構を調べている香川大の松尾裕治客員教授によると、旧碇神社は同地震の津波か、同地震に伴う地盤沈下でその後の高潮で被災した可能性があるという。玉津地区は河川によって運ばれた堆積物でで海抜が低い。近隣住民によると、過去には川の氾濫で浸水被害もあった。
同神社では防災意識を高めようと関東大震災の翌年から現在に至るまで、震災の起きた9月1日に毎年境内を大掃除している。
近所の自治会長を務める高橋典正さん(79)は「海抜の低さなど自分たちの住んでいる土地の危険性を自覚することが大事」と日頃から危機意識を高める。